共有フォルダの電子文書はどう管理すべきか?(フォルダ分け編)

2022-4-8
紙文書から電子文書へ、加速度的に移行する中、電子文書の管理方法について頭を悩ませている企業はとても多いようです。今回は、公開されている行政文書の電子的管理に関するマニュアルから企業でも応用できるフォルダ分けについて見ていきます。

電子的管理に関するマニュアルとは?

今回参考にするマニュアルは、政府の公文書管理委員会で参考資料として公開されたものです。

公文書管理委員会とは、国民共有の知的資源である公文書等の適切な管理に関して、専門的・第三者的な見地から調査審議を行うため、平成22年6月28日、内閣府に設置されました。

そして、この委員会は、公文書管理法における行政文書管理規則(第29条第2号)や利用等規則(同条第2号)などについて調査審議を行い内閣総理大臣に対し答申を行う役割を担っています。

令和4年2月4日の第93回公文書管理委員会の資料の1つに「共有フォルダにおける行政文書の電子的管理に関するマニュアル(案)」があり、今回はこちらを参考に見ていきます。

参考にしたい「共有フォルダの分別」

このマニュアルでは、共有フォルダ内を大きく次のように4つに分別しています。まずは組織的検討を得た行政文書、次に作成途中の行政文書個人的な執務参考資料、最後に組織参考資料です。

この分け方は多くの企業でも参考にできる考え方となっていますので、具体的に企業の場合に置き換えながら見ていきましょう。

■組織的検討を得た行政文書(記録用フォルダ)

一般企業では、完了文書、決定文書や正式文書といわれるものです。

多くの企業では、文書管理システムを導入している場合には、ここに該当する文書を投入しているケースが多いです。

■作成途中の行政文書(検討中フォルダ)

仕掛中文書と呼ばれるものです。仕掛中文書をあえて分ける意味は、確定していない文書を他者が参照したときにその文書が「確定している」という誤解を防ぐためにあえて検討中であるフォルダに入れるということにしているようです。

■個人的な執務参考資料(個人用フォルダ)

多くの企業では個人文書といわれています。下書きや個人のメモなどを入れる場所としており、多くの企業では、クラウドストレージの個人ユース領域や個人PC内のファイル領域が該当します。

ここで気を付けなければならないのは、共有化すべき文書を個人で持ち続けることのないようにすることです。組織の文書は必ず「記録用フォルダ」か「検討中フォルダ」に格納するようにします。

この個人フォルダにあるものは、当人がその企業を去る時には、原則廃棄されるものとなります。

■組織参考資料

 ここには、その部門で参照する資料を格納します。

 法務部門:法令集や逐条解説の電子データ

 技術部門:分野に関連する論文などのナレッジ資料

 製造部門:部品等のカタログや機械のオペレーションマニュアル

組織の規模が小さい場合は、2番目の検討中フォルダをなくし、仕掛中のものは個人フォルダで管理して、完了した時点で記録用フォルダに移行させる方法でもよいでしょう。


共有フォルダ体系(ツリー)はどうする?

組織で文書をストレージなどで共有する場合、その体系をどうするかについて、みなさま頭を悩ませていらっしゃいます。特に、先ほど4つの大別したフォルダを紹介しましたが、組織にいる方々全員がアクセスするフォルダとなるため、合意の取れたものでなくてはなりません。
以下、ポイントを説明いたします。

■分類基準表に合わせたフォルダ体系とする

例えば、以下のような分類基準表があるとします。この分類基準表には、大分類、中分類、小分類が記載されています。この分類を利用してフォルダを作成します。

分類基準表の例

分類基準表についての説明はこちらの記事に掲載されています。
上記の分類基準表を元にしたフォルダ構造は以下のとおりです。

フォルダ構造(標準)の例

当該マニュアルでは、上記のように提示されています。以下、ポイントを見ていきましょう。

■【大分類】【中分類】【小分類】

それぞれの頭に【大分類】、【中分類】、【小分類】を付けることが標準では推奨されています。少し、冗長であるような印象も受けますが、大中小分類が上位フォルダや下位フォルダを確認せずに明確になる利点があります。

■フォルダの番号付け

分類基準表との順番における整合性を配慮してフォルダ名の先頭に番号を通し番号を付与します。共有フォルダでは通常は文字コード順にソートされますので、並べたい順番を意識して番号を付与することをお勧めします。

■名称の長さに注意

フォルダ名とファイル名を合わせたパス名が長い場合、共有フォルダの操作に不都合が出ることも注意点としてあげられています。

パソコンで『対象のパスが長すぎます』と表示されて操作ができないことを経験したことはありませんか?「ファイルとフォルダ」の絶対パスが259文字を超えているような場合、操作に支障が出ることがありますので要注意です。

※絶対パス:フォルダ最上位階層から示したファイル位置を表す表記法

   例: C:\Users\tamako\デスクトップ\Sample.xlsx

年度の管理ははどうする?

当該マニュアルには、年度毎に管理するための方法が書かれています。官公庁では年度というものがどの業務でも意識されます。

企業の場合は、コーポレート系(総務、経理など)は同様にこの年度を意識した文書の管理を重要視していると思います。部門より年度をまたがって案件として管理しているところもあります。
以下は年度を管理する参考としてご覧ください。

■大中小分類は年度毎に作成する

年度管理を行うことを前提に考えますと、大中小分類は年度ごとに作成することが望ましいとあります。

大中小分類を年度ごとに作成した例

上位階層で年度管理を行うことにより、保存期間満了時の措置や一定期間経過後の集中管理への移行が円滑に行われます。
また、応用例として複数年度にまたがって案件が継続するような場合は、年度ごとに小分類を作成するなど、年度を上位階層では無く下位階層で作成する方法も案内されています。以下の例は小分類より下を年度で分けた場合です。

下位層で年度フォルダを作成した例

小分類フォルダについて

最後に最小単位の小分類フォルダについて見ていきましょう。
マニュアルでは「小分類フォルダ」が「行政文書ファイル」に相当するとあります。ここは企業の方にとってはちょっとイメージしにくいかもしれません。ただし、小分類フォルダに関する注意点はとても参考になると思います。
では、ポイントを見ていきましょう。

・保存期間や保存期限満了時の措置を示す符号を名称に取り込む。
例えば、保存期間が5年、保存満了時の措置が廃棄の場合は、小分類の名称を【小分類:05廃】とすることが例としてあげられています。

・小分類が相互に密接な関連を有する行政文書の集合体になっているか。なっていなければ名称を付け替えることやフォルダの分割も検討する。
ただし、この場合は分類基準表も合わせて更新が必要です。

・小分類より下位のフォルダは、業務遂行上必要に応じて作成して差し支えないが、経緯も含めた意思決定に至る家庭並びに事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができる適切なフォルダ体系とする。
具体的には、深すぎる階層は作らないことや、最終版がわかりやすいフォルダ体系などとなります。つまりここでも社内で合意された認識に基づいてフォルダ分けする必要があるということになります。


■■ まとめ ■■

共有フォルダの整理について、今回は公文書管理委員会の資料を参考に見ていきました。階層フォルダの名称や年度の考え方など多少民間企業との違いはありますが、参考になる部分も多いと思います。
一般的な基準の例として、整理の際に参考にしてみてください。

※参考文書
・2022年2月4日開催 第93回公文書管理委員会
 資料3-2-3  共有フォルダにおける行政文書の電子的管理に関するマニュアル(案) https://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2022/0204/shiryou3-2-3.pdf

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