文書管理ルールの課題とその解決策

2025-2-14
今回は、この「組織の知カラ」サイトへのお問い合わせで多い「文書管理のルール」に関する課題について取りあげ、その解決方法について説明します。

文書管理ルールに関する課題

文書管理ルールに関する弊社へのご相談では、「文書管理規程」を見直したいというご相談が多く寄せられますが、実際お客様にヒアリングをしてみると、必要なのは「文書管理規程」の見直しよりも他のルールの見直しや作成が必要な場合が多くありました。

さて、そんな「文書管理ルール」に関する課題にどんなものがあるか、以下に4つあげてみました。

 

文書管理ルールが全く存在しない、あるいは更新されず古いままである

急成長したスタートアップ企業の場合は、文書管理規程などの文書管理ルールそのものが存在していない場合があり、まずは基本ルールである文書管理規程を整えることが急務となります。また、文書管理ルールがあっても10年以上見直しがされておらず放置されている企業も多くあり、電子文書への対応、現在の法律への対応、社内外の情勢への対応などが懸念事項になっています。

  

電子文書に対応していない

前述の文書管理ルールが古いままであるということに関連しますが、ルールが紙文書を前提に作成されていて、電子文書が主流となっている現在の管理体制にマッチしていない場合がここ数年特に多く見られました。ルールがないため、電子文書の管理については現場対応に任せられており、会社からは実情が見えない状況になってしまいます。

  

保存年限表の保存年限が正しいのか不明である

法律変更に伴って法定保存年限も変更になる場合がありますが、保存年限表の見直しを行っていない場合、保存年限が会社の設定よりも法律での設定の方が長くなっている恐れがあります。

  

部門ごとに管理を任せているが、ちゃんと運用されているかわからない

文書管理は部門に任されているが、会社共通の標準ルールが無く、運用がきちんとされているのか不明でリスクとなっています。

  

文書管理のルールを何段階かに分けて考える

文書管理のルールの課題は、ヒアリングをしてみると上のように様々な場面での課題が浮き上がってきています。

また、文書管理ルールもその役割によって、何段階かに分けて考えることで、文書管理ルールの課題にも対応しやすくなります。

文書管理ルールを上位レベルから下位レベルで分けて考えると以下の図のようになります。この上位レベルというのは、より包括的で会社全体に関わります。一方で、下位レベルに行けば行くほど現場に近くより具体的なルールとなります。

 

文書管理ルール構成図

以下にそれぞれのルールの説明を示しました。

実際にどんな風に記載されるのか、イメージしづらいため、具体例として秘密文書の例を示しています。

【文書管理規程】 基本ルール

文書管理の基本原則で基本的なルールや参照規程などを設定します。 

具体例:秘密文書の場合

「秘密文書は適正かつ厳重に管理し、取扱いについては同規程の定めに従う。」

【文書管理ガイドライン】運用実践のためのルール

文書管理規程で決められた内容を実践するための具体的な方法を示します。

具体例:秘密文書の場合

「表記:「極秘」「社外秘」などの秘密区分を認識できるように表記する」

「出力:秘密文書のコピー・出力後は直ちに文書を回収し放置しない」

【マニュアル】プロジェクトに応じて作成

文書管理に関する各種マニュアルとなります。例えば、紙文書削減を行う「ペーパーレス化実行マニュアル」、文書を削減し整理する「文書整理削減マニュアル」など、文書管理プロジェクトに応じて作成します。  

具体例:秘密文書の場合

ガイドラインのところで示した内容とほぼ同じになりますが、図を加えることによってさらにわかりやすくなります。また、プロジェクトや現場独自の内容にカスタマイズします。

【文書分類基準表】分類毎のルール

文書の分類毎に保存年限やリテンションスケジュールなどを示したものとなります。各文書のライフサイクル管理はこの文書分類基準表を元に行います。

具体例:秘密文書の場合

分類毎に秘密区分を示します。

【文書管理台帳】文書毎のルール

文書のファイルごと、または、文書ごとに作成する台帳で、どんな文書があるかを示したものとなります。

具体例:秘密文書の場合

文書毎に秘密区分を示します。

「文書管理ルール」の各課題の解決策は?

それでは、文書管理ルールの課題に対すると解決策を見ていきましょう。

文書管理ルールが全く存在しない。あるいは更新されず古いままである

文書管理ルールを上位レベルから確認する必要があるため、文書管理規程の見直しから始めます。

これまでコンサルティングを行ってきた中で、文書管理ガイドラインがある会社というのはほぼなく、文書管理規程に実践的な細かい内容も含まれてるケースが多く見られました。

実践的な細かいルールは状況によって改変されます。しかし規程のレベルにそれらを盛り込むと、改変が容易にに実行できなくなります。そこで、基本ルールは文書管理規程に、実践ルールは文書管理ガイドラインに分けて作成することをお勧めします。

文書管理規程や文書管理ガイドラインのカバー範囲や内容などは標準的なものを参考にして進めていくのが効率的です。

サンプルにはなりますが弊社の文書管理規程や文書管理ガイドラインは以下よりダウンロードが可能です。是非参考にしてみてください。

 

電子文書に対応していない

文書管理ルールに電子文書について触れられていない場合には、まず、文書管理規程に電子文書も当該規程のカバー範囲であることを示しましょう。

また、具体的な運用についてはガイドラインに示します。

電子文書ではフォルダの構成やファイル名の命名規則などが運用に大きく影響しますので、それらもガイドラインに示しておきます。

 

保存年限表の保存年限が正しいのか不明である

保存年限表の見直しは定期的に法律と照らし合わせて必ず行う必要があります。自社で行う場合は、確認実行記録も残しておきましょう。

当社でもサービスとして行っております。

 

保存年限の見直しに関する記事はこちら!!

部門ごとに管理を任せているが、ちゃんと運用されているかわからない

まず、会社の共通ルールを定めましょう。

そのためには、文書管理規程だけではなく、もう少し具体化した文書管理ガイドラインの作成も必要です。会社の標準的なルールを示すことにより、最低限守らなければならないことを明確にします。

■■ まとめ ■■

今回は文書管理のルールの課題について確認していきました。同じような課題をお持ちの場合は、是非文書管理ルールの見直しを進めていってください。
文書管理ルールについては、以下のホワイトペーパーにまとめています。

※以下よりダウンロードが可能です。

ご相談のある方はこちら ↓

文書管理コンサルティング/石川

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【必読】
文書管理ルールのまるわかりガイドブック

もし文書管理ルールを見直すのであれば、是非この資料を見てみましょう。文書管理の必要性、課題、解決策などにについて解説した資料となっています。

  


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このページでは以下の説明と資料のご案内をしています。

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