文書の保存期限の数え方とは?起算日の決め方と誤廃棄を防ぐ管理

2026-8-14

文書を「捨ててよいかどうか」の判断に迷う場面に遭遇するのは日常業務ではありがちです。判断を先送りにして捨てられないものが滞留してしまうといったことはないでしょうか。

文書の保存期限を正しく求めるには、保存期間だけでなく、期間を数え始める「起算日」を確認する必要があります。書類の作成日、契約終了日、事業年度の終了日、確定申告書の提出期限の翌日など、起算点は文書の種類や根拠となる法令・規程によって異なります。

起算日を誤ると、保存年数が合っていても、本来残すべき文書を早く廃棄してしまうおそれがあります。本記事では、保存期限の基本的な数え方と、誤廃棄を防ぐための管理方法を解説します。

保存期限は「起算日」と「保存期間」で決まる

保存期間・起算日・保存期限の違い

まず、文書の保存期限について説明するために、この記事での用語を整理しておきましょう。

  • 保存期間:文書を保存しておく必要がある期間
  • 起算日:保存期間を数え始める基準となる日
  • 保存期限(保存期間満了日):保存期間が満了する日
  • 廃棄可能日:保存期間満了後、廃棄停止の必要性や社内承認を確認したうえで廃棄できる日

保存期限を決めるには、「何年保存するか」より先に、「何をきっかけに、いつから数えるか」を確定する必要があります。

「文書作成日から○年」とは限らない

起算点は、文書の作成・受領・契約終了・事業年度終了・申告期限など、文書の種類ごとに異なります。法令、契約、業界ルール、社内規程の順に必要な条件を洗い出し、最も遅く満了する要件を満たす期間を保存期限として設定します。

起算日が不明ということは、保存期限が決められないことになるため、確認が済むまで廃棄対象にしないでおきましょう。

保存期限の正しい数え方の4ステップ

ここでは、保存期限の数え方を4つのステップで説明します。

ステップ1 文書の種類と保存根拠を確認する

文書の名称だけで判断せず、内容と業務との関係を確認します。該当する法令による保存義務、契約上の義務、監査要件、社内業務上の必要期間を洗い出します。

複数の要件が重なる場合は、各要件の起算点と満了日を個別に計算し、最も遅い満了日を管理上の期限とします。

ステップ2 起算点と起算日を特定する

「作成日」「受領日」「契約終了日」「事業年度終了日」「申告期限の翌日」など、期間計算の起点となる日を特定します。この時、法令や規程に起算方法の特別な定めがある場合は、それに従います。

ステップ3 暦に従って保存期間の満了日を計算する

保存期間の満了日が確認出来たら、期間末日まで定められた場所に保存します。

廃棄する場合の注意点

  • 保存期間の満了を過ぎてから廃棄とします。満了日はイコール廃棄日ではありません。

  • 訴訟、監査、税務調査、内部調査、情報開示請求、契約上の請求などに関係する場合は、例外的に保存期限を過ぎても廃棄をしないようにします。

  • 所管部門の確認と廃棄承認を経て、廃棄日・承認者・廃棄方法を記録しましょう。

保存期限の数え方でよくある疑問

Q: 書類を作成した日から数えればよい?

必ずしも作成日からではありません。法令や規程に、事業年度、契約終了、申告期限など別の起算点が定められている場合があります。

Q: 「7年保存」は当年度を1年目に含める?

「当年度を含むか」ではなく、規定された起算日から満了日までを計算します。年度単位で一括管理する場合は、法定期間を十分に含めて設定しましょう。

Q: 起算日がわからない文書はどうする?

推測して廃棄せず、文書の発生業務、所管部門、根拠法令・規程などを確認します。判断結果は分類基準表に反映し、次回以降の属人的な判断を減らしましょう。

保存期限の誤りが「誤廃棄」につながる

保存期限を誤っていたことで誤廃棄に至った過去の事例は少なくありません。

「誤廃棄」を招く考え方

  • 文書の作成日を一律に起算日にする
  • 保存年数だけを台帳に登録し、起算点を記録しない
  • 法令ごとの起算日を比べず、年数だけで長短を判断する
  • 期限満了と同時にシステムで自動削除する
  • 訴訟・監査・調査中の文書を通常ルールのまま廃棄する

