文書管理規程などの見直しのポイント

2022-3-25
ワークスタイルの変化や法律改正などにより、文書管理規程などのルールを見直す企業が増えています。今回は文書管理ルールのポイントについてご紹介します。

見直しポイント1:ルール見直しの目的は何かを考える

文書管理ルール見直しの目的には、大きく分けて二つの観点があります。
これらふたつのどちらを目的としているのかによって、
文書管理規程のみを見直せばいいか、
その下位にあるガイドラインやマニュアルの見直しも必要かが決まります。

もちろん両方を充たすのがベストですが、企業にも様々な事情があります。
外部機関からの監査や法律改正など、外的要因によって時間に限りがある場合やコスト面の事情などがあるため、
まずは最新の文書管理ルールを体裁として、形式的に備えたい企業は多いと思います。
そのような場合は①のタイプに該当し、まずは文書管理規程を優先して策定・改訂などに着手することになります。
一方、②の業務効率化の実現までを目的としている場合、
文書管理規程の改正だけでは何も実現することはできません。
文書管理規程は「こうあるべき」という概念的、抽象的なルールを定めたもので、
実践的な記述はしないのが一般的だからです。
②の実現のためには、
規程で定めたルールを実際にどういう手順で行うのかという粒度で、
文書管理規程の下位にあるガイドラインやマニュアルに記述しなければなりません。

【この章のポイント】

・実現したい目的に応じて、見直すべきルールは異なる。

・外部への体裁が優先の場合は、規程を優先的に見直す。

・業務効率化などの組織改革が課題の場合は、ガイドラインなどで、より具体的な内容まで踏み込む。

見直しポイント2:電子文書に対応しているか

文書管理ルールが長い間更新されていなくて、形骸化しているというお話をよく聞きます。特に紙での管理・運用が前提のままになっていて、電子文書に関する記述がほとんどないという企業はとても多く見られます。
ルールを見直す際には、電子文書に対応しているかどうかを確認することがポイントになります。

電子文書の記述においても、文書管理規程とガイドラインやマニュアルに記述する粒度は異なります。
電子文書に関する技術は日進月歩で進化します。
文書管理規程にあまり具体的に記述してしまうと、そのたびに更新しなくてはなりません。
記述内容の具体性と更新頻度は比例するので、更新手続きに手間と時間がかかる規程には、あまり具体的な記述はしないようにしましょう。
文例としては次のようなイメージになります。

文例①(文書の取扱い)
社内文書の取扱いは、法令等による定めがある場合を除き、可能な限り電磁的に行う。

文例②(文書の作成および発信)
契約書は法務部が定める電子契約システムを用いた電子文書により締結することができる。

文例③(電子文書の保有)
電子文書は有効活用できるよう管理単位で分類・整理をして、総務部が指定する文書管理システムに登録して保有する。

このように規程では具体的な記述を避けることで、更新頻度を下げることができます。
しかしこれだけでは内容が抽象的で、組織の文書管理ルールとしては不十分です。
そこで具体的なルールについては、ガイドラインやマニュアルで補完します。
記述内容については、文書のライフサイクルに沿って記述すると漏れやダブりを防ぐことができます。

<電子文書の発生(作成)>

電子文書作成時に関連するルールを示します。

・版管理のためのルール

・ファイル名やフォルダ名の命名規則

・書式や使用してよい記号など

 

<電子文書の処理・活用>

・承認ルート

・ワークフローシステム

・電子契約システム

・文書管理システムへの登録

 

<電子文書の保管>

電子文書の保管ルールを示します。

・電子文書の分類・整理方法

・文書種類ごとの保管期間

・電子文書の原本性の確保

 

<電子文書の廃棄>

・電子ファイルの削除

・メディアの廃棄方法

・各種システムに登録されている電子ファイルの削除に関する権限

このように文書のライフサイクルごとに関連するテーマを記述することで、
網羅的なルールを作成することができます。

【この章のポイント】

・今あるルールが、電子文書にも対応しているかを確認する。

・更新の手続きに手間のかかる文書管理規程には、あまり具体的な記述はしない。

・ガイドラインやマニュアルは文書のライフサイクルに沿って記述すると網羅的なルールとなる。

見直しポイント3:保存年限が正しいか

文書管理規程などの巻末に文書保存年限表が添付されている企業は多いと思います。
しかしこの保存年限についても長らく見直しがされていないと、
保管スペースが逼迫したり法律改正に未対応になったりといった様々な問題が発生します。
文書管理ルールの見直しの際には、保存年限の見直しも実施します。

さて、保存年限を設定する際には、大きく二つの観点があります。
会社ルールと法定保存の二つです。

会社ルールとは文字通り、個々の会社が任意に設定する保存期間です。

・業務的価値
業務上での必要性を考慮した保存期間。大部分の文書は業務遂行後1年で廃棄。

・訴訟リスク
訴訟などのトラブルになったときに、エビデンスとなる文書は、そのリスクが消滅するまで保有する必要があります。

・歴史的価値
企業イメージの向上、社員教育などに寄与するような歴史的価値のある文書は、長期に保存します。

会社ルールの保存期間は任意なので設定に悩むところですが、以上のような観点で設定するとよいと思います。

法定保存文書については各省庁が定める法律、規則に沿って設定することになりますが、
長らく更新していないと法改正に未対応といった事態になります。
また、これまでは紙で保存していた文書でも、現在では電子で保存が可能となっている文書も数多くあります。
使い勝手や保管スペースのことを考えると、電子保存への切り替えが可能ならばそれに越したことはありません。
電子文書による保存に切り替える場合、法的に電子での保存が可能かどうか、可能であるならばどのような要件が求められているかは確認する必要があります。
関連記事はこちら。
当社でもそのような確認をする支援をしておりますので、
ぜひお問い合わせください。

【この章のポイント】

ワークスタイルの変革実現に向けて、
まずは文書管理ルールの見直しをご検討ください。
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