文書の保存期間一覧をつくるには?

2026-1-9
「書庫がパンパンで入り切らず、廊下にまで段ボールが積まれている」「電子化した後、紙の原本はいつ捨てて良いのか判断基準がない」など多くの企業では、こうした文書の保存期間に関する課題を抱えています。
この記事では、保存期間の根拠となる法令を整理し、自社に最適な文書管理保存ルールの策定や現場に定着させる方法を解説します。

文書の保存期間で企業が押さえるべき基本

文書管理の目的は、「コンプライアンス(法令遵守)」「業務効率の向上」「コスト削減」の3点を両立させることにあります。まずはこれらから保存期間が関わるポイントを見ていきましょう。

コンプライアンス

税務調査や訴訟リスクに備え、必要な証拠となる文書を即座に提示できる状態を作ります。このため、関係する法律に合わせて文書を確実に保管しておく必要があります。また、逆に保存期間を過ぎたものを保管することによって情報漏洩のリスク高まりますので、意識的に保存期間を延長するか、確実に廃棄をします。

業務効率の向上

保存期間を管理することで管理対象が限定され、必要な最新の文書が見つかりやすくなり、検索時間を大幅に短縮されます。文書を探しだす時間は業務の中でも多くの時間を占めると言われています。検索時間の短縮は業務効率を向上させることができます。

コスト削減

不要な書類の保管コストやサーバー容量を削減し、オフィス環境を最適化します。このため、決められた保存期間までは保存し、それ以降は廃棄するといった文書のライフサイクルを確実回していくことによって、保管コストやサーバー利用料などを削減することができます。

よくある「保存しすぎる」問題

オフィスによっては、保存しすぎて(?)廊下まで段ボールが積み上がっている光景が見られることがあります。

多くの業務現場では、「念のため取っておこう」という心理が働き、保存期間の根拠が不明なまま文書が蓄積されます。念のために取っておいた人がいなくなってしまうと、次の人は「何かの理由があって取っておいたのだろう」と考え、「何を捨てて良いかわからない」となり捨てられないまま、担当者がまた変わり、どんどん手がつけられなくなってしまいます。


業務担当別よくある課題とその解決策

会社でどの業務を担当しているか、その立場によって文書保存期間の管理の課題は異なります。それぞれ担当の課題に対する解決へのアプローチを見ていきましょう。

総務部:「捨てられない」文化を打破するフロー

「前任者が残したものが捨てられない」という課題には、属人的な判断を排除する廃棄承認フローの導入が有効です。文書の分類ごとに保存年限を示す「文書分類基準表」を策定し、それをもとにして年度ごとに「保存期間満了リスト」を出力、部門長の承認を得て一斉破棄する仕組みを構築します

情シス・DX担当:クラウド時代の保持ポリシー

ファイルサーバーやクラウドドライブ上のデータが増え続ける課題に対しては、ITシステム側での「保持ポリシー」設定が鍵です。一定期間更新がないファイルを自動でアーカイブする(さらに時間が経過したら削除)ルールをシステムに組み込みます。

また、上記のような自動的な仕組みを導入するとともに、各部門に目標示した上で削減を指示し、ストレージに保存したファイルの見直しを依頼します。

法務部:証拠性の担保と規定整備

リスク管理を重視する企業では、証拠能力(完全性・機密性)を担保したルール作りが求められます。文書管理規程の見直しや文書管理ガイドラインの作成などを検討します。

保存期間の整備方法のステップ

保存期間を可視化して管理するには「文書分類基準表」が有効ですが、分類ごとに保存期間を決定していくのは、簡単ではありません。

保存期間を決定するには分類ごとに以下のステップを実行していきます。

  • Step1:文書を分類分けする。
  • Step2:当該文書は、法律で保存が決められている文書か、それとも、自社で保存年限を決められるのかを判断する。
  • Step3:法律で保存が決められている場合は、根拠法を確認する。ただし、同じ文書が異なる法律に関係していることがあるため、その場合は長い方を保存年限とする。
例えば、「契約書」は会社法では10年保存ですが、法人税法では7年保存となっています。このような場合には、10年を保存期間とします。また、契約書の場合はその業種によっても保存期間が変更になるので注意が必要です。
  • Step4:法律などでは特に決められていず、自社で保存年限を決める場合は、その利用や価値に応じて決定する。

