事例に学ぶ、文書管理ルールのベストプラクティス

2024-12-13
文書管理は企業の効率性とコンプライアンスを維持するために不可欠です。しかし、時代の変化や技術の進歩に伴い、既存のルールが時代遅れになることがあります。今回は、そんな文書管理ルールの見直し事例をご紹介します。

なぜ文書管理ルールの見直しをする企業が増えているのか

文書管理ルールの見直しに関する問い合わせが近年非常に増えており、多くの企業で課題になっていることが推察されます。ではなぜ、そのような企業が増えているのでしょうか。ここでは、技術の進化とDX推進の2つの観点で説明します。

 

■技術の進化

技術の進化には、電子文書の普及、クラウド技術の進展、AIや自動化の導入があげられます。

 

・電子文書の普及

企業では特にコロナ禍をきっかけに電子文書の利用が急速に進みました。電子文書を原本とする考え方が広まり、従来の紙ベースの文書管理ルールでは対応しきれない部分が増えてきました。電子文書の管理には、そのメリットを生かした検索性やアクセスのしやすさ、電子文書ならではのセキュリティの確保が必要となります。

 

・クラウド技術の進展

電子文書の普及と同様にコロナ禍を機にリモートワークが増え、社内ネットワーク内のサーバーではなくクラウドシステムに切り替える企業が多くなりました。そのメリットは、場所を選ばず文書のアクセスが可能となることや、文書の共有や共同作業が容易であるがあげられます。クラウド技術の進展に伴い、セキュリティやデータ保護の観点からも新しいルールが必要となっています。

 

・AIと自動化技術の導入

AIと自動化技術の導入を推進するためには、原則電子データで管理することが必要となります。今まで紙で保管していた文書をOCRで文字情報を抽出するなど、多くの企業では必要に応じて試みられています。

 

■DXへの対応

多くの企業では、DXの推進すべく、業務効率化と生産性向上やリモートワークの普及など様々な試みがされています。

 

・業務効率化と生産性向上

DXの一環として、業務プロセスのデジタル化が進んでいます。文書管理もその一部であり、効率的な文書管理ルールの整備は業務全体の効率化が期待できます。

 

・リモートワークの普及

前述の「技術の進化」でも提示したように、リモートワークの普及によって、場所を問わずにアクセスできる電子文書の環境構築が求められるようになりました。このため、電子文書を前提にした文書管理ルールが求められます。

 

文書管理ルール見直し取り組み事例3例

以下に文書管理ルールを見直した事例3例を紹介します。見直しに至った経緯や見直しを行ったルールやその方法など企業によって様々なパターンがあります。

また、文書管理のルールには、規程、ガイドライン、分類基準表などそのレベルによって数種類のものがあり、目的によって、どのルールを見直すかが異なります。 

文書管理ルールの構成

■事例1:会社全体での文書管理基盤の整備

 全社的に文書管理基盤の整備を行った企業の事例を紹介いたします。

 

①見直しの目的

文書管理規程について、会社全体での文書管理基盤を実情に合わせて整備する必要がありました。また、標準的な文書管理規程と突き合わせを行い、現在の規程に存在しない条項があれば検討したいとのことでした。

 

②ルールの検討体制

総務部を中心に検討チームが組まれ、その上で関係部署への照会が行われ、契約や法令に関しては法務部門、情報セキュリティに関しては情報システム部門の精査が入りました。

最終的には、役員会の承認を持って新しい規程の施行に至りました。

 

③ルール策定後の課題

文書管理規程は、役員会で承認され年度初めより運用が開始されました。変更点やそれに基づく日常業務の注意点などについては、Webによる社内説明会を実施して周知しています。

その後の運用チェックをどう行っていくかが課題となっています。

 

■事例2:R&D部門での情報の利活用

R&D部門の情報の利活用を目的に実践的なルールの見直しを行った事例を紹介します。

 

①見直しの目的

R&D部門で管理している研究資料、データ、論文などを整理し、利活用を推進する目的で文書管理ルールの整備を行うことになりました。部門でのルールとなるため、実践的なルールである文書管理ガイドラインを策定することになりました。

 

②ルールの検討体制

R&D部門の中で数人のプロジェクトメンバーが中心となりルールの検討を行いました。そのメンバーから、必要に応じて他のメンバーにも意見を聞くという体制がしかれました。

 

③ルール策定後の課題

ガイドライン策定後は、それに基づいてメンバー全員でのクラウドドライブの電子ファイルについて整理削減が行われました。また、代表的な研究資料についてはデータベース構築が行われました。これらによって、文書の検索スピードがアップし誰でも文書が探せて活用しやすい環境が構築されました。

整理削減された状態は放っておくと、また元に戻る可能性があるため、どう維持をしていくのかが課題となっています。

 

※電子ファイル整理削減後の維持管理についての記事はこちら 

■事例3:オフィスリニューアルに伴うペーパーレス化

 オフィスリニューアルによるペーパーレス化推進のため、文書管理ルールを見直した事例を紹介します。

 

①見直しの目的

オフィスリニューアルに伴い各フロアに共用スペースを作るため、大幅なキャビネット削減が必要になり、ペーパーレスを全社的に推進することになりました。このため、文書管理規程やガイドラインについて、電子文書を前提としたものに変更していく必要がありました。また、各部門では文書分類表の整備が実行されました。

 

②ルールの検討体制

総務部が事務局を設置し、各部門にキーマンを置くというピラミッド体制でルールの検討がなされました。

 

③ルール策定後の対応

文書管理規程の変更点、ガイドラインの概要については、ペーパーレス化実行前に対面の説明会を数回開催し、各部のキーマンに周知しました。各部門では、その説明に基づいて分類基準表の作成と紙文書の整理削減を行いました。

オフィスリニューアルが前提となっているため、紙文書の削減が必至であり、課文書の電子化を大量に行うことになりました。電子化によって作成された電子文書の整理と紙を出さない仕組みが今後の課題となっています。

 

■■ まとめ ■■

以上、3例を紹介しました。
文書管理ルールの見直しは、企業の効率性とコンプライアンスを維持するために重要です。成功事例を参考にしながら、自社に最適なルールを策定することをお勧めします。

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文書管理コンサルティング/石川

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