文書管理DX化 気を付けるべきポイントとは?

2023-1-13
現在、多くの組織でペーパーレス化が進んでいることと思います。今後文書管理において、その発生から廃棄までを完全に電子文書でで行うことになるでしょう。
今回は、電子文書での運用のポイントを文書のライフサイクルのフェーズ毎に説明いたします。

文書のライフサイクルとは?

この組織の知カラサイトで、何回も出てきていますが、文書のライフサイクルを今一度確認してみましょう。
文書には人間と同じく生まれてから死ぬまでのライフサイクルがあります。

文書のライフサイクル

上の図のように、生まれ(発生)てから若い時はいっぱい活躍(処理)して、落ち着いて人にいろいろ聞かれる年代(保管)になり、だんだん聞かれなくもなり(保存)、最後には去る(廃棄)あるいは第二の人生(歴史的文書の保存)。。。本当に人間みたいですよね。

文書は生き物ではないですが、生まれたものは何でも永遠にそのままではないということを改めて思います。
電子文書は無機質なものですが、これを意識して回していく仕組みを作らないと機能不全に陥ります。

それでは、次から各フェーズ毎に見ていきましょう。

■発生フェーズ

文書が生まれるこのフェーズでは、以下の2つのポイントがあります。

 ・会社標準のアプリケーションで作成する。
 ・ルールに沿ったファイル名を付与する。


■会社標準のアプリケーションで作成する

まずは、「会社標準のアプリケーションで作成する」ですが、今後組織内で共有されこの文書が修正されたり、他の文書を作成する際の元ファイルになることも考えて、標準的なアプリケーションで作成します。
また、作成するファイルのファイル形式にも配慮します。


■ルールに沿ったファイル名を付与する

次に「ルールに沿ったファイル名を付与する」です。この発生のフェーズでファイル名が決められるので、このタイミングで会社のルールに沿ったファイル名を必ず付与します。
ファイル名の付与については、含めるべき要素やポイントなどがあります。

詳細は、以下の記事をご覧ください。

この記事では、電子文書ファイルのネーミングルールについて説明しています。

■処理フェーズ

この処理のフェーズが紙文書に比べて特に電子文書が活躍する場面です。ワークフローやメールへの添付、電子掲示板や回覧など電子文書の特徴を活かし、高速に複数への一括配布等が行なうことができ、業務がスピーディになりました。

文書管理の範疇というよりも、電子文書の場合は各システムにゆだねるところになります。
具体的には。。

・ワークフローシステム(電子決済システム)
・電子メール
・電子掲示板
・電子契約システム

となります。

■保管フェーズ

作成された文書を保管するこのフェーズでのポイントは2つあります。

 ・アクセス権の設定をする
 ・保管場所をどこにするか


この2つは密接な関係があり、共有フォルダ(ファイルサーバーやクラウドドライブ)などの保管場所は、アクセス権と紐づかせて設定しセキュリティを担保します。

■アクセス権の設定をする

まずは、ファイルアクセスの方針を決めます。例えば、他部署は閲覧させないとか、部署間共有フォルダの取扱いとか、職位に応じたアクセス権のあり方などです。
次に、共有フォルダ(ファイルサーバーやクラウドドライブ)のフォルダ階層に対してアクセス権を決定します。文書管理システムであれば分類ごとに設定することになります。フォルダ構造(または文書分類)とアクセス権の関係は表などにして可視化するよいでしょう。ヌケモレの発見もできます。
表を元にシステムの設定を行います。

■保管場所をどこにするか

次に保管場所ですが、これは、共有フォルダ(ファイルサーバーやクラウドドライブ)でいえばフォルダ構造となり、文書管理システムでいえば分類ということになります。これらはその組織内でなるべく合意を得て決定します。

