電子文書の管理方法

2024-1-12
既に多くの企業では、ペーパーレス化が進み電子文書中心の運用が進められていると思います。それに伴い、ファイルサーバーやクラウドドライブなどの共有フォルダに格納されている電子文書は、増大の一途を
辿っています。今回は、その解決策をファイリングとメタデータ作成の観点から見ていきます。

電子文書の増加とその課題

ここ数年で多くの企業では、ペーパーレス化が進み紙の文書から電子文書への移行が進められました。コロナ禍のリモートワークにおいては、文書のあるオフィスに出勤不可能となったため、閲覧回数の多い文書のデジタル化(PDF化)が進められました。また、年明けの電子帳簿保存法をもって、運用や保管のデジタル化も進められました。

このような外的要因もある中で、電子文書が紙出力することなくそのまま流通させて保管まで行うことが主流となり、それは業務効率をアップさせるメリットがあることから、現場でも電子文書の活用は求められてきています。

ただし、そのために新たな課題も発生しています。多くの組織に共通している課題は、保管先であるファイルサーバーやクラウドドライブなどの共有フォルダに入れた電子文書が探せない取り出せないということです。

データベース化されているデータは、あらゆる項目から検索ができて直ぐに探し出すことができるのに、電子文書はなぜ探すことがこれほど困難なのでしょうか。
それは、データベース化されたデータは構造化データで、電子文書は非構造化データであるからです。

電子文書の多くは非構造化データである

まずは、ここで構造化データと非構造化データの違いを確認しておきましょう。

■構造化データ

構造化データとは、いわゆる表で表すことのできるデータです。Excelなどの表を思い浮かべていただければ理解しやすいと思いますが、行と列で構成されたもので、数値の集計や並べ替えなどが行いやすいデータとなります。多くの組織で使われている会計システムや業務システムのデータがこれにあたります。

■非構造化データ

対して、非構造化データとは、構造的でないデータのことです。具体的には、見積書、発注書、企画書、提案書、契約書、PDFファイル、PhotoShopやIllustratorファイルや画像、動画、音声など多岐に渡ります。そしてそれらは常に業務で取り扱っているものとなります。

常に作成し、受け取り、流通させて保管しているのがこれらの非構造化データでないでしょうか。電子文書の8割は非構造化データとも言われています。

非構造化データ(電子文書)の管理方法

それでは、この日常的に発生し、ストックされていく非構造化データをどのように管理すればよいのでしょうか。

紙文書の時代にも同様に1つ1つは重要な文書にも関わらずそのまとめ方に管理に苦慮したことはありませんか?文書の利用者によって、アクセス方法が異なりどの分類や並べ方を採用したらいいか悩んだことはないでしょうか。

文書管理とは「必要な文書が必要な時に直ぐに取り出せること」です。これは電子文書も同様です。

■小さなサラダやさんの例

例として、スモールなビジネスの場合で必要な文書が必要な時にすぐ取り出せるように考えてみましょう。
このビジネスではサラダを作って販売しています。

①文書を洗い出す

扱っている文書を思いつくままにあげてみるとします。

・きのこサラダのレシピ
・キャベツ切り方の写真
・ドレッシング配合
・レタスの注文書
・マヨネーズの見積書
・販売容器のカタログ
・卵サラダの注文書
・結婚式デリバリー時の控え
・デリバリー業者との契約書

②文書をグループ分けし、グループの順番を決める

  これらの文書はいくつかのグループに分けられます。
どのような切り口で分類するかを定め、さらにその順番を決めてください。
イメージとしては、文書を入れる箱を考える。そしてその箱の並びを考えることです。
切り口はさまざまで、例えば工程毎、サラダの種類ごと、顧客ごとなどがあるでしょう。

 ■工程ごと
  1.計画する
  2.材料を調達する
  3.材料を切る
  4.ドレッシングを作る
  5.材料とドレッシングを合える
  6.盛り付ける
  7.販売する

