今回参考にするマニュアルは、政府の公文書管理委員会で参考資料として公開されたものです。
公文書管理委員会とは、国民共有の知的資源である公文書等の適切な管理に関して、専門的・第三者的な見地から調査審議を行うため、平成22年6月28日、内閣府に設置されました。
そして、この委員会は、公文書管理法における行政文書管理規則(第29条第2号)や利用等規則(同条第2号)について調査審議を行い内閣総理大臣に対し答申を行います。
令和4年2月4日の第93回公文書管理委員会の資料の1つに「共有フォルダにおける行政文書の電子的管理に関するマニュアル(案)」があり、前回に引き続きこちらを参考に見ていきます。
ネーミングの例
経理部で作成した「部ごとの経費一覧」という電子ファイルがあるとします。
経理部ではこれを電子ファイルのオーナーとして管理します。したがって、法律に従った年数、あるいは、それ以上の年数が会社の規程などで決められていたらその間は責任を持って保管します。
一方で、営業部ではこのファイルを次年度の予算管理に使用するため、3年分は利用したいと考えています。
ファイルの複製をなるべく増やさない考え方であれば、経理部の該当フォルダに営業部のアクセス権を読み取りで示す方法も考えられるかもしれませんが、そのためにアクセスされる範囲を検討したり、3年間経過したら営業部のアクセス権をはずすなどの運用管理が煩雑になることが予想されます。
それよりも、複製を作成して営業部で運用してもらった方がスマートです。
その場合は、「写し」であることがわかるようにファイル名を原本と区別し、末尾などに「写し」などど入れておくとよいでしょう。
「異なる業務プロセスで管理される場合」はイメージできましたでしょうか。
メールでファイルを送付すると、そのファイルを閲覧・利用するためにメールを受け取った人は自分のPCへダウンロードをすることになります。メールの送信先がこれを行うとすると、ファイルは倍以上に増えていきます。
電子ファイルの複製を増やさない対策として共有フォルダのリンク表示が推奨されています。こうすれば、メールでファイルの案内を受けた人もファイルを増やすことなく、閲覧することができます。
実際に、トップダウンで社内のやり取りに関してはメールでも添付ファイルの送信を禁止して、クラウドドライブのURLを示している企業もあります。
共有フォルダのリンクとは言っても、部外への共有は禁じられていたりなど、アクセス権の問題が立ちはだかることも想定されます。その場合は、グループウェアなどの掲示板を使用したり、組織横断的な(全社的な)共有フォルダを別に設定してファイルの共有を行うことが推奨されています。
組織横断的な共有フォルダを設けている企業は実際多く見られます。ただし、このエリアが無法地帯となるケースも多いようです。
文書のライフサイクルと仕事で電子ファイルを利用する
文書のライフサイクルと仕事で電子ファイルを利用する
検討をするメンバーにアクセス権を持たせるようにします。同じ部門であれば通常のアクセス権で問題はないかもしれませんが、部門を超えたアクセス権が必要になることもあるでしょう。
原則、完成された電子ファイルの責任部門のフォルダで管理します。
閲覧する場合のアクセス権に影響が出る場合には、電子ファイルで共有するで説明したように、掲示板への掲載や全社的な共有エリアを設定します。
文書コンサルティング/石川
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