文書管理研修をやってみよう!

「文書管理のルールが浸透しない」「文書管理に対するみんなの意識が低い」などといった悩みを持つ企業は多いのではないでしょうか。そんな時は文書管理に関する教育を実施する必要があります。
今回は文書管理の研修内容についてご紹介します。

文書管理の目的を紹介する

まずは文書管理の目的を明確にして伝えます。
特にメリットを中心に伝えるとよいでしょう。
メリットとはみんなにとっての「うれしいこと」でもあります。
こうしたことを冒頭に伝えることで、
研修を受けることへの意欲が向上しますし、
文書管理に取り組むことへの動機付けにもなります。

文書管理のメリットには、主に次のようなものがあります。

①業務の効率化

文書管理を徹底することによる効果として、
業務効率化が挙げられます。

情報を捜索(検索)する時間が短縮されることや、
見つからないことによる文書の再作成が無くなること、
間違った情報を使うことによるロスが減るなどといった効果です。
また文書が共有されることにより業務の属人化が防止され、
人事異動時の引継ぎが円滑になるといった効果も期待できます。

つまり文書を作成したり探したりする時間が短縮されるということになります。
昨今では生産性の向上が求められていますが、
それには文書管理に取り組むことが効果的であると言えます。

②リスク低減

文書管理の徹底により、文書の漏洩や紛失、盗難などのリスクを減らすことができます。
またトラブル発生時の証拠管理、係争対応が向上し、
円滑な事業継続とともに、顧客から信頼維持にも貢献します。
製品やサービスの受け手である顧客だけでなく、
自社で働く社員も守ることにつながるということを強調しましょう。

危機意識を持つためにも、
情報漏洩や紛失事故などの事例を紹介するのもよいと思います。

③顧客対応力の向上

どこにどのような文書があるかが把握できることにより、
顧客への対応が迅速化できます。
また正確な情報を提供できることや、
担当者不在時にも代理対応が可能になるなど、
顧客から信頼維持・向上につながります。

特に顧客と接点の多い営業部門には魅力的なメリットと言えます。

④職場環境の改善

情報の共有化が進めばコミュニケーションも活発になり、
組織が活性化することが期待できます。
またノウハウなどの情報資産が共有されれば、
新たなアイデアの創出にもつながり、
未開拓需要の掘り起こしや新たな事業展開につながるなどといった大きな効果も期待できます。

このように会社だけでなく、働く自分たちにもメリットがあることを伝え、
文書管理に取り組む動機づけを作ることがポイントです。

文書管理の基本的な知識を紹介する

文書管理に取り組む上で、
基本的な知識も必要です。

組織のメンバー全員に細かなことを伝えると、
取り組む意欲が低下して、逆効果となってしまいます。
最低限、次に示すようなポイントだけを伝えるとよいでしょう。

①文書のライフサイクルについて

文書には発生してから廃棄するまでのプロセスがあり、
それを文書のライフサイクルと呼びます。
具体的には次のようなものです。

文書管理のルールは、
このプロセスごとに設定することになるので、
文書のライフサイクルについては説明しておくとよいと思います。

②文書の保存年限

どのような組織においても、
文書の保存年限は定める必要があります。

組織のメンバー全員がきちんと理解しておかなくてはならないのは、
法定保存文書です。
これは業種・業態によって様々な法令が省庁から定められているので、
最新の情報を確認し、正確な情報を伝える必要があります。
当社では法定保存文書の一覧を販売しいますので、
サンプルはこちらをご参照ください。
法定文書以外にも、
企業にはたくさんの文書は発生します。
コーポ―レート系文書や事業系文書を問わず、
発生する文書種類を洗い出し、
それぞれの文書に保存年限を設定することが重要であることを説明しましょう。

文書保存年限はどう決める?その考え方とは?
また保存年限と関連して、
その起算日に関する知識も重要です。

起算日とは、保存期間のカウントを始める「起点」のことです。
文書の保存年限の起算日は、文書が完結した年(度)の翌年の期首となります。
これを間違えると保存期間満了前に廃棄してしまうなどの誤廃棄が生じますので、
間違えの無いように説明をしましょう。

③個人文書と仕掛中文書

業務で作成した文書は、原則、組織文書です。それらの組織文書は、組織内に共有され業務に利用できるようにしておかなければなりません。

一方、自分だけの複製文書や思い出深いプロジェクトなどの中間生成物で他の人は業務に絶対使わないものは個人文書となります。
これらは組織にとっては必要ないので、
共有のキャビネットや共有フォルダに置かないよう注意を呼びかけましょう。

また承認を得るまでの作成途中の文書を、仕掛中文書と呼びます。
承認までを終えた完結文書があれば、原則、仕掛中文書は削減できるので、
保管してスペースを圧迫しないようにアナウンスしましょう。

紙文書の管理

研修を通じて、紙文書の基本的なファイリング方法を伝えます。
ファイル用具やファイリング方法を、組織で統一することが必要なためです。
ファイル用具にはドッチファイルやファイルボックス、文書フォルダなどがありますが、
それぞれの特徴には次のようなものがあります。

〇ドッチファイルの特徴

・利点 文書がばらばらになりにくい。文書の順番が固定しやすい。
・欠点 リングやパイプなどのとじ具があるので、出し入れがしづらい。
→向いているもの : 帳票、コンピュータのアウトプット用紙


〇ファイルボックス(中に文書フォルダを収納)

・利点 検索しやすい、後から発生した文書を途中に差し入れしやすい。
・欠点 文書の量に関わらずボックスの幅で場所を取ってしまう。
→・向いているもの : ほとんどの文書

収納する紙文書のサイズや、縦長・横長文書ごとに収納する向きを統一することがポイントです。

その他、ファイル用具へのラベリング方法や、
紙文書の廃棄方法(シュレッダーを用いるなど)についても解説するとよいでしょう。

電子ファイルの管理

電子ファイルはまず、
ファイル名の命名ルールを統一して伝えることが重要です。

ファイル名の構成要素は主に、
「日付」「内容」「バージョン」とするのが一般的です。

あとは日付の和暦・西暦や桁数、
構成要素をつなぐ記号など、
細かな取り決めをします。

ファイル名の付け方に関する記事はこちら
あとは保管場所の棲み分けルールです。

多くの企業は、文書管理システムの保管領域をはじめ、
ファイルサーバーやNAS、クラウドストレージなど、
複数の保管領域を持っています。

こうした場合、文書の種類やステータスに応じて、
保管場所の棲み分けルールを決めなくてはなりません。

主な基準としては、完結文書か下書き文書かということになりますが、
その他にも過去からの引継ぎ文書や、
規則・マニュアルなどの常用文書などを、
どこにどのように保管するかを決めて、
みなさんに伝えるようにしましょう。


今回は文書管理研修を実施する場合の、
主な内容についてご紹介しました。

その他にも自社が抱える課題についても触れ、
その解決策を示すとよいでしょう。

文書管理の実践を薦めたい方は、こちらからダウンロード可能です。

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