その文書の電子化って、本当に必要ですか?

COVID-19感染拡大防止対策として、可能な企業や職種はテレワークで業務を行う形となりました。緊急事態宣言は解除されたものの、私たちにはこの経験を生かして次のステップに進むためには物理的な媒体に縛られない環境が求められています。

物理的な媒体に縛られず、文書・情報が活用可能な仕組みが求められている

東京都による『テレワーク「導入率」緊急調査結果』では、都内企業(従業員30人以上)のテレワーク導入率が、3月では24%でありましたが、4月の時点では62.7%に増加しました。よって、多くの人がテレワークを身近に体験する機会となりました。
このコロナの影響で半ば強制的に増加したテレワーク(というよりも在宅勤務)の下で、文書・情報に関する問題点も見えてきました。

    ・確認が必要な資料が紙文書だったため、出勤してスキャンしクラウドドライブに入れた。
    ・どうしても印鑑が必要となり、出勤して押印してもらった。


このような問題の対処法として、紙文書の電子化を進めたり、ワークフローシステムの導入や電子契約の検討したりする企業が増えてきているのではないでしょうか。
しかし、これらの問題はコロナ前にも既に取り組むべき問題としてあげられてきており、今回の件で一般に露呈したに過ぎません。物理的な媒体に縛られない文書・情報の活用は、緊急事態宣言が解除された今となっては、緊急性は緩和されたものの、その取組を行うことで仕事のベースをあげることができ競争力に影響するものとなります。
今後、企業では今回のようなパンデミックはもちろん、働き方改革や災害対策の観点でも必要な取組として認識すべきこととなります。

ペーパーレス化?、デジタルトランスフォーメーション?

「物理的な媒体に縛られない情報活用」とは、具体的にどんなイメージでしょうか。
先ほどの問題に当てはめてみますと、

    ・確認が必要な資料が紙文書だったため、出勤してスキャンしクラウドドライブに入れた。
     → 保管・保存されている文書はスキャンして電子化文書とする。
    ・どうしても印鑑が必要となり、出勤して押印してもらった。
     → 決裁業務のためにはワークフローシステムを入れる。

ということになります。
さて、ここからは紙文書の電子化に絞って考えてみます。

必要な(と思われる)もの全てを電子化できれば問題は解決しそうですが、これには落とし穴があります。

■電子化にはコストがかかります。
■当該文書が電子化しても電子文書が原本として認められなければなりません。
電子的に保存した文書の証拠能力について書かれています。
■電子化されたファイルの格納場所を確保しなくてはなりません。
電子化文書を格納場所の第一候補はやっぱりファイルサーバーでしょう。大量にファイルが追加されることになりますので、事前に整理が必要です。

電子化対象文書の量が多ければ多いほど、この問題は大きくなります。

電子化すれば安心?多すぎる電子化対象文書に苦慮した事例

ここで電子化対象文書が多くなりすぎて、再度選別にいたった事例を紹介します。

とにかく減らせと各部門にお達し


A社は、ビルメンテナンス関連会社で紙資料を多く保管しています。しかし、この度移転することとなり、移転先ではフリーアドレス化が行われることになりました。とにかく紙を削減せよとトップからお達しがあり、しかし、現場ではこれ以上紙は減らせないというジレンマがありました。
事務局は間に挟まってしまう形になり、対応策としては電子化と倉庫保管で何とか現場をなだめることになりました。

文書のライフサイクル
結果、執務室に残すが40%で廃棄するものが20%とはなりましたが、電子化予定のものやとりあえず文書庫に保管するものが40%となってしまいました。
実際、現場では、紙文書を念のためとっておきたいと考える人が多く、文書庫へ保管したり電子化待ちにしたようです。これらは文書庫に一旦入れられましたが、この選別作業後に文書庫から出して執務室に持って来られたものはそのまま執務室におかれる状況が発生していました。
電子化待ちのものについても、全て電子化を行った場合は予算を大きく越えてしまうことがわかり手を付けられない状況となりました。

現状調査と実行計画によって再度の見直し


A社においては、執務室に残すもの(40%)と電子化待ちになっているものまたは文書庫保管のもの(40%)について再度の見直しを行いました。そして、見直しのポイントを以下のように決定しました。

・会社としての文書選別基準を定める。
・電子化には優先順位を付ける。
・プロジェクト実行後の維持継続を組み込む。

  
【文書選別基準】
前回の選別作業では、「私にはこれが必要か」という個人の視点が基本になっていましたが、「会社として必要な基準」を取り決め社員に徹底的に周知しました。また、文書のオーナーを明確にし、会社全体で重複して文書を所有するのを防止し、削減対象を増やしました。

以下のようなポイントを踏まえて選別基準を作成しました。

  ・法定保存年限の確認とその対象文書の一覧表を作成した。
  ・部門ごとの文書の責任を明確にする。(オーナー管理)
  ・電子化すべき文書の基準を示す。
  ・個人文書と共有文書の違いを明らかにする。


さらに、前回の結果、特に文書の削減が進んでいない部門については聞き取りを行い、その部署特有の問題を把握し、選別基準のローカルルールを取り決めました。

【電子化の優先順位】
電子化は、先に数年分の年間予算を設定し、その枠組みで優先順位をつけて実行する前提で計画を立てました。
優先順位は以下の2点を重視しました。

  ・閲覧頻度が高いか。
  ・電子化で共有性が高まることによって業務効率をあげられるか。


A社の場合、各施設の資料がバインダー複数冊にファイリングされています。それらを閲覧する前に、1簿冊毎の情報をA4サイズの紙1枚にまとめた索引シートのファイルを確認していました。確認作業が索引シートだけで完了するケースも多いため、この索引シートバインダーを優先的に電子化しました。さらに今後はデータベース化も計画しています。
【維持継続】
文書庫に保管されている場合の利用方法や紙文書を増やさない方法、保管台帳のメンテナンスなど、維持継続のためのスケジュール設定や役割分担を行いました。
これらを実行するため、A社は総務部を中心とし、なおかつ、業務ごとに担当者からなるプロジェクトチームを発足し、実践にいたりました。
選別基準が示されたことによって、前回より時間はかかりましたが手戻りのないものとなりました。
執務室に残すものはその4分の1程度、文書庫保管(電子化待ちも含む)はその半分程度を廃棄することとなり、電子化対象も1回目の選別時と比較して半分となったため、電子化コストも大幅に削減される結果となりました。
また、A社では電子化の優先順位を毎年見直すこととし、電子化の対象をあえて増やさない取組を行っています。

■■ まとめ ■■

ペーパーレスや電子化の取組は会社全体のプロジェクトになります。計画にかける時間と手間を省くと、いい効果は得られません。まずは現状把握から計画までを行ってみてください。
文書管理の教科書では、1.現状把握 2.ルール決め 3.実践 の3ステップを説明しています。

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