散らかった共有フォルダは損失? 情報資産を「組織知」に変える方法

2026-6-12
社内の情報資産を有効活用するためには、情報システムの導入が解決策の一つとなりますが、どんなに優れたAIやシステムであっても、読み込ませる元データが散らかっていたり、古いバージョンが乱立したりしていては、正確な情報を引き出すことはできません。

本記事では、なぜシステム導入前の整理が一番重要なのか、その理由を紐解きながら、効率的な情報の利活用に向けた具体的な共有フォルダの仕分け方や、運用のルール作りについてわかりやすく解説します。

なぜ共有フォルダの整理をする必要があるのか

共有フォルダを整理することは、企業の生産性やセキュリティ、そして資産価値の向上に直結する重要な経営課題です。

整理されていない状態であることで発生する主な問題を3つあげてみましょう。

業務効率の大幅な低下

1つの文書を探すのに時間がかかっていませんか?あるいは、わからないから他の人に聞くこともあるかもしれません。文書を探す時間は、自分の時間も他人の時間も奪ってしまいます。

ミスの誘発

原本となる文書が明らかでない、バージョン管理がおろそかである場合には、古いマニュアルや誤った仕様書を参照し、手戻りが発生したりトラブルに発展するリスクがあります。

提案力の低下

過去の提案書や知見(ナレッジ)が埋もれてしまい、新しい提案に活かせなくなります。このため、同じようなものを1から作成したり、よい事例の共有モレによる品質の低下が起こり得ます。

資産価値の向上においては、「社内のナレッジを即座に引き出せる状態にする」 という点が特に注目されます。

利活用が求められる文書とは?

企業にはさまざまな文書が存在し、共有フォルダに収められています。多くの企業では、部署ごとにフォルダが作成され管理されています。

部署の業務により、文書の保管や利活用の色合いは変わってきます。

ここでは、利活用を求められる文書とはどのようなものかを、逆に管理が中心になる文書と比較して確認してみましょう。

文書の種類

特徴

取扱い部署

利活用が求められる文書

企画書、提案書、研究データ、研究報告書、マニュアルなど

企画開発、営業、研究、製造など

管理が中心となる文書

規程などの会社のルール、経理書類、稟議書類など

管理系の部署に多い。

または、基幹系の部署でも一部管理が中心となる文書を所有する

上記の表のとおり、管理が中心になる文書は間接的な業務の文書が該当します。こういった管理が中心になる文書は、法律で保存年限が決められていることが多いです。

また、利活用が求められている文書は、基幹系の部署の業務で作成されるその企業のノウハウの詰まった文書となります。

利活用したい文書ファイルはどう整理するべきか

それでは、次に「利活用が求められる文書」に着目してその整理の方法を見ていくことにしましょう。

メンバーが迷わず、スムーズに文書を利活用できるようにするためには、以下の3つのステップで整理を進めます。

1. フォルダ分けは文書の分類を意識する

これらの文書は、法律で保存年限が決められているものが少なく、自社で保存年限を決定するのがほとんどです。その企業のノウハウが詰まったものとなると、永年となることや永年とまでは行かなくても長期保存となります。

つまり、年々増加していく傾向にあるという特徴を持っています。

このため、使う人たちの合意を得た分類をフォルダ構造とすることをお勧めします。

「使う人たちの合意を得た」とは具体的にどんな分類となるでしょうか。ここではいくつかの事例を紹介しますので、参考にしてください。

例1:顧客名を主体として分類する

1階層目:顧客名(50音順などにするとわかりやすい ア_青空製作所など)

2階層目:案件名

3階層目:業務フロー

例2:プロジェクトを主体として分類する

1階層目:プロジェクト番号

2階層目:プロジェクトフロー

例3:年度報告を中心に分類する

1階層目:年度

2階層目:報告書

3階層目:本文と参考資料の区分け

2. ファイルの命名ルールを徹底する

中身を開かなくてもある程度内容の想像がつくような名称にするのかポイントです。まずはよくないファイル名の例をあげてみます。

【こんなファイル名はダメ】

・報告書.doc(いつの何の報告書かわからない)

・20260610_〇〇社様提案_企画書_v2-コピー.pptx(単なる複製なのか、正式な文書なのかわからない)

・名称未設定.doc (名称を全く設定していない)

次に、おすすめする命名ルールの例は以下のとおりとなります。参考にして社内で適切な名称を決めてください。

【おすすめの命名ルール例】

管理に必要な要素とその順番を組織で決めましょう。一般的なのは、[日付]_[プロジェクト名]_[書類種別]_[バージョン]です。


例:20260610_〇〇社様提案_企画書_v2

※文書管理ルールの策定で参考になるダウンロード資料はこちら↓↓↓

3. データベース化のすすめ

特に利活用を進めたい文書に関しては、データベース化することをおすすめします。文書管理システムやナレッジマネジメントシステムに投入すればもっと効果的な利活用が可能です。

最近多くのナレッジマネジメントシステムに組み込まれているAIを使ったRAG(検索拡張生成システム)ではより利活用を期待することができます。

そのメリットを2つ説明いたします。

①探す時間の劇的な削減(タイムパフォーマンスの向上)

従来のフォルダ検索では、キーワードが一致しなかったり、階層が深すぎたりして、目的のファイルにたどり着くまでに多くの時間がかかっていました。

RAGを導入すれば、AIに「過去のA社向けの提案書を見せて」などと自然な言葉で話しかけるだけで、AIが対象の文書を瞬時に見つけ出し、要約までして提示してくれます。これにより、全社的な「情報探索コスト(時間)」を劇的に削減できます。

②人の記憶に頼らない「組織知」の最大化(属人化の解消)

文書を探すのに人に聞いてお互いの時間を費やしたり、特定のベテラン社員に質問が集中する状況(属人化)を解消できます。

誰でも「ベテラン社員」と同等の知識レベルでスピーディーに業務を行えることが期待できます。

※文書のデータベース化については、以下の記事に詳しく説明しています。

情報資産の整理整頓の重要性

ただし、魔法のように見えるAI機能を搭載したナレッジマネジメントシステムですが、投入される情報の質が悪ければ、よいパフォーマンスを出すことはできません。

共有フォルダの整理整頓は、単なるドキュメント管理に留まらず、「企業のナレッジシェア(知識共有)」 を加速させる基盤となります。

「ルールを作っても、なかなか社員に浸透しない」「既存のフォルダが散らかりすぎていて、何から手をつけていいかわからない」という場合は、外部のコンサルティングサービスを利用するのも一つの手です。

弊社の提供する「共有フォルダ整理削減支援」では、共有フォルダ運用ルールの策定や、適切なフォルダ構造の維持をサポートし、企業のナレッジシェアを強力にバックアップします。社内の情報資産の利活用にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

【関連資料の無料ダウンロード】

資料の利活用のためのナレッジマネジメントに関するホワイトペーパーをご用意しました。ぜひご活用ください。

※AIを使ったナレッジマネジメントの導入前に、データ品質の視点から共有フォルダの整理について詳しく解説しています。

ご相談のある方はこちら ↓

文書管理コンサルティング/石川

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