文書保存年限の確認と管理方法

2024-3-8
文書管理でよくあるお悩みには保存年限に関することが多いようです。今回は、保存年限の確認や管理方法について説明いたします。保存年限にお悩みをお持ちの方は、是非ご覧ください。

文書保存年限の2つの悩み

文書管理を行う上で、その文書をいつまで保管しておくのかという「文書保存期限」に課題のある方が多いようです。このサイトにも「保存年限」に関する悩みが多く寄せらています。

それらは主に以下の2つに集約できるようです。

・保存期限が正しいかどうかを確認したい
・ライフサイクルをしっかり管理したい


この2つの悩みについて見ていきたいと思います。

保存年限が正しいかどうかを確認したい

これは、保存期限表などはあるものの、設定した保存期限はかなり前に設定したもので最近は見直しをしていないため、それが現在も合っているかどうかを確認したいという場合です。
ここでは、法定保存文書とそれ以外の文書に分けて説明します。

■法定保存文書

会社独自で決定されるものはともかく、法律で決められているものは、最新の法律に照らし合わせて確認する必要があります。
関連する法律を参照することが基本となります。

関連する法律が何かわからないとまずはそこから確認することになり、この作業がとても大変なものになってしまいます。このために、文書分類基準表に根拠法まで記載をしておくことをお勧めします。
文書分類基準表は文書の分類ごとに保存年限やそれが法律によるものであれば根拠法、どう取り扱うかのリテンションスケジュールを表にまとめたものになります。この記事内では後ほど詳しく取りあげています。

この文書分類基準表に根拠法を記載しておけば、法律を参照にした法定保存年限の確認がとてもやりやすくなります。
下は、10年と示されている分類の「取締役会議事録」の根拠法の記載例となります。

文書分類基準表に根拠法まで示したもの

分類基準表に示されている会社法371条を見てみましょう。
-----(以下、会社法の条文)
第三百七十一条 取締役会設置会社は、取締役会の日(前条の規定により取締役会の決議があったものとみなされた日を含む。)から十年間、第三百六十九条第三項の議事録又は前条の意思表示を記載し、若しくは記録した書面若しくは電磁的記録(以下この条において「議事録等」という。)をその本店に備え置かなければならない。
10年備え置くと記載されているのがわかります。
ちなみにこの条文をさらに見ると、「書面若しくは電磁的記録」とあるため、電子文書で保存してもよいことが分かります。

それでは、今度は株主総会議事録についても確認してみましょう。こちらは、会社法の318条に記載されています。
-----(以下、会社法の条文)
第三百十八条 株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
2 株式会社は、株主総会の日から十年間、前項の議事録をその本店に備え置かなければならない。
3 株式会社は、株主総会の日から五年間、第一項の議事録の写しをその支店に備え置かなければならない。ただし、当該議事録が電磁的記録をもって作成されている場合であって、支店における次項第二号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。
これを確認すると、本店に10年、支店には5年(電子文書の場合は別措置も可能)と保存年限が示されているのが分かります。

多くの企業では、取締役会議事録や株主総会議事録については、法律では10年と定められているものの、その企業の重要文書として永年保管を行っているところもあります。法律で定められた以上の年限をその企業の保存年限としていれば問題はありません。このような場合でも、根拠法を「会社法では10年」などの記述をしておくことで、管理上明確さを増すことになります。

■法定保存文書以外の文書

組織には、特に法律では保存年限の定めがない文書も多々あります。これらは、その組織で保存年限を決めることになります。

保存年限を定めるポイントは、まず「業務上必要とされる期間」になります。

これは、業務として何年必要かどうかを業務の担当部署が判断することになります。業務で必要かどうかはとても重要なポイントになりますが、業務で使用しなければもう必要ないと判断してよいものかという疑問も残ります。

そこで、業務の視点の他に2つの視点(歴史的価値の視点、訴訟リスクの視点)も含めて考えることをお勧めします。

■歴史的価値の視点
当該文書がその企業において歴史的価値があるかどうかの視点です。例えば、合併や大きな事業部の設立を外部に通知した文書は、時間の経過とともに業務上は必要無くなりますが、このような文書を残すことでその出来事の足跡を文書で示すことができます。

■訴訟リスクの視点
訴訟リスクの視点も重要な判断基準となりますので、十分に考慮する必要があります。訴訟に関連する可能性のある文書については、保存期間が満了していても廃棄されないように注意します。

保存年限に合わせて文書のライフサイクルを管理したい

それでは、実際に保存期限をどのように管理して運用していけばよいのでしょうか?ここでは、文書分類基準表と文書管理台帳を使って管理する方法を説明します。

■文書分類基準表

文書分類基準表は、文書の分類ごとに保存年限やリテンションスケジュールを示したものになります。文書の該当する分類を確認すれば、保存年限、根拠法、起算日、リテンションスケジュールが分かる仕組みを作ります。

法律によって起算日も異なるため、起算日も示し、文書を廃棄する場合は、誤廃棄が起こらないようにその日数以上となるように行います。

分類基準表はライフサイクルを管理する上で、必須のアイテムです。

下の図に標準的な文書分類基準表の項目とその入力例を示します。

文書分類基準表の項目例

■文書管理台帳

文書管理台帳とは、分類基準表をさらにファイルごと、あるいは文書ごとにブレークダウンして詳細な情報を記載したものになります。

保存年限や起算日から算出した保存満了日などを割り出して台帳に記載します。ファイルや文書単位に保存満了日が明確に分かることになり、運用がしやすくなります。

下の図は標準的な文書管理台帳の項目と入力例となります。

文書管理台帳の項目例

文書分類基準表や文書管理台帳の作成は、業務やそれに紐づく文書を確認しながら行わなければならず、かなり大変な作業となりますが、ライフサイクル管理には必要なものとなります。

また、これらを作成しても、次にこの通りに運用することがなければ文書のライフサイクル管理はできません。1年に1回は必ず、これらの表を参照して、文書を移管したり廃棄するアクションを行いましょう。

■■ まとめ ■■

今回は、文書の保存年限の確認方法と管理方法を解説しました。
文書の保存期限を見える化するために文書分類基準表や文書管理台帳は非常に重要なアイテムになります。
文書分類基準表や文書管理台帳を作成について、ご質問などございましたら是非お問い合わせください。

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文書コンサルティング/石川

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