企業を活性化する文書情報マネジメント

前々回は、企業を守る視点の文書管理の効果について説明しましたが、今回は反対に企業を活性化させる視点での文書管理の効果について説明します。

ナレッジとなり得る情報は埋もれている

文書管理が行われていない会社では、ナレッジの共有が遅れます。
ナレッジは、個人単位、よくしても部門単位で共有されて、
社的に共有化されず、また拠点間でも広がることはありません。
たまにあるのは、人が異動したから。
そうです、ナレッジとなり得る情報は人に紐付いているのです。
もちろん有能な人材には重要な情報が紐付いるわけですから、あまりまえかもしれません。

しかし、文書情報管理によって、それらを会社の資産のしていくことは可能です。

よくある情報共有の問題

会社の中で、情報共有に関してよくある問題を見て行きましょう。

■情報が収集できない

「これをできるのはあの人しかいない」という場面はどの会社にも見られます。
センスだったりとか手先の器用さとか、その個人固有の能力に係わる部分もありますが、
頭の中から知っていることを出さない姿勢を貫いている人もいます。
また、その情報さえ知っていれば他の人にもできるのに情報を囲ってしまう人もいます。

頭の中から出ているけれど、個人の机の引出に入っているとか、
個人で使用するクライアントPCに入っているとか。。。

自分のポジションを守るために意図的に行う人、
そんなつもりはないけれどそれが当たり前だと思っている人もいます。

情報が属人化してしまいますね。

■情報が探せない

共有のキャビネットやファイルサーバーに入れられた情報が探せない問題もあります。
どこにあるかわからない。
わからないから再度作成し直すというムダも生じてしまいます。

以下は、米国IDC社の調査報告書ですが、これによりますと
    ・「文書を探すが見つからない」は、1週間あたり2.7時間
    ・「見つからない文書の再作成」は、1週間あたり2.3時間

となっています。
出典:2012.9 日本国内のインフォメーションワーカーが抱える生産性ギャップ:IT部門の新たな課題と機会
米国IDC(International Data Corporation :IT専門の調査会社)
せっかく前に作った文書があるのに、見つからなくて再度作成したなんて、何とも残念な話です。
探すよりも作っちゃった方が早い!なんてさみしい。
会社の誰かが作ってくれた資料が探せて、それが生かせて、時間が短縮できて、品質が上がれば、
ものすごくいいのに。

■情報がメンテナンスされていない

共有化されていて探せるのはいいけれど、
同じようなものがありすぎて何を使ったらいいかわからないこともあります。

    ・最新バージョンがわからない
    バージョン番号の付け方は、人によってまちまちであったり、
    また、バージョン番号自体がついておらず、
    最新版の特定に時間がかかってしまう場合があります。

    ・置き場所が特定されていない
    会社の中で文書分類が周知されていないため、
    文書の置き場所がわからず、どこを探していいかわからないため、
    探すのに時間がかかったり、結局探せなかったりします。

電子文書の場合は、ファイルサーバーのディレクトリ構成が社内でルール化されていないとファイルにたどり着くことができません。検索で探してみたら、同じような名前のファイルがいろいろなフォルダから出てきてしまったなどということはないでしょうか。

文書管理で属人化防止や情報共有に対して何ができるか

前章で掲げた問題点を文書管理の導入で解決することができます。
それには、3つのポイントがあります。

■社員の意識を高める

文書管理の目的やメリットを社内で共有します。
文書管理は仕事の習慣を見直すようなところもあり、
「今までのとおりにやりたい」とか「めんどくさい」とか
考えてしまわれがちです。
少し視点を変えて考えてもらうように研修などで社員に浸透させます。
仕事の情報は会社のもので個人でとっておくものではないことを理解してもらうのです。

■ルールの作成

会社全体で共通のルールを持ち、情報を組織化します。
ルールの最上位にあるのは文書取扱規程ですが、これは文書管理における憲法のようなものです。
ものすごく重要なものですが、現場で整理削減を実践するためには、
記載事項があまり具体的でなくちょっとかけ離れています。

そこで、もっとかみ砕いて文書管理の実践方法を説明したマニュアルを準備します。
さらに、分類を決めます。分類は文書の選別にとって必要であり、
これによって文書が探せるようになるかが決まる重要なものです。
業務プロセスなどを考慮し、関係者で合意をとって決定します。

■維持継続

文書管理を導入した状態を保つ、また、ニーズ応じて改善していくために、維持継続の活動が必要です。

古いファイルがそのままだったりしたら、
その情報を使って仕事をしてしまう人もいるかもしれません。
あまり手が入っていないような状態が普通となれば、
だれも共有の場所を使わなくなり、大事なものは個人で管理する人が増え、
結局、元に戻ってしまったという例も多々あります。

維持継続を行うためには、監査などを行って客観的な視点で評価し、
是正するような仕組みを作りましょう。

事例:特定のテーマのナレッジを共有する

前章では、文書管理がナレッジとなり得る情報を
    ・取得
    ・組織化
    ・メンテナンス化

することで問題の解決を図れることを説明しました。

さらに利用を活発化するにはどのように考えたらいいのでしょうか。
ここで、特定のテーマでデータを集約して活用している例を紹介します。

この企業で特に活用が必要なのは、
今までの製品(主に出版物)に使用した(あるいは使用することを検討した)
写真、映像、テキスト資料などでした。
写真、映像、テキスト資料は、
事業を開始した60年ほど前から蓄積しているもので、
保存メディアは以下のように多岐にわたります。

    ・写真資料 : フィルム、紙焼き、デジタルデータなど
    ・映像資料 : 8mフィルム、VHS、ベータ、DVDなど
    ・テキスト資料 : 紙資料、スキャン画像、デジタルデータなど


これら資料を保管し活用するため計画的にデータベース化を進めています。

まずは保存メディアにかかわらず台帳の作成を行いました。
このことによって、全体像がわかり、計画が立てやすくなります。

次に検索ワードについて、利用部門に調査を行い、
適切なワードをタグとして付与するようにしました。
これは、先ほどの文書管理の説明では、分類の決定に相当します。

このプロジェクトでとても優れていると感じたことがありました。

    ・PDCAを意識した構築と運用
    フィルムや紙なども新しいメディアに取って代わってきたように、
    データベース基盤も変遷していくことを前提と考え、
    利用部門からの要望を吸収するとともに、
    新しい技術を取り入れるなど常にPDCAを意識して進めていました。

    ・属人化を防ぐ体制
    このプロジェクトを進めているメンバーに対して、
    仕事が絶対に属人化しないように、
    徹底して暗黙的な知識を表面化させるようにリーダーが導いていました。

高いリーダーシップ能力を持ったリーダーが、
中心となっていることで実行できたプロジェクトだと思いますが、
そのリーダーの情報共有を重要視する面が表れていました。

■■ まとめ ■■

社内情報の活用を積極的に進めることは、個人の潜在能力を引き出し企業を活性化させます。
また、文書情報利用調査によって、優先して共有すべき事項を定め、集中的に行うこともお勧めします。
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