 ■サラダの種類ごと
  き_きのこサラダ
  し_シーザーサラダ
  た_卵サラダ
  ふ_フルーツサラダ

 ■顧客ごと
  1.イベント関係
  2.メジャーアカウント
  3.一般販売

ファイリングとは文書をしかるべき場所にファイリングすることによって、インデックス付けと同じ効果をもたらします。電子文書も同様の方法をとって探しやすくします。

③電子文書ならではメリットを生かして発展的に

「順番に並べたフォルダに文書を入れる」というやり方にはデメリットもあります。

このサラダショップで、仮に工程でフォルダ分けを行なうことにしたら、サラダの種類ごとや顧客ごとのフォルダ分けはあきらめなければなりません。80%のスタッフが工程ごとのフォルダ分けの方が使いやすくても20%はそうでない場合は、あきらめてもらうしかありません。

なぜなら、物理的には置き場所は1つだからです。

しかし、電子文書の場合は紙文書とは異なり、物理的な置き場所のみではなく仮想的に別の観点でファルダ分けをすることも可能です。これは電子文書で管理することのメリットです。先ほどの20%のあきらめていたスタッフも電子文書であればあきらめずに自分の探しやすい方法を選ぶこともできます。

デジタルで管理する場合は、検索エンジンなどツールを入れたり、クラウドドライブなどのサービスを使う必要はあるものの、紙文書で行うファイリングとは異なり、このように検索性を高める余地があります。

以下にそれらの例をあげてみます。(ただし、これらは別途ツールの導入やクラウドサービスでの対応が必要となります。)

 ■多観点での並べ替え
  仮想的にフォルダ構造を変えてみることができる
 ■全文検索
  文書の本文の内容から検索ができる
 ■コンテンツにタグ付けを行う
  複合的に文書を探し出すことができる


非構造化データ(文書)を構造化データ(メタ)にする

さらには、非構造化データである電子文書を構造化データとして管理する方法もあります。具体的にはその文書にメタデータを付与して管理する方法です。

これを行うことによって、文書管理システムなどを使って文書を管理するとができます。

■メタデータ作成にはコストがかかるので、対象を絞り込む

しかし、メタデータを作成して文書管理システムで運用する事は大変理想的ですが、毎日大量に作成・受領される文書に対してメタデータを付与出来るのか?付与する手間に対してそれだけ利用はあるのか?疑問となるところであると思います。

そこで当社でおすすめしているのは、メタデータを作成して管理するものを絞り込み、フォルダ管理するものとの棲み分けルールを作ることです。

どんな文書をメタデータを作成して文書管理システムに投入して運用すべきか考えるポイントは、以下のとおりとなります。

 ・使う人が多いか
 ・使う頻度が高いか
 ・検索スピードが求められるか


文書管理システムなどへ電子文書や電子化文書を投入することについては以下の記事で詳しく述べられています。↓

■メタデータを作成すべき文書の例

文書管理システムなどにどんな文書がよく投入されているか、当社の例であげますと何といっても契約書です。契約書には管理するべき項目が多々あります。

以下は、契約書管理に使われている主な項目となります。

 ■契約書の種類(契約書・覚書・同意書・協定書・確認書など)
 ■ID番号(契約書1件ごとに割り振ったID)
 ■相手先名称
 ■契約件名
 ■締結日
 ■契約開始日
 ■契約終了日


これらの項目をメタデータとして作成し、データベース管理し、本文とリンクさせます。
メタデータを作成し、非構造化データを構造化データにすることによって、分析やデータの加工も容易になりさらに利活用が進みます。

■■ まとめ ■■

電子文書の管理の基本は、紙文書同様にファイリングです。
分類構造を設定し、そこにファイルを格納していきましょう。
また、電子文書のメリットを生かすために、一般文書のような非構造化データはメタデータを付与して管理することをお勧めします。ただし、コストを鑑みて対象を絞り込みましょう。

分類構造を決めたりリファイリングを行うことは人的判断が伴いますが、必ず成果が出ますので是非ともすすめていってください。
自分たちでやるのが不安な方は、文書管理コンサルへ依頼することをお勧めします。

ご相談のある方はこちら ↓

文書コンサルティング/石川

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