共有フォルダの電子文書を管理する(ネーミング・共有編)

2022-5-13
今回も、公開されている行政文書の電子的管理に関するマニュアルから企業でも採用できる具体例を見ていきます。そして今回は、ネーミングと共有方法について確認していきましょう。

今回参考にするマニュアルは、政府の公文書管理委員会で参考資料として公開されたものです。

公文書管理委員会とは、国民共有の知的資源である公文書等の適切な管理に関して、専門的・第三者的な見地から調査審議を行うため、平成22年6月28日、内閣府に設置されました。

そして、この委員会は、公文書管理法における行政文書管理規則(第29条第2号)や利用等規則(同条第2号)について調査審議を行い内閣総理大臣に対し答申を行います。

令和4年2月4日の第93回公文書管理委員会の資料の1つに「共有フォルダにおける行政文書の電子的管理に関するマニュアル(案)」があり、前回に引き続きこちらを参考に見ていきます。

ファイル名のネーミングルールは?

個人的なファイルでない限り、ファイル名は日付や文書の種類やキーワードなどを入れて作成されるのが一般的です。また、それらは、組織で統一されていないと並び順がうまくいかなかったり、ファイルを探すことができなくなってしまいます。
このため、ファイル名の付与についてのルールはとても重要であるといえます。
さて、当マニュアルではどんなことが推奨されているのでしょうか。

■全体的な留意事項

まず、大原則として、「行政ファイルの内容を端的に示すキーワード(例:公文書管理委員会)を記載し、特定の担当者しかわからない表現・用語は使用しないこととする。」とあります。

■内容を端的に示すとは

では、具体的にはどうすればよいのでしょうか。
電子ファイルの文書の標題には文書の内容が現れているため、そのまま採用するか、長ければキーワード化をして内容を表すようすることが推奨されています。

■性質の表示とは?

次に「性質」を記述することが推奨されています。
さて、この性質とは何を指しているのでしょうか。当該マニュアルでは、「いつ、何のために作った、どの段階の文書であるかが類推できる「性質」を表す文言を付与する」とあります。そのポイントは、以下のとおりです。

①同一内容の文書は同じ名称体系として、性質により分別できるようにする。
②作成したまたは使用した日を記載する。その場合は、数字のみで表すような桁数を揃えることが適当である。
③組織的な検討を終えて作成されたものは、意思決定の段階に係る表示をする。

これを企業の場合に置き換えて示してみましょう。

ネーミングの例

また、4番目として「写し」として扱うべき電子ファイルの名称について言及があります。これは、同じファイルのコピーでも正本と写しの取扱いを明確にするという意味で重要です。

■電子ファイルの複製

電子ファイルの複製については、「複製物に係る行政文書の管理」に記載されています。

ここで言う「複製」とは、もちろん、個人が自分の仕事の便宜のために持っている電子ファイルのことではなく、組織で共有すべき電子ファイルのことです。複数のフォルダに同じ電子ファイルがおかれることは、原本管理の観点から望ましくはありませんので、複製は極力すべきではありません。

しかし、運用上複製した方が、望ましい場合もあります。当該マニュアルでは、異なる業務プロセスで管理される場合は複製で運用することが解説されています。

では、これを企業に当てはめるとどんな場合になるのか考えてみましょう。

■異なる業務プロセスで管理される場合

経理部で作成した「部ごとの経費一覧」という電子ファイルがあるとします。

経理部ではこれを電子ファイルのオーナーとして管理します。したがって、法律に従った年数、あるいは、それ以上の年数が会社の規程などで決められていたらその間は責任を持って保管します。

一方で、営業部ではこのファイルを次年度の予算管理に使用するため、3年分は利用したいと考えています。

ファイルの複製をなるべく増やさない考え方であれば、経理部の該当フォルダに営業部のアクセス権を読み取りで示す方法も考えられるかもしれませんが、そのためにアクセスされる範囲を検討したり、3年間経過したら営業部のアクセス権をはずすなどの運用管理が煩雑になることが予想されます。

