もし、文書管理システムの導入担当になってしまったら(1)

第1回 管理体制の構築・制度・運用ルールの検討

もし、あなたが文書管理システムの導入担当になってしまったらどうしますか? 情報システムを導入してしまえば、万事OKではありません。情報システムは魔法の箱ではないのです。

まずは、どんなものがあるかを調べることから始める

文書管理システムの担当はあなたです。 えっと、まずは。。。

インターネットで調べて検索結果の上位5位くらいまでに資料を請求

  → メーカーから電話がかかってくる   → メーカーの説明を聞く   → 知らなかったことがたくさんある、     いい機能もたくさんある

情報システムを入れることによって、 まるで魔法のように 全ての問題を解決できるような気が してきました。

そして、探せばまだまだいいものが あるような気がしてきました。

ふと、 でも、あれれ?何でこれやるんだっけ?

なんてことありませんか?

魔法の箱信仰のあるある

文書管理システムに限らず、情報システムは魔法の箱ではありません。(その箱を買ってデータを入れればなんでも問題が解決するようなことはないのです。)

どの製品も多くのお客様のご要望を聞いて、研究を重ねて、多機能でよく考えられた使いやすさがあり、どれもすばらしいものばかりです。 でも、情報システムが解決してくれない問題があります。文書管理の場合は特にそれがあとあと響いてきます。具体的には、部門間の連携であったり、廃棄選別の基準だったり、また、社員の意識改革であったりです。

こんなことはありませんか?

・複合機と連携して自動的に仕訳して、サーバー投入される。 投入先の仕訳分類が「とりあえず」決めたものだったので、使いにくい。仕事の方法が異なり、特に分類に不満のあった部門は使用するのをやめた。

・保存期限の入力によって、廃棄の時期を知らせてくれる。 廃棄のルールが曖昧で、せっかくのお知らせ機能が利用されていない。

導入前に文書管理の体制ができていないルールが決まっていないとせっかく機能も生かされません。

使う人は使う、など、ローカルな改善しか得られません。

目的を明確化する

そもそも何のために文書管理システムを導入するのか、また、もう少し拡大して考えて組織のどの問題を解決するのかを明確にしておきましょう。しっかり、文書にしていつでもそこにもどりぶれない軸を作るのです。

①問題の共有化

  • 問題をあげる。
  • 問題を分類する。
  • 目的は何か。
  • 目的を果たすための目標を示す。
  • 期待される効果を示す。

②問題の明文化 目的、目標、期待される効果を明文化しておきましょう。

**stick to the purpose **

本来の目的からそれないこと。そう、stick to ! 目印に棒を立てておくイメージです。

この目的を実現するためのシステム導入ですが、それ以外に必要や実行方法などを3回に分けて説明します。

(1).管理体制の構築・制度・運用ルールの検討 (2).データの整備 (3).実現性の高い方法をとる

それでは、第一回目の「管理体制の構築・制度・運用ルールの検討」について考えていきましょう。

これらは全て、実践するステップの前の計画です。実践をマニュアル(手作業という意味)で行おうがシステムで行おうが、この計画は外せません。

管理体制の構築と制度

体制と制度は目的遂行のための両輪!!

■管理体制 社内の文書管理体制を構築します。 社内で決定したことが必ず実行できるような体制が必要です。以下に、体制組織の上から、委員長、事務局、推進委員、実務担当者の順に説明します。

①委員長 全社的な問題を解決するための取組になりますので、委員長は経営層が行います。

②事務局 推進するための事務局的役割となります。文書管理システムの場合は、文書主管部門である総務部が担うことが多いです。また、情報システム部門が事務局に入ることによってIT分野の専門的フォローを得ることができます。

③推進委員 部門内部に対して、方針や制度の周知徹底や、改善の上申を行うため、部門責任者が担うのが適切です。

④実務担当者 課題の解決のための調整、分類表の管理、文書管理システムの部門利用の支援など、実務的な役割を担うことになります。

■制度 次は、体制を支える制度について検討してみましょう。

①教育制度 文書管理の目的を共有し、社員の意識を高めます。また、実践的なオペレーション部分(文書の取扱い、システムの操作)のレベルを、一定以上にすることができます。

②維持管理制度 構築した仕組みを維持継続させる制度作りです。 とかく、日々の仕事に追われて最初に運用ルールを決めたとしても安易な方向に流れてしまいがちです。維持管理では、運用状況を点検する、状況変化の考慮や要望事項の収集などを行い改善を図ります。

③評価への組み込み 文書管理の意識の高さを組織が推進するのであれば、社員にそれを示します。具体的には、部門別に評価してインセンティブを示す、人事評価の項目に追加するなどがあります。

文書管理システムを導入すれば、もちろん便利になることばかりですが、導入前に想定していなかったような問題も発生します。そういった問題を吸い上げ、解決する仕組みがあれば、一部のボランティア的に頑張る人に支えられてできたとしても、属人化が解消されないまま運営され、最終的には縮退してしまうようなことも防ぐことができます。

運用ルールの検討

運用ルールは、文書管理システムの設定に直結します。

管理体制の構築や制度を基盤として運用ルールを検討します。この運用ルールは、文書管理システムの設定に直結します。 文書管理の運用ルールの文書といえば、文書管理規程、文書管理マニュアル、ファイル基準表などがあります。 ※このサイトに詳しい説明があります。参考ページは以下よりアクセスできます。

ここでは特に文書管理システムの設定に関係する項目について説明します。

・保存年限の取り決め 文書毎に(分類毎に)保存期限を設定すれば、 保存年限が近づいたときにアラートを出すことができます。

・ワークフローの検討 システム導入前のワークフローを再検討します。その上で、システム導入によって改善される範囲を示し、効率化できることや変更点を反映させた新しいワークフローを作成しシステムの設定に反映させます。

・文書の変更閲覧権限 秘密レベルによって、文書の閲覧権限が変わります。 文書側と利用者側との条件の掛け合わせで取り決め、システムに実装できるよううにします。

  文書側での変更閲覧権限取り決め例:    ・秘密文書、個人情報を特定する。    ・文書を部門別に分類して     変更閲覧権限を付与する。

  利用側での変更閲覧権限取り決め例:    ・営業は3部門に分かれるが、     営業部門全体で閲覧を可能とする。    ・経営層は、     原則どの部門でも閲覧を可能とする。    ・利用者を役職ごとに層別し、     変更閲覧権限を付与する。

・文書の分類 組織で検討し、分類を決定します。 この分類を文書管理システムに設定すれば自動仕訳で分類してくれます。

・文書を電子化するルール どのような文書を電子化するのか、電子化する際のファイル名、電子化文書の保存期限などを決定します。 電子化後のライフサイクルが明確化され、必要な電子化が行われます。

システムを導入すると、やり方が変わります。マニュアル(手作業)からコンピュータ化されるわけですが、ルール化され、統一化されていれば、社員も安心して新しい仕組みを実行できます。

このように、文書管理システム前に社内の問題を洗い出し、体制、制度、ルールについて、しっかり対応することによって、目的に対してぶれない姿勢でシステム導入を検討することができます。

必要な機能をしっかり押さえ、そして、想定外に案内してもらったよい機能も前向きに自分たちのものとしてうまく利用できることでしょう。

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