文書分類基準表の作り方と活用法|業務効率化と情報保護の鍵

2025-6-13
現代の業務において、文書の管理は単なる整理整頓ではなく、情報の保護・活用・法令遵守に直結する重要な業務です。
しかし、「どの文書をどこに保存すればよいのか分からない」「保存期間や廃棄のタイミングが曖昧」といった悩みを抱えている企業や担当者も少なくありません。
そこで鍵となるのが、文書分類とそれを体系的に整理した文書分類基準表です。
この記事では、文書管理の基本構造から、分類基準表の作り方、実務での活用方法までをわかりやすく解説します。

文書分類の文書管理ルールの位置づけ

文書分類は、文書管理ルールの中で具体的かつ実践的なルールです。文書分類表を作成し、各文書がその分類のどこに入るかということが決まれば、個別の文書のライフサイクルも明確になります。

 

文書管理ルールの構成

文書管理ルールは上の図のようなピラミッド型になっており、その頂点を文書管理規程としています。上に行けば行くほど抽象的な包括的なルールとなり、下に行けば行くほど具体的な実践的なルールとなります。この具体的かつ実践的なルールを持って現場で運用が可能ということになります。

つまり、文書管理を実践するためには、文書分類が必要ということになります。

※文書管理ルールについては以下のホワイトペーパーにまとめられています。

文書分類を可視化するのは文書分類基準表で

文書分類は文書分類基準表に表します。この表は、分類基準毎にその取り決めを示すものです。
分類基準表には、大分類・中分類・小分類以外に最低でも以下のような項目を含めるようにします。

秘密区分

文書管理規程や情報セキュリティ規程などに定められた秘密区分を文書の分類毎に割り当てます。

例:厳秘、秘、社外秘

保存期間

文書の保存期間を分類毎に割り当てます。法定保存文書の場合は、法律で定められた以上の期間とする必要があります。

例:1年、3年、5年、7年、永年

保管期間

保管期間は紙文書であれば執務室に置いておく期間、電子文書であれば普段使用している保存領域においておく期間です。活用期は取り出しやすい場所に置き、非活用期は紙文書であれば倉庫や、電子文書であればアーカイブ領域などに移動させます。

規程等常用の文書はずっと手元に置くこともあるため、保存期間と同じになることもあります。

例:1年、3年、5年、7年、永年

記録管理スケジュール(リテンションスケジュール)

その分類の文書がどのような経路をたどるのかを分類毎に示します。

例:執務室→倉庫→廃棄

  執務室→廃棄

などが挙げられます。
また、法定保存文書の場合は、その根拠法や法律で決められた年限などを含めておくとよいでしょう。
それでは次に文書分類の作り方を説明します。


文書分類の作り方

文書の分類を作る方法は、ワリツケ方式とツミアゲ方式の2種類があります。

ワリツケ方式

業務に合わせて分類を作成していく方法です。部門やプロセスを分類基準にします。統制が計りやすいのがメリットですが、現場の実務に即さないこともあります。

ツミアゲ方式

実際の文書を見ながら、それらをまとめることで分類を作成する方法です。実務に即した分類を作成できることがメリットですが、分類作成に時間を要します。

 

※文書分類のワリツケ方式とツミアゲ方式は、以下の記事に詳しく説明されています。


また、分類を作成するときは、MECI(モレなく、ダブリなく)であることに注意しましょう。
具体的に説明しますと「モレ」というのは、ある文書が入る分類がないこと、「ダブリ」というのは、ある文書が複数の分類に入ってしまうことです。

※以下の記事MECIについて詳しく説明されています。

では次に、文書分類基準表を作成することでどんな問題が解決できるのか見ていきましょう。

文書分類でこんな問題が解決できる

いつ廃棄していいかわからない

分類基準表は分類毎に保存期間を示します。どの分類に属するかが示されていれば廃棄時期も明らかになります。また、誤廃棄も発生しにくくなります。

 

法定保存年を満たしているのか不安

分類基準表に根拠法やその保管期間などを明示することで安心して保存したり廃棄したりすることができるようになります。また、どの文書を所有しているかも明白になります。

文書が探せない、電子文書を格納するフォルダが複雑化している

・文書が探せない、・電子文書を格納するフォルダどうなっているのかわからない

作成した分類はキャビネットの配架やファイルサーバーやクラウドドライブのフォルダ構成に使用すると文書が整理され、探しやすくなります。

今まで、担当者にしかわからなかったファイルの場所も、他の人でも探し当てることができるようになります。

文書分類の活かし方

このような問題が解決できる文書分類ですが、作成して終わりではありません。それに基づいた実践的対応が必要です。以下、紙文書の場合、電子文書の場合について示しました。

紙文書の場合

ファイルごとの台帳を作成し、作成した分類を割り当てます。ファイルそのものは文書にアクセスしやすいように、分類順にキャビネットに配架します。

背表紙が無い場合やその情報が不十分な場合は、背表紙を台帳や分類表のデータで作成し貼付します。

 

電子文書の場合

作成した分類に基づいてファイルサーバーやクラウドドライブのフォルダ分けをして、電子文書のファイルをそのフォルダに移動させます。

これは、とても時間と手間のかかる作業になります。簡単にはできないことなので、計画的に進める必要があります。

※共有フォルダの整理については、以下のホワイトペーパーを参考にしてみてください。 

定期的な見直しが必要

業務が時代のトレンドによって変わっていけば、取り扱う文書も変わります。法律が変わって法定保存年限にも変化があるかもしれません。

このような理由から、分類基準表は定期的な見直しが必要となります。年に1回は見直すことをお勧めします。

 

■■ まとめ ■■

今回は文書管理の実践的なルールである分類基準表について解説いたしました。
分類基準表が無ければ作成を、既に作成してある場合でも問題なく運用されているか確認し、計画的にメンテナンスを行っていくことをお勧めします。

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文書管理コンサルティング/石川

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