これらを「文書分類基準表」へ分類毎に記載していきます。

「文書分類基準表」の作成方法は、下記の記事で詳しく解説しています。

電子化したら捨てられる?原本破棄のタイミング

電子化することによって、紙文書を廃棄することができますが、法定保存文書の場合は、その関連するそれぞれの法律で決められた電子化要件で電子化することで原本破棄が可能となりますので注意が必要です。

電子化要件を必ず確認し、それらに基づいて運用を行ってください。

保存年限と同時に起算日も重要です。「いつから数えるのか」を把握しておきましょう。

電子文書・紙文書の保存期間ルールを統一する

電子文書になり、物理的なスペースが気にならなくても、分類毎に決められた保存期間を守るようにしましょう。紙と電子のルールの不整合は、現場の混乱を招きます。また、保存することで情報漏洩のリスクも高まります。さらに、物理的な容量は無くともストレージのコストはかかっていることも意識します。

保存期間ルールを組織に定着させる方法は?

ルールを整備しても社内でそれが運用されなければ意味がありません。

そのために、以下のようにルールをまとめ、そのルールを浸透させること、そしてルールの運用をチェックすることをお勧めします。

1.ルールをまとめる

保存期間に関しては、主に「文書分類基準表」に記載されますが、文書管理の最上位のルールである文書管理規程は必ず確認しておきましょう。また、分類基準表だけでは示すことができない細かい運用ルールは文書管理ガイドラインにまとめることをお勧めいたします。以下にそれぞれの特徴を示します。

  • 文書管理規程(文書管理における基本ルール)

多くの会社では存在していますが、もし無ければ作成することをお勧めします。また、現在の状況に対応しているか(例えば、電子文書などに言及しているかなど)の見直しが必要となりますのでチェックをしておきましょう。

  • 文書管理ガイドライン(文書管理における運用ルール)

文書管理規程の下位にあたるルールで、廃棄のルールや文書の見直し時期や手順、電子文書の管理のポイントを具体的に示すものとなります。

  • 文書分類基準表(文書の分類ごとに保存期間などを示したもの)

分類毎に保存期間、オーナ部署、法定保存文書かどうかとその根拠法などを示したものとなります。


以下の資料では各文書管理のルールについて詳しく説明しています。

2.ルールを浸透させる

整備されたルールを社内に周知させるためには、文書管理セミナーやイーラーニングを実施します。初回の周知には文書管理の意義や目的なども含めた説明が必要なためセミナーをお勧めします。ある程度定着してきた際にはイーラーニングなどが効果的です。

3.ルールの運用をチェックする

ルールを周知させたあと、意図に沿って運用されているかの確認は通常業務ではなかなか見えてきません。このため、運用状態を監査したりアンケートなどで意識調査を行います。


文書管理の定着について詳しく説明しています。

■■ まとめ ■■

文書管理において、適切な保存期間を設定して運用することを最適化すればコストもリスクも下がります。

「保存しすぎ」は、単なるスペースの無駄だけでなく、必要な情報が見つからないという検索性の低下を招き、業務効率を悪化させます。

まずは自社の書類を棚卸しし、最新の法令に沿った保存期間の根拠を整理し、「文書分類基準表」を整備することから始めましょう。

また、同時に文書管理規程や運用を示すガイドラインについても検討することをお勧めします。文書管理規程やガイドラインなどのテンプレートを参考に、自社の業務プロセスに合わせたカスタマイズを行うのが近道です。

適切な管理ルールを構築し、コスト削減とコンプライアンス強化を同時に実現しましょう。

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文書管理コンサルティング/石川

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