文書管理規程や文書管理マニュアルの作り方~その2~

前回の「その1」で、文書管理規程、文書管理マニュアルは文書のサイクルに沿って作成するとお伝えしました。
今回は文書管理規程や文書管理マニュアルの「保管」と「保存」のフェーズにおける作成方法をお伝えします。

「保管」と「保存」の違い

文書管理のライフサイクルには、「保管」と「保存」とがあり、
その意味合いは異なります。

簡単に言えば、

保管文書は、よく使うから身近なオフィスに置いておく文書
保存文書は、あまり使わないけど捨てられない大事な文書だから書庫などに置いておく文書。

といったイメージです。

使用頻度が低下した文書は、オフィスから書庫へ移動され、
「保管文書」から「保存文書」へと、その名称を変えるのです。

「保管文書」が「保存文書」になるタイミング

使用頻度が低下したら書庫へ移して保存文書となると言いましたが、
そのタイミングは誰かの感覚でやるものではありません。
通常は、保有年数の起算日から1年後になります。
(これは、発生から1年以上経過した文書はほとんど使われなくなるという統計が背景にあります。)

具体的に説明します。

保有年数は一般的に、1年、3年、5年、7年、10年、30年(または永年)の6種類に分けます。
保有年数の起算日は、会計年度が終了した翌年度の期首から始めます。
例えば、会計年度が4月1日~3月31日で、
保有年数が3年の文書が平成29年3月8日(=平成28年度)に発生した場合、
平成31年度末(平成32年3月31日)まで保有することになります。
この例で言えば、
文書が発生した平成29年3月8日~平成30年3月31日までがオフィスで保管する「保管文書」、
このタイミングで「保管文書」が「保存文書」になり、
平成30年4月1日~平成32年3月31日までが、
書庫などで保存する「保存文書」となります。
つまり保有年数3年以上の文書は、起算日から1年後に「保存文書」と名を変えて書庫に移り、
残りの保有期限を満了するまで書庫で保存することになるのです。

反対に保有年数が3年未満の保管文書は経過満了により、「保存文書」となる前に廃棄されることになります。

ただし、もし起算日から1年を経過してもオフィスに置いておきたい文書がある場合、
それは「常用文書」として位置づけ、オフィスで常に保管することになります。

文書管理規程やマニュアルを作る上では、
発生する文書ごとに、このような保有年数を定めることが重要になります。

保有年数の設定基準

文書の保有年数を設定する場合は、下記のような基準で設定します。

①法令で定める保有年数
②業務上の必要性
③裁判などによる係争中の案件の状況
④利害関係者への説明責任が生じる可能性
⑤歴史的価値
⑥組織としてのブランド的価値
⑦ナレッジとしての価値

①~④はコンプライアンス上、または取引上必須のため、
多くの企業がある程度は管理していると思います。
軽視されがちなのは⑤~⑦です。
組織において、先人たちが作った過去の文書や記録から学べることは数多くあります。
文書管理の目的は単なる文書の整理ではありません。
真の目的は保有している文書を組織的に活用し、組織力の向上を図ることあります。

そのためには①~⑦のような基準で残すべきものはきちんと保存し、
組織的な共有・活用に資するべきです。

こうしたことが文書管理を行う目的だということを組織のメンバーに周知するために、
文書管理規程や文書管理マニュアルの目的欄などに明記しておくことも重要です。

ファイル管理表を作成する

ファイル管理表とは、上の図のように、
文書を分類(いくつかの基準でグルーピング)した上で、
「どのような文書を」「誰が」「どこで」「いつまで」「どのように」保管するかを管理する台帳です。
言い換えれば保有している文書のライフサイクルを管理するもので、
文書管理の根幹となる重要なツールとなります。
その分、労力とノウハウが必要になります。
(ファイル管理表づくりを支援してほしいという方はこちらへどうぞ)

文書管理規程やマニュアルには、このファイル管理表が盛り込まれていなければなりません。

正式文書と(営業)秘密文書の保管と保存

正式文書とは、最終的に決裁された文書や社印などが押印された文書、外部に発信された文書を指します。
一方(営業)秘密文書は、不正競争防止法で保護されている文書や、組織が「秘密」と位置付けた文書を指します。
組織はどの文書が正式文書、(営業)秘密文書なのかを定め、
これらをどのように保管・保存するか、下記のような項目について文書管理規程やマニュアルに記します。

・使用するキャビネット(電子の場合は格納場所)
・使用するファイル用具
・施錠方法(電子の場合は情報漏えい、改ざん防止方法)
・正式・秘密の表示方法
・アクセス権
・複写したものの取り扱い
・ファイル管理表への登録タイミングと方法

紙文書と電子化文書のファイリング方法

紙文書も電子化文書も先に記した「ファイル管理表」にしたがって管理しますが、
その方法についてより具体的に明記します。

<紙文書の場合>
・ファイル用具(フォルダ、バインダ、ファイルボックス)へのタイトルのつけ方
・1冊単位へのグルーピングのしかた
・キャビネットなどへの格納方法

<電子化文書(紙からスキャニングした(PDF等の文書)の場合>
・どのような文書を電子化文書で保管・保存するか
・スキャニングの仕様(取り込みサイズ/解像度/ファイル形式/カラーor白黒など)
・原本性確保のための要件(タイムスタンプ/電子署名など)

文書を電子化して、紙の原本を捨てたい場合は、e文書法などで定められた一定の要件を充たしていなければなりません。
(e文書法に絡む「スキャナ保存要件」について知りたい方はこちらへどうぞ)

また文書の電子化作業を内部で行う場合、
事前に計画・設計を行わないと莫大な工数がかかる恐れがあるため、
電子化作業に関する運用マニュアルを個別に作成することをお奨めします。

今回は文書管理規程・文書管理マニュアル作成時における「保管」と「保存」のフェーズについてご紹介しました。

「これだけじゃよくわからん!」
という方はこちらのサンプルドキュメントをどうぞ。

コンサルティング事業部/鈴木

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