誤廃棄だけでなく「残しすぎ」にも注意する

不安だからとすべてを永久保存すると、保管コスト、検索負荷、情報漏えい時の影響範囲が増えてしまいます。残しておくことのリスクも理解しておきましょう。

「短すぎる保存」と「根拠のない永久保存」の両方を防ぐことが文書管理の目的です。

保存期限を明確にし、満了時に評価して処分できる仕組みを作りましょう。

保存期限を管理するには文書分類基準表を作成する

その仕組みづくりのツールとなるのが文書分類基準表です。では、この文書分類基準表について見ていきましょう。

文書分類基準表とは

分類基準表とは、文書の分類ごとに、保存根拠、起算点、保存期間、記録管理スケジュール、機密区分などを組織共通で定めた管理表です。担当者の記憶や個別判断に頼らない属人化を防ぎ、同じ文書を同じ基準で管理するための土台となります。

※文書分類基準表を使った保存期限の管理方法はこちら

文書分類基準表に入れるべき項目

以下は分類基準表に入れる主な項目となります。これらを基準として自社で使用する最適なものを検討します。

項目名

記載内容の例

文書分類

大分類・中分類・小分類

所管部門

作成・管理責任を持つ部門

保存期間

 1年、7年、10年、常用など

保存根拠

法令、契約、社内規程、業務上の必要性

起算点

作成、受領、契約終了、年度終了、申告期限など

記録管理スケジュール

執務室2年→保管庫8年、サーバー→アーカイブ

機密区分

極秘、一般機密

管理方法

紙・電子

棚卸しと毎年のメンテナンスで基準を形骸化させないために

実際に保有している文書を棚卸しする

まずは、保有文書の棚卸しを次の手順で行います。

  1. - 部門別に、紙文書、共有フォルダ、文書管理システム、クラウドサービスなど、文書の確認を行います。
  2.  分類基準表に載っていない文書、所管不明の文書、保存期限が設定されていない文書が発見された場合は、不足の内容を明らかにして分類基準表へデータを追加します。
  3.  棚卸しの際に発見された重複保管、不要な複製、個人管理の文書については、不要なものの廃棄や削除を行いましょう。

分類基準表は毎年見直す

業務の変遷に合わせて、発生する文書も変化します。メンテナンスを行っていないとすぐに形骸化してしまいます。年1回は必ず分類基準表の見直しを進めましょう。
以下に変化の要因を示します。

  • 法令、ガイドライン、契約要件の改正
  • 組織改編や担当部門の変更
  • 新しい業務、システム、クラウドサービスの導入
  • 文書名称や帳票様式の変更
  • 廃止業務や利用されなくなった分類の整理
  • 誤廃棄、期限超過、検索困難などのインシデント・運用課題

文書管理を運用するにはルールの設定が欠かせない

分類基準表だけでは運用できない

分類基準表は「何を、いつまで保存するか」を示す具体的なルールではありますが、それを実践しなければ運用はできません。運用するには「誰が、いつ、どの手順で管理・確認・廃棄するか」という文書管理のルールが必要となります。

文書管理ルールで定める主な事項

それでは、運用していくために文書管理のルールではどんなことを決めたらいいのでしょうか?保存期限まで保存し、廃棄をするということにフォーカスした場合でも以下のような取り決めが必要となります。

  • 対象となる文書と適用範囲
  • 文書管理体制:文書管理責任者・文書管理担当者・利用者の役割
  • 作成・受領、登録、分類、保存、利用、移管、廃棄の手順
  • 起算日と保存期限の登録方法
  • 廃棄候補の抽出、所管確認、承認、廃棄証跡の残し方
  • 訴訟・監査・調査時の廃棄停止手続
  • 例外申請、保存期間延長、ルール改定の方法
  • 定期教育、棚卸し、内部点検の実施方法

これらを文書管理ガイドラインやマニュアルにまとめ、組織の標準ルールとして示します。

↓↓↓文書管理のルールの作り方に関しては、【文書管理ルールのまるわかりガイドブック】に詳しく書かれています。

まとめ|保存期限は起算日を明確にし、組織のルールで管理しよう

文書の保存期限は、保存期間だけでは決まりません。まず文書の保存根拠を確認し、何をきっかけに期間を数えるのかを明らかにしたうえで、起算日から満了日を計算します。

また、期限を正しく計算できても、分類基準表が更新されていなかったり、確認なしで廃棄したりすれば誤廃棄は防げません。分類基準表を作成し、文書の棚卸しと年次メンテナンスを行い、廃棄承認や廃棄停止を含む文書管理ルールを整備することが重要です。

ご相談のある方はこちら ↓

文書管理コンサルティング/石川

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