まずは、現状を正確に知ることからスタートします。
ここまで、会社で収集した情報は全て共有してもらうのはもちろん、数値的な裏付けを取ったり、深堀して情報を取得します。
・数値的な裏付けを取る
共有フォルダの場合は、掴んでおきたい数値はどれだけ容量を使用している課やファイル数となります。組織が大きい場合は部門ごとに分けて、数字を掴んでおくとよいでしょう。この数字は整理削減後の数字との比較対象となり、削減率を確認する場合に役に立ちます。
・深堀りした情報を得る
数字的な裏付けや以前から存在した問題を掘り下げるために、現場などに質問をして回答を得ます。
アンケートやインタビューなどの方法で意見をくみ取っていきます。
※いきなりアンケートやインタビューを行うのは質問の焦点が合わず難しいので、容量やファイル数などの数値を先に集めてから、仮説を立てて質問を作っていくとよいでしょう。
この整理削減推進プロジェクトの目的や動機を整理して明らかにすることも大事です。整理削減は、直接会社の売り上げに貢献しません。また、実施したからと言って突然何かが変わるという即効性があるものでもありません。
なぜ必要なのか、どのような効果が期待されるのかなどについて、事務局で討議した上で、文章などまとめてアウトプットしておきましょう。
まとめの視点は2つ紹介します。
・会社組織として(コンプライアンスなど)の重要性
会社組織として、文書管理は非常に重要なものとなります。法的な対応(電子帳簿保存法、個人情報保護、業務に関連する各種法令等)に応えられる環境を作り、組織文書は個人管理ではなく組織の文書としてしかるべき場所に保管されており、属人化することなく管理されていなければなりません。
文書が紙から電子文書に変わってきた今、共有フォルダにある電子ファイルの担う役割は大きくなっています。
・現場の共感を得る
上で見てきたように会社組織としての重要性だけだと、会社で決まったことだから現場としてやるという図式になってしまい、実際、実施の段階で共感が得られず、プロジェクトが進みにくくなってしまいます。ことによると頓挫してしまうことも。
現場にもメリットがあることもしっかり伝えられるようにしておきましょう。例えば、整理削減することによって文書の検索スピードが向上する、情報共有することによって顧客サービスの向上が図れるなどがあげられます。
当社では文書管理のルールをピラミッドに例えて、位置付けて説明しています。
文書管理ルールの構成
文書管理のルールをこのように上層から下層に分けて作成すると、層と承認レベルを対応させて細かいルール変更がしやすくなり、現場がフレキシブルに動けるようになります。
最上位は文書管理規程ですが、規程クラスになるとその変更を行う場合には取締役会などの承認が必要になります。規程には原理原則を示し、その下位のガイドラインやマニュアルには、詳細な(具体的な)ルールを示すようにします。具体的なルールは社会環境の変化や社内の状況によっても変化することがありますが、その変更は社内委員会などの実務者レベルで変更することが可能です。
ところで、今回は上位ルールである規程まで手を付ける必要があるでしょうか。まず、そこを検討してみましょう。
文書管理規程を更新してから時間が経過している場合は、電子文書の取扱いについての記述がないこともあります。その場合は、電子文書の整理削減推進に影響するため、見直しをすることを検討してみてください。
・共有フォルダ整理削減マニュアル
ルールが決まったら、必ず言語化してアウトプットしておきましょう。今回のプロジェクトのために整理削減マニュアルなどを作成しておくことをお勧めいたします。
・文書分類表・法定保存年限一覧
この文書管理ルールの最下層に位置する文書分類表や法定保存年限一覧については、全て事務局で整備することは不可能で各部門に依頼することになるでしょう。
その場合には、フォームや考え方の基準などは提供して、出来上がったものはぶれないようにすることが重要となります。
この最下層に位置するルールこそが実践で役立つものとなります。
・分類基準表 ← どこのフォルダに入れればいいかわかる。
・法定保存年限一覧 ← いつまで保存すればいいかわかる。
文書コンサルティング/石川
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