それよりも、複製を作成して営業部で運用してもらった方がスマートです。

その場合は、「写し」であることがわかるようにファイル名を原本と区別し、末尾などに「写し」などど入れておくとよいでしょう。

「異なる業務プロセスで管理される場合」はイメージできましたでしょうか。

ネーミングルールについてのまとめ

・ファイルの名前は、内容や性質がわかるものとすること
・原本と複製を区別できるように名前をつけること

電子ファイルの共有

■電子ファイルには増える要素がいっぱい

電子ファイルは、複製の作成が簡単にできてしまいます。それは、とても便利なことですが、複製ファイルが増えれば、重複管理の原因になってしまいます。ストレージを無駄に圧迫する原因にもなります。

■バージョン違いによる事故の原因にも

オリジナルのファイルが変更されても気づかず、自分のPCに保存したファイルを閲覧していた。。というバージョン違いによる問題も起こりにくくなります。

■複製物によらない情報共有

したがって、当該マニュアルでは「複製物によらない情報共有」が推奨されています。
これは多くの企業でも頭を痛めていることだと思いますので、どんなことが推奨されているか紹介いたします。


・できるだけメールでファイルを送付しない。

メールでファイルを送付すると、そのファイルを閲覧・利用するためにメールを受け取った人は自分のPCへダウンロードをすることになります。メールの送信先がこれを行うとすると、ファイルは倍以上に増えていきます。

・共有フォルダへのリンク表示をして電子ファイルを案内する。

電子ファイルの複製を増やさない対策として共有フォルダのリンク表示が推奨されています。こうすれば、メールでファイルの案内を受けた人もファイルを増やすことなく、閲覧することができます。

実際に、トップダウンで社内のやり取りに関してはメールでも添付ファイルの送信を禁止して、クラウドドライブのURLを示している企業もあります。

・掲示板への掲載や全社的な共有エリアを設定する。

共有フォルダのリンクとは言っても、部外への共有は禁じられていたりなど、アクセス権の問題が立ちはだかることも想定されます。その場合は、グループウェアなどの掲示板を使用したり、組織横断的な(全社的な)共有フォルダを別に設定してファイルの共有を行うことが推奨されています。

組織横断的な共有フォルダを設けている企業は実際多く見られます。ただし、このエリアが無法地帯となるケースも多いようです。

※こんな問題も

共有先がいわゆるファイルサーバーの場合、電子ファイルの格納先のフォルダ構造やフォルダやファイル名称が変更された場合、アクセスに支障が出てきてしまいます。したがって、変更が生じた場合新たなパスを案内する必要があり、悩ましいところです。

さらに2つのタイプのファイル共有について

■文書の利用方法には2種類

仕事上で電子ファイルを使用する場合、検討段階から参加する場合と、完成された文書を参照する場合の2種類があります。
ここで、このサイトではおなじみの文書のライフサイクルで確認してみます。
文書には生まれてから死ぬまでのライフステージがあります。下記の図のように、発生→処理→保管→保存→廃棄となっています。
検討段階から参加する場合は、「発生」と「処理」のライフステージであり、完成された文書を参照する段階は、「保管」と「保存」です。

文書のライフサイクルと仕事で電子ファイルを利用する

■検討中フォルダと記録用フォルダ

さらにこれらはその段階で管理を「検討中フォルダ」と「記録用フォルダ」で別にすることが推奨されています。

文書のライフサイクルと仕事で電子ファイルを利用する

・検討中フォルダ

検討をするメンバーにアクセス権を持たせるようにします。同じ部門であれば通常のアクセス権で問題はないかもしれませんが、部門を超えたアクセス権が必要になることもあるでしょう。

・記録用フォルダ

原則、完成された電子ファイルの責任部門のフォルダで管理します。

閲覧する場合のアクセス権に影響が出る場合には、電子ファイルで共有するで説明したように、掲示板への掲載や全社的な共有エリアを設定します。

共有についてのまとめ

・電子ファイルの複製物をできるだけ増やさない。
・フォルダの共有はアクセス権に配慮する。

   

■■ まとめ ■■

共有フォルダの整理について、前回に引き続き公文書管理委員会の資料を参考に見ていきました。今回はネーミングや共有についてでした。特にファイル共有については、企業でも大いに参考になることと思います。

※参考文書
・2022年2月4日開催 第93回公文書管理委員会
 資料3-2-3  共有フォルダにおける行政文書の電子的管理に関するマニュアル(案) https://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2022/0204/shiryou3-2-3.pdf

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