文書管理規程や文書管理マニュアルを作って、文書管理の標準化・ルール化を図りたいと感じている方は数多くらっしゃると思います。 ここでは文書管理規程と文書管理マニュアルの違いや、 どのような切り口で内容を盛り込めばよいかについて整理してみます。
文書管理規程も文書管理マニュアルも、簡単に言えば文書管理のルールブックのようなものです。 しかしその役割は若干異なり、 文書管理規程はマニュアルに比べ、より上位概念として位置づけられるものです。 例えるなら、憲法と法律のような違いです。
憲法である文書管理規程は、法令や規格などの要求事項に基づいて社内で定める基本原則で、 「文書管理の在り方」を書いたものです。 従ってごくごく基本的な内容を定めており、組織や部署、業務内容の違いによって大きく異なるものではありません。
一方、法律である文書管理マニュアルは、規程の「文書管理の在り方」に倣って、 組織や部署、業務内容にマッチしたルールを具体的に盛り込んだものになります。
さて、ここでお伝えしたいのは、 「文書管理規程だけでは文書管理は実現しない!」ということです。
文書管理規程は上場申請やISO取得などの過程で、 成り行き的に作られたものがほとんどで、 形骸化していたり、組織では存在すら知らない人が多くいます。
内容も先述の通り、あくまで基本原則を定めたものなので、 業務内容に応じた具体的なオペレーションレベルまで網羅されたものではありません。
つまり文書管理を組織で実現させるためには、 文書管理の基本原則を盛り込んだ「文書管理規程」はもちろん、 文書管理の具体的なルールを盛り込んだ「文書管理マニュアル」が必要なのです。
とはいえ、文書管理規程と文書管理マニュアルを必ずしも2冊に分ける必要はありません。 組織の人たちからすれば文書管理のルールが2冊もあると面倒なので、 規程とマニュアルを一冊にまとめて、「文書管理規程」としてもよいと思います。
文書管理規程も文書管理マニュアルも、文書のライフサイクルにおける段階ごとのルールを切り口に作成します。
文書のライフサイクルとは何か?
文書が「生まれて」から「死ぬ」までのプロセスです。
これらの段階ごとのルールを盛り込んだものが、 文書管理規程や文書管理マニュアルになります。 しがたって章立ても、このライフサイクルに沿って作成していきます。
文書のライフサイクルにおける「発生」には、「作成」と「収受」があります。 「作成」とはその名の通り、ワードなどのアプリケーションソフトで作成した電子文書やそれを紙出力した文書、手書きで書きこんだ紙文書などがあります。 また「収受」とは、外部から送られてきた電子メールや郵便物などが該当します。
こうしたライフサイクル上の「発生」における文書のルールを、文書管理規程や文書管理マニュアルに盛り込んでいきます。
<紙文書の場合>
・件名・日付・作成者など、文書の記載事項
・件名のつけ方
・書式や文体
・綴じ方
・収受した際の注意事項(一時的な置き場所や開封権限など)
・不正競争防止法に対応した秘密区分の表示方法
<電子の場合>
・版管理の仕方
・ファイル名の付与ルール(検索漏れ防止のため、厳密に定める)
・使用するソフトウェア
・記録メディアへの秘密区分の表示方法
「発生」した文書は、様々な形で内外に「伝達」されます。 「伝達」は、組織内部では「回覧」や「稟議処理」などワークフローのルールに該当し、 組織外部では「発信」「配布」などに言い換えることもできます。
ワークフローの承認ルートや効率化についてはこちらをご覧ください。
こうしたライフサイクル上の「伝達」における文書のルールを、文書管理規程や文書管理マニュアルに盛り込んでいきます。
・文書の承認ルート
・承認済み文書の処理ルール(押印など)
・承認済み文書の社外発信時の手段(郵便、FAX、電子メールなど、伝達手段ごと)
・発信手段ごとの注意事項(送り状、署名への記載事項やパスワード設定など)
特に社外への「伝達」は相手のあることです。 トラブルなどが生じないようきちんとルール化して安全を図ります。
このような切り口から、自社の実情と照らし合わせながら文書管理規程やマニュアルを作成してみてください。 「これだけじゃよくわからん!」という方は、こちらのサンプルドキュメントをどうぞ。
文書管理規程を作るにあたり、切り口として必要となる「文書のライフサイクル」。 今日は「発生」と「伝達」までをご紹介しました。 次回は「保管」以降についてご紹介します。
コンサルティング事業部/鈴木
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