共有フォルダの整理の前に押さえておきたい文書管理の基本ポイント

2024-11-15
紙文書から電子文書の移行の中で、電子文書の格納先である共有フォルダに課題を抱えるお客様が増えています。
フォルダ分けはどうしたらいいか?ファイル名はどのように付けたらいいか?などは多くの企業の共通の課題であるようです。これらは具体的な対策を行えば変化は表れるでしょう。
しかし、対策を行う前に文書管理の基本である目的の共有が行われていないようです。なぜ、文書管理をするのかという目的を明らかにし社内で共有することにより、電子文書の場合においても文書管理の推進や継続が期待できます。
今回は、共有フォルダの問題を文書管理の基本から見ていきます。

共有フォルダの役割とそのメリット

共有フォルダとは、組織として共有することを前提にしたファイルサーバーやクラウドドライブ上の領域です。電子文書の格納場所となり、紙文書の場合のキャビネットに該当するので「電子キャビネット」という言葉もよく聞かれます。

ここでは共有フォルダの役割とそのメリットを見ていきましょう。

■共有フォルダの役割

まず、共有フォルダにはどんな役割があるのでしょうか。

 

1.集中的な管理をする

組織の文書を一箇所に集約して管理し散逸を防ぎます。組織として保管すべきものだけを管理し、個人的な場所には組織のものを置かないようにします。

 

2.アクセス権の設定をする

フォルダごとに部署や職位などに応じてアクセス権を設定し、情報統制を行います。

 

3.コラボレーションの推進をする

複数のユーザーが同時に閲覧したり、場合によっては編集や更新などが可能になり、情報の共有がより進みチームでの業務を推進します。

 

■共有フォルダ利用のメリット

一方で共有フォルダを使うメリットにはどんなことがあるのでしょうか。

 

1.業務効率化が推進できる

紙文書のように文書が保管されている場所に出向く必要が無く、集中管理によってあらゆる場所を探す必要もないため、文書を探す時間が短縮や再利用も促進され、業務のスピードが向上します。

文書は関係者に常に共有された状態になるため、個人間でメールのやりとりを行う必要もありません。

 

2.統制が保たれる

集中管理が行われるので、正式な最新バージョンが常に保管されている状態を維持できます。

 

3.セキュリティの向上が図れる

アクセス権など設定により、情報漏洩を防止することができます。紙文書のように置き忘れて紛失ということもありません。

 

4.ペーパーレス化が進み、それによるコストの削減が望める

紙文書を入れるキャビネットが必要なくなるため、オフィスのスペースが有効に利用できます。また、紙文書の保管に必要だった倉庫費用の圧縮も期待できます。

その他紙文書に関わる費用(印刷、ファイル容器など)の削減も見込めます。

 

文書管理の基本と共有フォルダの管理を繋げて考えてみる

共有フォルダの役割・メリットについて見てきました。

ここからは、共有フォルダによくある問題を文書管理の基本から考えてみましょう。

 

■文書管理の目的とは?

まずは、文書管理の基本となる目的を押さえておきましょう。ここでは3つの目的にまとめて説明しています。

 

・法令順守

法令や規制、基準などに対応すること、契約上の義務への対応などがあげられます。訴訟に備えたり、訴訟が起こった時に対応できるようになります。

 

・内部統制の実効性

文書の保存・開示・提出義務への対応を行います。秘密文書の漏洩や重要文書の紛失や改ざんなどのリスクに対応します。

また、BCP(事業継続計画)への対応にも寄与します。

 

・業務効率

社内で文書を発生から廃棄に至るライフサイクルを標準化することにより、業務の効率化が図れます。また、会社の歴史的資料やナレッジを正しく保存し利用に供することで企業価値を高めます。

 

 

それでは、共有フォルダによくある問題を文書管理の基本から考えてみましょう。

■ファイル名のルールがなくファイルが探しにくい状態になっている

ファイル名のルールがなく、組織のメンバーが自分流の付け方でファイル名を付与しているので、新たにファイル名付与ルールを設定したいという声がよく聞かれます。

ファイル名付与の基本的な考え方としては、文書の内容などから3要素程度をピックアップすること、それらの順番も組織内で統一することをお勧めしています。

 

以下の記事にはファイル名付与についての解説があります。

しかし、ファイル名のルールを決めたからと言ってファイル名が自動的に変わるわけでもなく、新しく作成されたファイルがルールどおりになるわけでもありません。つまり、ルールを守ってもらわないといけません。

忙しい組織のメンバーは、ルールを守ってくれるのでしょうか。

 

【文書管理の基本:業務効率化】

ファイル名の統一は業務効率化に大きく影響します。後から利用する、組織内で共有する、組織のナレッジとなるなど業務効率化の理解が深まれば、ファイル名ルールを守っていこうという機運も高まります。

■共有フォルダ内に重複ファイルが散見され、どのファイルが最新かわからない

上記のような場合は、文書のオーナー管理ができていない、正式文書の管理ができていないと考えてよさそうです。

 

【文書管理の基本:内部統制の実効性、法令順守】

電子文書は簡単にコピーできてしまいます。それゆえに重複ファイルが発生しがちです。正式文書がどれなのかが明らかになっていないとバージョン管理ができず間違った文書を使ってしまうこともあります。

法律で保存年限が決められた文書も正式文書となっているものを決められた年数保管する必要があります。

正式文書を明確にするとともにその文書の取り扱い責任者を明確にするオーナー管理も重要です。

■最適なフォルダ構成とし、アクセス管理を行いたい

最適なフォルダ構成にして、それらフォルダのアクセス権を設定する必要があります。

【文書管理の基本:内部統制の実効性】

文書の秘密度の視点からは、公開文書から秘密文書まで様々なレベルの文書があります。秘密度のレベルに応じたアクセス権を決定し、フォルダに反映させます。

上記を実行することにより、安全に業務を進めることができます。

このように共有フォルダの問題解決も単なる整理にとどまらせずに、文書管理の基本を押さえたその意味について、周知させることで継続的に推進していくことができます。

文書管理の基本はどう周知させる?

周知の方法はいろいろありますが、書いたものを読んでもらうよりも効果的なのは研修です。

弊社では、研修サービスも行っています。研修資料は、一部を以下よりダウンロードが可能です。 

ビデオ研修などにも対応いたしますので、ご興味があればご検討してみてください。

■■ まとめ ■■

最近特に多い共有フォルダ整理の問題ですが、一時的な整理整頓に終始してしまうとリバウンドが起こりやすくなります。
なぜそれをするのか?文書管理の基本を押さえて周知することをお勧めします。

ご相談のある方はこちら ↓

文書管理コンサルティング/石川

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