企業のための電子文書分類構築ガイド

2026-2-13
「クラウドドライブやファイルサーバー内の必要な書類がすぐに見つからない……」
このような悩みはほとんどの企業が抱えています。それらは、時間の経過とともに各部署が独自のルールで運用し始め、フォルダが乱立し、結果として、文書の検索性が著しく低下しているケースが散見されます。
このような現象の要因は、明確な「分類基準」の欠如にあります。
大規模な組織において、文書管理の標準化は単なる「整理整頓」ではなく、「業務効率化」であると同時に、法的なリスクを回避するための「コンプライアンス」の要でもあります。現場の努力だけでは解決できないこの問題には、全社横断的な仕組み設計が不可欠です。
今回は、文書管理ルールの中で具体的かつ実践的な文書分類基準について、その必要性や分類基準の作り方を説明します。

なぜ「全社標準の文書分類体系」が必要なのか

担当ごとに「使いやすいように」と属人的に管理された文書分類の状況は、組織にとって大きなリスクとなります。以下に、検索コストの増大、二十管理の発生、コンプライアンスの欠如について説明します。

検索コストの増大

担当者の不在時や異動後に、必要な文書の所在が不明となってしまったり、新しい担当者が新しいフォルダ構成で管理して、過去の担当者が作成したフォルダはそのまま置かれてしまうこととが多々散見されます。これによって必要なファイルが探し出せない状況が引き起こされてしまいます。

二重管理の発生

文書のオーナー及び原本の格納場所がか分からず、古いバージョンの文書が参照されたり、更新されたりしてしまい、内容に齟齬が発生することがあります。

コンプライアンスの欠如

廃棄すべき機密情報が残り続ける場合は情報漏洩のリスクが高まります。また、誤廃棄も発生しやすくなり、残すべき証憑が失われる可能性もあります。

特に高い品質管理と安全性が求められる業態では、文書の検索性は「技術継承」や「監査対応」に直結する企業の資産価値そのものとなります。

目指すべき姿:共通認識としての文書体系

目指すべきは、「誰が・どこに・いつまで」保管するかが、全社員の共通認識として定着している状態です。

文書分類の体系(ルール)という土台をまず作り、次にそれを実践するための入れ物のフォルダ構成を考えていきましょう。

検索性を向上させる「文書分類基準」の作り方

適切な分類体系を構築することが、検索性を向上させ、安全な管理の第一歩となります。ではどうしたら適切な分類体系を作っていけるのでしょうか。以下、その進め方を見ていきましょう。

実態調査

各部署が保有する文書の実態を可視化したり、日常業務で発生している問題を把握します。電子ファイルの場合は、ファイルの容量や数量、ファイルの種類、命名状況の調査や、ヒアリングなどの方法で困りごとを拾い上げていきます。
※クラウドドライブやファイルサーバーの現状調査については以下の記事に詳しく書かれています。

分類構成の検討

分類構成を検討する際には、2つの方法があります。一つは俯瞰的な視点から検討するワリツケ方式、もう一つは実際の文書を見ながら分類をまとめ上げていくツミアゲ方式があります。どちらかを採用するというよりも、大分類や中分類はワリツケ方式で部署や年度、業務などから分類を作成し、小分類以下は所有している文書をグループ化しながらつくるツミアゲ方式とミックスして行うのが主流です。

※文書分類の作成方法については以下の記事に詳しく書かれています。

電子文書特有のルール

文書分類体系は、業務の内容にかかわることのため、紙文書と電子文書は共通化することができます。さらに、電子文書は電子ならではの特有のルールの設定が必要です。ここでは、ファイル名、アクセス権限、アーカイブエリアへの移行、利用のルールについて説明をします。

ファイル名ルール

ファイル名の付け方が統一されていないと、必要な要素が名前に表れていなかったり、ファイルの並べ替えを行ってもバラバラになってしまったりしてしまいます。結果、ファイルを探すのに時間がかかったり、ファイルの内容を調べるためにファイルを開く回数が多くなったりしてしまいます。

会社で標準的なファイルのルールを決めておくことによって、検索時間の短縮や内容にあたりをつけるのがたやすくなるなどのメリットがあります。

以下に、よく企業で採用されているファイル名の例を示します。

   例:日付、文書件名、バージョン番号の要素を示したファイル名

     20260201_取締役会議事録_v2

アクセス権限のルール

アクセス権限を付与する場合、部署ごとのアクセス権限と同時に、職位やプロジェクトなどのアクセス権も用意しておきます。使用しているシステムによってアクセス権付与の機能が異なるため、要件に合わせてシステム担当者への確認が必要となります。

アーカイブエリアへの移行ルール

紙文書の場合は、保存期間中に利用頻度が低くなった場合には、執務室から倉庫に移管されます。同様に電子文書の場合も、倉庫と同じ意味を持つアーカイブエリアを設定することをお勧めします。アーカイブエリアには利用頻度は低いけれども保存しておく必要のあるファイルを移行します。

このアーカイブエリアへ移行する場合のルールも予め決めておきます。分類毎に示されていると便利です。

利用のルール

社内統一的な分類は、個人からみたら使いづらいこともたくさんあります。それが積み重なってしまうと、使いやすようにフォルダ構造を変更したり、別の領域にコピーをして2重管理をすることも発生します。

使用するクラウドドライブ機能にも依りますが、利用者が利用しやすいように仮想階層やショートカットなどをうまく利用して使いやすい環境を用意することも重要です。部署ごとにショートカット集を作成したり、メニューを用意することもよいでしょう。

全社展開を成功させるための進め方

これまでルールの作り方や内容について説明をしてきましたが、大規模組織の場合は、ルール変更には抵抗が伴い調整が難しいことが多々あります。

ここでは、その場合に有効な進め方として、プロトタイプ運用の実施マニュアルの作成について説明します。

プロトタイプ運用の実施

まずは管理主管部署である総務部や協力的な部署をプロトタイプとして選定し、分類の作成やルールの実践を行います。このプロトタイプで、進めるに当たっての問題や運用の不備を洗い出し改善をした上で、他部署へ展開します。

マニュアルの作成

文書管理マニュアルを作成し、文書管理におけるルールをわかりやすく1つにまとめます。また、幅広い年齢層や職種の方が閲覧することを想定して、直観的に理解できる簡易版を作成することもお勧めします。

■■ まとめ ■■

文書管理のゴールは、「必要な時に必要な情報が即座に取り出せ、業務が円滑に進むこと」にあります。

そのためには、部署単位の最適化ではなく、文書管理主管部門が主導する全社横断のルール作りが欠かせません。今回ご紹介した「文書分類基準表」の作成は、企業のガバナンスを支える強固なインフラとなります。

ぜひ、貴社における文書管理の「標準化」を具体的に進めていきましょう。

まずは現在のフォルダ運用の実態調査から始めることをお勧めします。専門的な知見が必要な場合は、分類体系の設計、電子文書の整理削減、維持管理、紙文書の電子化などを支援いたします。

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文書管理コンサルティング/石川

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