文書をナレッジとして活かすその3回目です。 今回は、情報の利活用(循環)について考えてみましょう。
前回、文書のライフサイクルの中でのナレッジの発生について説明しました。 業務の現場から発生するもの、文書が本来の役目を終え選別されてビジネスアーカイブになったものなどがナレッジとして蓄積されていきます。
図の右側にあるナレッジを今度は業務に活かします。下の図はそのイメージです。
文書の作成では、蓄積されたものを利用して文書を作成する時間の短縮ができますし、作成者がそのときは知らなくても、その企業の誰かが先に知った知識を盛り込むことができます。つまり、低コストで高品質の仕事ができるわけです。
下記の調査結果は、このサイトでもよく取り上げているIDCの国内のインフォメーションワーカーに関する調査結果の抜粋です。
「処理」のフェーズでは、文書は業務フローに沿って部門や人の間を巡り判断されながら、最終的に意志決定されます。
このときの判断材料の資料としてナレッジが使われます。
企業としてナレッジが整えられていない場合には、社員それぞれが工夫を凝らして判断に必要な情報を自分の身の回りにストックして、日常業務をこなしている場面が多く見受けられます。
結果、個人管理のストックが多くなったり、会社全体から見て知識のムラができたりするのでないでしょうか。
ひどい場合は、情報を共有せずに自分の中に囲っておくことで自分の存在価値を高めようとする人もいます。
経営側などの上層部から見ると「共有してもらいたいなあ」と思う状況です。
末端の社員からは、持っている情報で差をつけようとする尊敬できない先輩に見えるのではないでしょうか。
戦略的・計画的にジョブローテーションを行っている企業も多いとは思いますが、やりたいけれどもできないと考えている企業も多いようです。
そのできない理由のひとつが仕事の属人化です。思い切った人事異動を行うことによって生じるロスの発生が予測されてしまい、とても踏み切れないと判断されてしまいます。
ナレッジとして蓄積し、ノウハウを整理しすぐに引き出せるようにしておけば、属人化は防げるものです。そして、ジョブローテーションなど長期的効果の見込める取組みが実行可能となります。
新しいことするときには、まず情報収集です。組織的な情報収集の仕組みがあれば、情報収集の時間を短縮することができます。
例えば、先輩が過去に行った情報収集を知らず、最初から調べてしまったなどどいうことを防ぐこともできます。
また、製品やサービスを企画する場合、その企業の強みを活かすために、自社のことも知らなければなりませんが、蓄積されたナレッジからそれらを得ることができます。
その企業のブランドを明確に社外に示すことができ、社内においても浸透させることができます。
その企業の創業時にスポットを当てた、新人研修資料を作成し、企業DNAを継承する取組みをしている企業もあります。
訴訟発生時に、証拠資料としての利用することも念頭に蓄積をすすめている企業もあります。
みなさんの会社でも、文書管理、情報共有をナレッジまで発展させて、知識の循環を行ってみませんか。
きっと大きな効果があるはずです。
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