やっぱりメリットあり!契約書の電子化

オフィスのフリーアドレス化や働き方改革でのリモートワーク推進によって、文書の電子化は企業にとって大きな課題になっています。特に契約書に関しては、既に電子化に取り組まれていたり、検討している企業も多いことでしょう。今回はプロセス毎に契約書の電子化のメリットを説明します。

契約書は電子化に向く文書?

オフィスの紙文書をぜーんぶ電子化して、パソコンでサクっと探せたらいいなあと思いませんか?しかし、大量の紙文書を電子化するにはとてもコストがかかることを知り、「なーんだ」と電子化の検討自体をやめてしまうことが多いようです。
そこでお勧めなのはその文書が果たして電子化に向くかどうかを考えてみることです。
契約書は電子化に向いているか考えてみましょう。

  ①共有することでその企業の組織に価値をもたらす。
    複数部署で契約書を閲覧する必要があるでしょうか。
    あれば、電子化することで共有できるようになります。

  ②すばやく検索する必要がある。
    検索は早いほうがもちろんよいですね。
    紙文書の場合は、キャビネットの前で文書を探す時間に加えて、
    保管している場所に行く時間も必要になります。
    保管している階が執務室とは別であればエレベータに乗ったりとさらに時間がかかります。

  ③電子化することによって原本を倉庫に持って行くことができる。
    契約書は重要文書なので、原本を閲覧することとなると紛失のリスクも出てきます。
    特に複数の部署が閲覧するとなると「またすぐ確認するから」と返却せずに
    自分の引き出しに入れてしまったり、
    戻し場所を間違えたりということにもなりかねません。
    原本を安全なところにしまうことで紛失のリスクはなくなります。

  ④電子化することによって原本を廃棄することができる。
    BtoBの事業の場合は、期限が過ぎた契約書も保管の対象としていることも
    多いかもしれませんが、法的に原本保管の必要がなくなれば、
    電子化したものだけを残して原本を廃棄して保管コストを低減することもできます。

  ⑤電子化しても原本性を確保することができる。
    こちらは契約書の場合はなかなか難しいかもしれません。
    しかし、最近は作成のプロセスから電子的に処理する電子契約も導入され始めています。

さて、御社の契約書は該当するところがありましたか。

契約書のライフサイクルを見ると

このサイトでもよく取り上げているように、
文書にはライフサイクルがあり、もちろん契約書についても同様です。
下の図はそのイメージとなります。
契約書のライフサイクル
これが、おそらく現在一番理想的な契約書管理であると思われます。
この図を説明しますと、横軸の左側は紙文書の流れ、右側は電子文書の流れです。また、縦軸は文書のライフサイクル(プロセス)「発生、処理、保管、保存、廃棄」になっています。

このサイトでは、今までも契約書管理に関する記事を取り上げて来ましたので
①から④はそれらの記事がどこに関連するかを示しました。
契約書の処理伝達プロセスについて、社内では契約書の承認(稟議処理)、社外では契約先との締結処理(発信、押印など)の効率化について説明しています。
保管のプロセスで重要なのはすぐに探し出せるようにすることです。そのための契約書をファイリングする方法に説明しています。
契約書電子化の成功のカギである「事前の設計計画をしっかりと行うこと」、そして作業着手中においては「進捗管理・品質管理を確実に行うこと」について説明しています。
契約書管理でお客様からいただくよくある問題をまとめて説明しています。

では次から、ライフサイクルのプロセス別に契約書電子化のメリットを説明していきます。

ライフサイクルプロセス:契約書の発生

契約書はまだまだ紙文書で取り交わすことが多いことでしょう。このプロセス「作成」では契約書を自社で作成したり外部から受領したりします。
自社で作成をする場合には、以前に作成したワードなどのワープロソフトのファイルを利用して作成することが多いと思います。
また、最近は電子契約書を利用する企業も増えてきています。電子契約書にすれば、紙に印刷することも印鑑を利用することもなくなり、印鑑の代わりに「電子署名」や「タイムスタンプ」が使用されることになります。この電子契約は年を追う毎に企業の導入が増加しているとのことで、いずれは電子契約が主流になっていくのではないでしょうか。

ライフサイクルプロセス:契約書の処理

外部から文案が送られて来た場合と社内で契約書文案を作成する場合では、ここでは法務や各事業の責任者や会社の統轄責任者などそれぞれの立場での承認処理が行われます。
契約書の内容によって承認経路が異なることもあることでしょう。また、承認の経緯を記録として保管している企業もあるかと思います。
ワークフローシステムを利用することによって、承認経路の選択や承認経緯の記録を行うことができ、業務が効率化できます。

※処理のプロセスに関連のある記事

ライフサイクルプロセス:契約書の保管

契約書の保管は、紙文書である場合と電子文書である場合は大きく異なります。
紙文書の場合は、一番探しやすい分類でキャビネットに配架します。また、バインダーで管理している場合にはそれぞれのバインダーの最初ベージインデックスをつけるようにします。インデックスの元になるデータは、まとめて1つにして全体像をつかみやすくするとよいでしょう。
電子文書の場合は、文書管理システムやファイリングシステムに登録することで、複合的な検索が可能になります。
ファイルサーバーに格納する場合には、関係者が見つけやすいフォルダ構成にしておく必要があります。

※処理のプロセスに関連のある記事

紙文書、電子文書ともに管理の要になるのはインデックスです。このサイトではファイル管理表とかライフサイクルリストと呼んでいます。どんな契約書があるのか、その件名や相手先、契約完了日などを一覧にして管理します。

※ファイル管理表(ライフサイクルリスト)について説明のある記事

このプロセスで紙でストックされている契約書を電子化することがよく検討されています。その理由としては、探しやすくなる、共有できる、原本を別途管理することができるといったことがあげられます。

※契約書の電子化についての記事

※電子化を社内のリソースを使って行う場合の支援サービスもあります。

ライフサイクルプロセス:契約書の保存

利用率の下がった古い文書をいつまでも家賃の高い都会の執務室に置いたり、高速なクラウドのストレージに置くことは、コストの観点からあまり望ましいものではありません。それらの保管コストを削減するために別の場所に移管することがよく行われています。

具体的には、紙文書の場合は倉庫に移管したり、ストレージの場合には保存用の低速なサーバーやアーカイブメディアへの移行を検討するとよいでしょう。

■■ まとめ:お勧めの契約書の管理とは? ■■

電子で完結する方向に向かうとはいえ、過去分の契約書も存在することから、契約書の管理は、紙文書と電子文書を両方管理することになります。
理想的な管理のイメージ
今まで多くのお客様から契約書管理の相談を受けてきましたが、紙の契約書は電子化し、電子の契約書と一緒にインデックス情報とともに文書管理システムやファイリングシステムで統合管理することをお勧めします。
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