
文書を「捨ててよいかどうか」の判断に迷う場面に遭遇するのは日常業務ではありがちです。判断を先送りにして捨てられないものが滞留してしまうといったことはないでしょうか。
文書の保存期限を正しく求めるには、保存期間だけでなく、期間を数え始める「起算日」を確認する必要があります。書類の作成日、契約終了日、事業年度の終了日、確定申告書の提出期限の翌日など、起算点は文書の種類や根拠となる法令・規程によって異なります。
起算日を誤ると、保存年数が合っていても、本来残すべき文書を早く廃棄してしまうおそれがあります。本記事では、保存期限の基本的な数え方と、誤廃棄を防ぐための管理方法を解説します。
まず、文書の保存期限について説明するために、この記事での用語を整理しておきましょう。
保存期限を決めるには、「何年保存するか」より先に、「何をきっかけに、いつから数えるか」を確定する必要があります。
起算点は、文書の作成・受領・契約終了・事業年度終了・申告期限など、文書の種類ごとに異なります。法令、契約、業界ルール、社内規程の順に必要な条件を洗い出し、最も遅く満了する要件を満たす期間を保存期限として設定します。
起算日が不明ということは、保存期限が決められないことになるため、確認が済むまで廃棄対象にしないでおきましょう。
ここでは、保存期限の数え方を4つのステップで説明します。

文書の名称だけで判断せず、内容と業務との関係を確認します。該当する法令による保存義務、契約上の義務、監査要件、社内業務上の必要期間を洗い出します。
複数の要件が重なる場合は、各要件の起算点と満了日を個別に計算し、最も遅い満了日を管理上の期限とします。

「作成日」「受領日」「契約終了日」「事業年度終了日」「申告期限の翌日」など、期間計算の起点となる日を特定します。この時、法令や規程に起算方法の特別な定めがある場合は、それに従います。

保存期間の満了日が確認出来たら、期間末日まで定められた場所に保存します。

保存期間の満了を過ぎてから廃棄とします。満了日はイコール廃棄日ではありません。
訴訟、監査、税務調査、内部調査、情報開示請求、契約上の請求などに関係する場合は、例外的に保存期限を過ぎても廃棄をしないようにします。
必ずしも作成日からではありません。法令や規程に、事業年度、契約終了、申告期限など別の起算点が定められている場合があります。
「当年度を含むか」ではなく、規定された起算日から満了日までを計算します。年度単位で一括管理する場合は、法定期間を十分に含めて設定しましょう。
推測して廃棄せず、文書の発生業務、所管部門、根拠法令・規程などを確認します。判断結果は分類基準表に反映し、次回以降の属人的な判断を減らしましょう。
保存期限を誤っていたことで誤廃棄に至った過去の事例は少なくありません。
不安だからとすべてを永久保存すると、保管コスト、検索負荷、情報漏えい時の影響範囲が増えてしまいます。残しておくことのリスクも理解しておきましょう。
「短すぎる保存」と「根拠のない永久保存」の両方を防ぐことが文書管理の目的です。
保存期限を明確にし、満了時に評価して処分できる仕組みを作りましょう。
その仕組みづくりのツールとなるのが文書分類基準表です。では、この文書分類基準表について見ていきましょう。
分類基準表とは、文書の分類ごとに、保存根拠、起算点、保存期間、記録管理スケジュール、機密区分などを組織共通で定めた管理表です。担当者の記憶や個別判断に頼らない属人化を防ぎ、同じ文書を同じ基準で管理するための土台となります。
※文書分類基準表を使った保存期限の管理方法はこちら
以下は分類基準表に入れる主な項目となります。これらを基準として自社で使用する最適なものを検討します。
項目名 | 記載内容の例 |
文書分類 | 大分類・中分類・小分類 |
所管部門 | 作成・管理責任を持つ部門 |
保存期間 | 1年、7年、10年、常用など |
保存根拠 | 法令、契約、社内規程、業務上の必要性 |
起算点 | 作成、受領、契約終了、年度終了、申告期限など |
記録管理スケジュール | 執務室2年→保管庫8年、サーバー→アーカイブ |
機密区分 | 極秘、一般機密 |
管理方法 | 紙・電子 |
まずは、保有文書の棚卸しを次の手順で行います。
業務の変遷に合わせて、発生する文書も変化します。メンテナンスを行っていないとすぐに形骸化してしまいます。年1回は必ず分類基準表の見直しを進めましょう。
以下に変化の要因を示します。
分類基準表は「何を、いつまで保存するか」を示す具体的なルールではありますが、それを実践しなければ運用はできません。運用するには「誰が、いつ、どの手順で管理・確認・廃棄するか」という文書管理のルールが必要となります。
それでは、運用していくために文書管理のルールではどんなことを決めたらいいのでしょうか?保存期限まで保存し、廃棄をするということにフォーカスした場合でも以下のような取り決めが必要となります。
これらを文書管理ガイドラインやマニュアルにまとめ、組織の標準ルールとして示します。
↓↓↓文書管理のルールの作り方に関しては、【文書管理ルールのまるわかりガイドブック】に詳しく書かれています。
文書の保存期限は、保存期間だけでは決まりません。まず文書の保存根拠を確認し、何をきっかけに期間を数えるのかを明らかにしたうえで、起算日から満了日を計算します。
また、期限を正しく計算できても、分類基準表が更新されていなかったり、確認なしで廃棄したりすれば誤廃棄は防げません。分類基準表を作成し、文書の棚卸しと年次メンテナンスを行い、廃棄承認や廃棄停止を含む文書管理ルールを整備することが重要です。
文書管理コンサルティング/石川
組織の知カラとは?
文書管理の専門家が長年培ってきたノウハウを企業担当者に向けて配信するサイトです。
お役立ち資料
紙文書の電子化が進められいますが、「画像データのままで中身が検索できない」「手書きや旧字体が多く、一般的なOCRではエラーばかりになる」ということはないでしょうか。
本書は電子化を検討している方に向け、最新のAI技術と人の目(目視検査)を融合させることで、安全かつ飛躍的に検索性を高める「真に使えるデジタルデータ」の構築手法をわかりやすく解説しています。

生成AIやAIを搭載したナレッジシステムを導入・検討する企業が急増していますが、システムを導入すれば、全てが解決されるわけではありません。
その性能を100%引き出すのは、データの品質です。
本書では、共有フォルダ整理ルールやナレッジシステム投入を意識した構造的課題とその解決策を解説しています。

文書管理の悩みを実践的な手法で解決するメニューを紹介しています。文書管理でどうしたらいいかわからない時はまずこちらを見てみましょう。

もし文書管理ルールを見直すのであれば、是非この資料を見てみましょう。文書管理の必要性、課題、解決策などにについて解説した資料となっています。
記事カテゴリ一覧
© Nichimy Corporation All Rights Reserved.