後々、文書を探して閲覧したり、保存年限が過ぎたら廃棄するなどの作業が必要であるため、どのようなフォルダ構造(または分類)にするかはとっても重要なこととなります。

以下の記事では共有フォルダのフォルダ分けについて説明をしています。

■保存フェーズ

紙文書の「保存」は文書庫や外部倉庫であるのに対して、電子文書の場合は「保存」はアーカイブメディア(テープ、光メディアなど)やアーカイブ領域となります。
保存フェーズになる文書は長期に渡って保存するもの出てきますので、その点も考慮する必要があります。

■ファイル形式や保存メディアの読み取り機器も考慮する

では、長期保存可能なフォーマットとはどんなものがあるのでしょうか。一般文書の場合は、国際標準として定められているPDF/A(注1)が多く使用されています。

また、国立公文書館の調査では、
「英米豪の国立公文書館などでは、長期保存にあたってのリスク(見読性が確保できないリスク等)を評価し、そのリスクが高い場合にのみ「長期保存フォーマット」への変換を行うなどの取り組みを行っていた。
・オフィス系のファイル・フォーマット(Word、Excel等)でも国際標準化等が進み、英米豪の国立公文書館などでも、保存上のリスクがPDF/A等に比べて著しく高いわけではないと評価していた。」と報告されています。(注2)

この事例からすると、長期保存する電子文書を一律にPDF/Aへ変換する必要はないということになります。ただし、どのフォーマットが保存上のリスクが高いのか低いのかを明確にしておく必要があります。
また、PDFにすればその電子文書の内容について改ざんは不可能になりますが、WordやExcelは編集可能なため改ざんができてしまいます。この場合は、保存するシステムやメディアでアクセス権を管理して改ざん防止をしておくことも必要です。

「特定のフォーマットに変換しさえすれば、永久保存に耐えられるというものではなく、一定年月を経れば、技術動向を踏まえた点検や変換等が都度必要になるであろうことをうかがった。」とも報告されています、(注2)

つまり、長期保存については保存する意思をしっかり持って、そのリスクの度合いから定めた間隔での定期的な確認が必要になるということになります。

注1:Wikipediaより https://ja.wikipedia.org/wiki/PDF/A
注2:令和4年11月9日(水)第99回公文書管理委員会 「電子公文書等の長期保存フォーマットを含む
長期保存に関する調査検討」の状況について 令和4年11月 独立行政法人 国立公文書館
https://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2022/1109/shiryou4-3.pdf

■廃棄フェーズ

最後に廃棄のフェーズです。ここでは2つのポイントを説明します。
 ・保管期間を明確にする
 ・歴史的な保存文書を移管する


■保存期間を明確にする

まず一つ目の「保管期間を明確にする」ですが、文書の保存期限がいつまでかがわからないと廃棄ができませんし、期限が明確でないと誤廃棄事故にもつながります。特に法律で定められた保存期間がある場合は問題が社外へ波及してしまいます。
文書分類保管期間表を作成・更新して、運用に使用できるようにしておきます。

また、法定保存文書の場合は、電子保存が可能なのかと可能だとしたらその要件も明確にしておきましょう。

以下の記事では、法定保存文書の確認・見直しについて説明しています。

■歴史的な保存文書を移管する

次に「歴史的な保存文書を移管する」ですが、保存期限が過ぎた文書や業務上その使用価値を失った文書は、廃棄してもいいことにはなります。それは、業務上の視点からの判断基準です。

長期的な視点(経営的、企業文化的)からすると必要な場合があります。そのような文書は、業務担当者が判断するのではなく、企業のアーカイブ担当や社史編纂室、史料室など専門に担当する部署が行います。
以降その保管もその部署が請け負います。

企業で歴史的文書を保存する仕組みをもっているところは少ないかもしれませんが、このような仕組みを作り、企業アーカイブを有効に活用している会社もあります。

今後は電子文書だけで文書のライフサイクル完結することになります。そうすると、歴史な価値の視点から文書を選別するタイミングが失われやすいと危惧しているため、あえて、ポイントとしてあげました。

■■ まとめ ■■

今回は、DX化が進められるであろう文書管理について、文書のライフサイクルに合わせて説明をしました。
それぞれのポイントを確認して進めていっていただけたらと思います。

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文書コンサルティング/石川

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