電子文書ルールの考え方と作り方 (1).考え方編

2021-08-13
取扱いが増加する電子文書のルールについて課題を抱えているお客様が増えています。今回は、電子文書のルール作成について、どのような考え方で進めていったらいいのかについて説明します。

電子文書のルールづくり何から考える?

ここ数年増加してきている電子文書ですが、管理が利用に追いついておらず、無法地帯になっていたり、または改善のため文書管理システムなどのソリューションを導入していても、その利用が推進されていなかったり、あるいは全体的に見てムラのある利用になっていたりとかしていませんか。

これらを解決するためにルールを作成しようとしたときに、どこからスタートしたらいいのか、まずは考えてみましょう。

考える側面として以下のようなパターンがあげられます。

    ・ルールの構成
    ・文書のライフサイクルのシーン
    ・利用シーン


これから、これらについて解説します。

ルールの構成から考える

文書管理のルールは、社内規程レベルのものから、個別の文書分類に対する取扱いの取り決めまで、上流から下流まで段階的に分割できます。
それぞれの役割や運用のカバー範囲、作成や改変に承認を取る範囲などに応じて配置されます。一般的には、以下のように構成されます。
ルールの構成
これから、その構成要素を見ていきましょう。

■文書管理規程


文書管理ルールの一番上位に位置するルールとなります。法律で例えれば憲法のようなものです。規程である以上は、作成や改変については会社からの承認が必要となります。

このルールでは具体的なことを示すのではなく、文書管理のあるべき内容を示します。

また、その他の規程との関連性なども示します。

以下の記事では、文書管理規程の位置づけについて説明しています。

■文書管理ガイドライン


規程の直下に位置するルールで規程に示された項目をさらに運用面に踏み込んで具体的に示していきます。現場で業務を行うにあたり、どうすればいいかを確認することができます。

分かりづらいと思いますので、具体例をあげてみます。

電子文書の原本の取り扱いについて、文書管理規程では

「①改変履歴の管理や、長期保有の場合、システム障害や記録媒体の劣化による変化、消失や作成ソフトのバージョンアップに対処できる環境を整え、電子文書の、見読性、完全性、機密性、検索性を確保しなければならない。」

以下、②、③と続きます。

一方でこれに関連するガイドラインの記述はどうなっているのでしょうか。

ガイドラインでは以下のように記載されます。

「(1).改変履歴の管理、システム障害、誤操作、記録媒体の劣化による消失・変化に対処できる環境を整え、下記要件を満たしたものとする。

①見読性:必要な時に、記録されている内容や画面をプリントアウトによる印刷物で直ちに表示でき読み取ること

②完全性:消失、変化防止、改変履歴を記録し改ざん防止、改ざんの有無を検証できる携帯で保有・管理すること(真正性ともいう)」

と、以下③機密性、④検索性の具体的な説明へと続きます。

ここで示したように具体的にイメージできる内容となっています。

もっとどうなっているか知りたいという方は、サンプルをダウンロードして確認してみてくださいね。

■文書管理マニュアル


文書の整理を開始したときに、規程やガイドラインだけでは現場で手を動かして実行するのはなかなか難しいものです。

マニュアルはその目的に応じて作成していきます。

紙文書整理削減イベントのためのペーパーレスマニュアル、紙文書の電子化を推進する電子化マニュアル、文書管理を維持継続する維持管理マニュアルなどになります。

ポイントは、手順に沿って記載されていること、図や写真を使って直観に訴えるようにすることです。

■文書分類基準表


文書を分類して取り扱いを定めた表になります。これがあれば、どの文書をどれだけ保管すればいいのかやその文書の秘密区分などが一目瞭然です。

電子文書の場合は、共有フォルダのフォルダ階層と合わせて作成するのがおすすめです。

上記でご紹介した規程、ガイドラインなどについては、プロダクトとして販売もしています。標準的なものを確認して、見直しを進めたいという方にお勧めです。

文書のライフサイクルのシーン

次に文書のライフサイクルからルールを検討することを考えてみましょう。
文書も生き物と同様に生まれてから死ぬまでのライフサイクルがあります。
文書のライフサイクル
文書を管理するということは生まれてから死ぬまでを管理するということなのです。必要なものを管理し、最後はしっかり廃棄します。

①発生


ここでは、社内で作成する場合と外部から受領した場合に分けて検討していきます。社内で文書を作成する場合は、その後に続く「処理」や「保管」などがしやすいように考慮します。 電子文書の場合は、ファイル名の付与や版管理について取り決めます。

②処理


文書の承認を行ったり、周知させたりします。 ワークフローの使用やグループウェアで管理する場合もあるかと思います。

③保管・保存


作成した文書をどこに保管・保存するかです。 ファイルサーバーやクラウドドライブなど共有フォルダであれば、どのフォルダに保管するのか。あるいは、別のシステムに保管するのか。 社員にしっかり周知して共通認識とします。 複数のシステムを使用している場合は、棲み分けルールをしっかり決めておきましょう。

この記事では、データベース化して効率アップすることについて説明しています。

④廃棄


文書の廃棄をするまでは管理です。 正しい廃棄を行うことで、情報漏洩のリスク対策にも効果を発揮します。 電子文書は簡単にコピー出来てしまうので、保管・保存の段階で原本管理をしっかり行い、廃棄の際には重複文書がないことも確認しましょう。

利用シーン

最後に利用毎の側面から考えてみましょう。

■法律的保管義務


これは、その会社での利用というよりは、法律で定められた期間保管するというものです。法律で定められた期間以上は保管しなければなりません。 それらの情報について、文書分類表や文書管理台帳などに記載しておく必要があります。

■ナレッジ


研究開発部門や各業務に関するノウハウで、社内での利活用が求められるものです。もし、それらが多くの社員にアクセスされるのであれば、データベース化することで利活用が促進されます。

この記事では、文書管理システムなどに入れて効率化できる文書について説明しています。

■データ


営業の売上データ、経理の財務データ、研究開発の実験データなど、データは様々事実の根拠となり、保管・保存を要します。データの再利用も考え、保管フォーマットや保管場所(アクセス権なども含む)などを取り決めておきましょう。

■■ まとめ ■■

電子文書のルールの考えかたについて、ルールの構成、文書のライフサイクルのシーン、利用シーンに分けて説明しました。ルールを検討するスタート地点となれば幸いです。
次回は、「ルール作りの実際」について説明します。

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