
まず、企業における文書保存年限管理の課題にはどんなものがあるか確認しましょう。ここでは3つの主な課題「整備の状況が把握できていない」「保存年限の取扱いに関して理解が進んでいない」「保存年限が定められていないことでリスクにさらされたり、コストが発生する」について考えてみます。

多くの企業では、「現場任せ」になっている状況が散見されます。部署によって文書保存年限表のフォーマットがまちまちだったり、そもそも作成の有無すら把握できていなかったりするケースは少なくありません。この状態では、全社的なガバナンスが機能しているとは言えません。

文書は業務を行う誰もが関わります。しかし、その全員が取扱いを理解しているとは言えず、場合によってはその場しのぎの「とりあえず」のあいまいな対応や前任者からうまく引き継いだものの実務との隔たりを感じているなど、基本理解の欠如による問題が発生しています。
こうした基礎知識が現場に浸透していないことが、管理のバラつきを生む根本原因です。

これらの課題を根本から解決するには、単なる「年限のリストアップ」ではなく、組織的な仕組み作りが必要です。
ポイントは、ルールを決めること、ルールを周知すること、実行に移すこととなります。

保存年限管理についての全社共通のルールを決めましょう。保存年限に直接的に関わる事項だけではなく、間接的に関わる保存ルールや廃棄のルールも合わせて策定します。
部署によって、業務が異なり、それに基づいて作成・受領する文書は異なりますが、ここでは会社の標準的なルールとして「ガイドライン」を策定します。
保存年限の項目は、文書の分類や文書名、根拠法令、保存期間、起算日、媒体(紙/電子)、機密区分、主管部署などとなります。
現場ですぐに使用できるようにスプレッドシートなどでフォームを作成し、記入例も示しましょう。
機密区分に準じた保管のルールを示します。
例えば、機密レベルが高い場合は、一般的な誰でもアクセス可能なキャビネットや共有フォルダに文書を置けば、機密レベルと置き場所に矛盾が生じてしまいます。そのようなことが発生しないように文書の置き場所を定めて置く必要があります。
こちらも保管同様に機密レベルに準じ廃棄のルールを定めます。
特に紙文書の場合ですが、不要な文書だからと言って、室内のゴミ箱に入れたり、リサイクル業者に出すなど情報漏洩の可能性のある行為が発生しないようにします。
電子文書の場合は、情報システム担当やDX担当と連携をとって情報漏洩が発生しない方法をとります。また、電子文書の入ったメディアを廃棄する場合ももれなくその廃棄方法を定めます。
保存年限は法改正によって変更されることがあります。最低でも年1回は「法定保存文書一覧」を更新するサイクルを組み込みます。
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前項で作成したルールをまとめたガイドラインを配布し、セミナーなどを開催して全社に周知します。その際にそれらルールのバックグラウンドである文書管理の基礎知識も合わせて伝えることでさらに理解が深まります。
以下、保存年限関連事項と合わせて伝えた方がよい事項を示しましたので参考にしてください。
法定保存年限とは、法律で義務付けられた最短の保存期間です。法定保存期限が定められた文書は、少なくともそれ以上、保存しておくことが必要です。
法定保存年限の数え方(起算日がいつになるか)が重要です。これを間違えてしまうと誤廃棄事故につながりますので要注意です。 多くの文書は「事業年度の終了日の翌日」からカウントされますが、契約書の場合は適用される法律により異なりますが契約終了時、労務関係文書の場合は退職日などとなり、文書の「完結」が起点となります。
法律で保存期限が定められていない文書の保存期限の定め方や例示をします。
文書保存年限表の使い方を説明します。
文書にはそのフェーズに合わせて人間の一生になぞらえたライフサイクルがあります。そのライフサイクルとは、順番に「発生」「回付・承認」「保管」「保存」「廃棄」となっています。特に保存期限に関わるのが「保管」「保存」「廃棄」となります。
社内の正式文書、個人文書の保管場所を改めて周知しておきましょう。
保存のフェーズでは紙文書であれば倉庫保管、電子文書であればアーカイブ領域での保管やメディア保管となります。倉庫保管やメディア保管は部署ごと案件ごとに管理がまちまちになりやすいため、標準的なルールを定めて周知しておきます。
廃棄のタイミングで情報漏洩の事故が発生しやすいため、そのリスクと共に廃棄のルールの説明を行います。

ルールを作成して周知した後は、それを各部署で実行してもらいます。徹底的に実行すればその効果が高くなります。このため、一番のお勧めはある一定期間に集中して実行することです。長期に渡っての実行はそれなりに労力がかかっているにも関わらず、効果は薄くなってしまいます。
ただし、実行はリソースを要するため、企業は自社の状況に合わせてその方法を選択していくことになります。そこで、実行の方法のパターンを3つほど示しますので、自社の組織にあった進め方の検討の参考にしてください。
文書主管部門ではルールの策定と周知のみとし、実行するかも含めて部署にお任せするという方法です。実際に実行する部門は少なくルールを整備した目に見える効果を社内であまり感じられないことになります。しかし、実際にここまでとする企業もかなりあるのです。
標準的なルールを示すことに重きを置いた方法です。
組織が大きいと一度に全社を行うのはなかなか難しいため、文書管理主管部門や文書管理などに協力的な部署に限定して保存年限の整備をしていくという方法です。成功した文書があることを示した上で、次の段階で全社的なプロジェクトに発展させます。
全社的に実行に取り組むパターンです。多くは総務部などの文書管理主管部門が事務局となりプロジェクトを推進し、各部署の「文書管理責任者」を巻き込んだプロジェクトを立ち上げます。ガイドラインを雛形に、現場の業務実態に即した保存年限表を策定してもらうことが、実効性を高める鍵となります。ます。全社を動かすことになるため、移転のタイミングやファイルサーバーの更新などがきっかけとなるケースが多くあるようです。
全社で期日が決まっている状態での取り組みは非常に難しいものがあります。弊社では伴走し実行支援サービスも承ります。
自社だけで標準的なガイドラインの策定や、法令対応の確認、全社での展開を行うのが難しい場合は、弊社の文書管理サービスを活用することをお勧めします。

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次の一歩として:
まずは現状の「文書保存年限表」を確認してみませんか?
文書管理コンサルティング/石川
組織の知カラとは?
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