文書の保存期間の考え方

2023-6-9
文書の保存期間の設定や見直しはきちんと実施していますか?これらをしていないと様々な弊害が生じます。今回は文書の保存期間の考え方についてご紹介します。

保存期間の設定や見直しをしていないと何が起こる?

保存期間の設定や見直しをしていない場合、
次のようなリスクが生じます。

①文書が増加し続ける

多くの文書は、保存期間の満了をもって廃棄されます。
保存期間が設定されていなければ満了の時期も到来しないため、
文書は増え続ける一方です。
オフィスであればスペースが逼迫しますし、
倉庫保管を委託していれば、保管料金が増加します。

②誤廃棄

保存期間がルール化されていなければ、
必要な文書なのか、不要な文書なのかが曖昧になり、
誤廃棄が発生する恐れがあります。
官公庁や自治体で誤廃棄のニュースがよく取り沙汰されていますが、
この原因の多くは保存期間がきちんと設定されていないことや、
保存期間の見直しをしていなかったことによるものです。

③法令違反

文書には法令で保存期間が定められている文書、「法定保存文書」が多くあります。
法令で定められた期間保存していないと、当然のことながら法令違反となります。
トラブルや不祥事が発生した時には説明責任が果たせず、
企業イメージの低下や社会的信頼の失墜という事態に陥りかねません。
保存期間を明確にすることは、リスクマネジメントの観点からも非常に重要なことです。

保存期間はどうやって決める?

法定保存文書は法令に従って保存期間を決めますが、
法定保存文書以外の文書はどのような基準で保存期間を決めるのでしょうか。
いくつかの基準をご紹介します。

①業務的価値

業務上での価値を考えて保存期間を設定します。

 

例えばプロジェクトに関する資料などで、プロジェクトが終了してしまえば利用価値がなくなってしまうような文書であれば、1年程度経過した時点で廃棄します。

 

しかし関連する業務が完了したら全て捨ててよいというものでもありません。

 

営業活動における提案書やコンサルティング業務で作成したレポートなど、関連業務が完了しても組織の知識・ノウハウとして有益な文書は残さなければなりません。

こうしたものはよくナレッジと言われますが、保存期間は組織ルールとして5年程度設定し、保存期間満了時に再度検討して設定するといった運用が望まれます。

 

その他にも、研究や技術開発などで作成した研究資料、技術資料などが考えられますが、これらは業態によって異なるものの、10年以上の比較的長期の保存期間を設ける必要があります。

②訴訟対応の可能性

訴訟リスクに対応するような文書や、係争中の事案に関連する文書は、保存期間が満了しても保存しておかなければなりません。この取り置くことを「ホールド」と言います。

まだ保存期間が設定されていない場合は、訴訟リスクが消滅する期間を設定し、

定期的に見直すことも必要です。

③歴史的価値

企業においては歴史的価値のある文書(資料)があります。

こうした資料を管理し、利活用に役立てる取り組みは、ビジネスアーカイブ呼ばれています。

日本国内においてビジネスアーカイブに取り組んでいるのは、伝統のある大企業がほとんどですが、今後は成長を遂げたベンチャー企業やスタートアップ企業が取り組むことも期待されます。

 

どのような資料が該当するかというと、

・製品カタログや販促資料

・社内報

・製品開発の記録

・日報

などなど、これ以外にも多くのものがあります。

 

こうした資料は企業の歴史を示すものとして価値が高く、後世に伝える意義からも、ほぼ永久的に保存されるケースが多くあります。

 

こうした歴史的価値の高い資料を、企業は次のような目的で活用しています。

 

■社員教育

新入社員などが、企業理念や過去の成功・失敗事例などを知ることで、ロイヤリティが高まります。

 

■製品(サービス)開発

過去の開発資料や経過情報を手掛かりに、製品開発に役立ちます。

 

■ブランディング

企業の理念や伝統、社会的役割を発信することで、ブランディングや企業価値向上につながります。

 

歴史的価値の高い資料は、その価値を社員が理解していなければ捨てられてしまいます。自社にとっての歴史的資料とはどういったものか、一定の基準を示すガイドラインや、資料を管理する体制と仕組み、風土が必要です。

起算日を間違えない

保存期間のスタート日を起算日といいます。
基本的に起算日は、会計年度が終了した翌年度の期首となります。 例えば、会計年度が4月1日~3月31日で、 保存期間が3年の文書が令和2年3月8日(=令和元年度)に作成された場合、 起算日は令和2年4月1日となり、令和5年3月31日に保存期間の満了を迎えます。
文書が作成された年を入れてカウントしてしまうと、
1年早く廃棄してしまう可能性があるので注意しましょう。

■■ まとめ ■■

・保存期間の設定や見直しをしないと、スペースの逼迫・誤廃棄・法令違反等のリスクが増大する。
・保存期間は業務的価値、訴訟対応の可能性、歴史的価値の観点から設定する。
・保存期間の起算日は、当該文書が作成された年の翌年期首となる。

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