テレワーク時代の文書管理ルール

パンデミックの中、テレワークが必須のものとなりました。その実施にあたり、なかなか制度が追いつかずひずみが出ているところもあるという報告もありますが、私たちは、この新しい環境をよいものにしていかなければなりません。
そんなテレワーク時代の文書管理ルールはどのような変化が必要となるのでしょうか。

文書管理の目的が一番重要

テレワーク主体の働き方になっても、文書管理の目的は変わることはなく、事業を行う主軸として必要なものとなります。
ここでもう一度文書管理の目的を確認しておきましょう。

■文書管理の目的①:法令順守 


・法令に関係する業務文書の特定とそれに伴う保存年限までの保管
・契約書の保管、更新などの対応
・訴訟の際の証拠書類の準備(そのための保管や管理)

■文書管理の目的②:内部統制の実効性


・文書が必要な時にすぐに取り出せ、要求があった時には開示できること
・秘密文書が漏洩しないこと、重要文書が消失しないこと、改ざんなどが行われない仕組み
・事業継続計画(BCP)の視点から必要な文書の保管などが十分に行われていること

■文書管理の目的③:業務効率


・文書が必要な時にすぐに取り出せ、要求があった時には開示できること
・秘密文書が漏洩しないこと、重要文書が消失しないこと、改ざんなどが行われない仕組み
・事業継続計画(BCP)の視点から必要な文書の保管などが十分に行われていること

最後の2つは、テレワーク主体の働き方になっても変わらないというよりは、テレワーク導入によって、より一層進めるべきことになるでしょう。

ルールの構成

一口に文書管理のルールと言っても法律などと同じで段階的に数種類に分割されます。そのトップには一番重要なルール、そして続く下位のルールは、下に行けば行くほど具体的なものが示されることになります。

文書管理ルールの構成

①文書管理規程

文書管理におけるもっとも基本的なルールです。

②文書管理ガイドライン

文書や情報の運用においてより具体的に示されたルール集です。

③文書管理マニュアル

ガイドラインよりさらに具体的な運用を示したものになります。

※「文書管理ガイドライン」と「文書管理マニュアル」は、弊社では区別をして取り扱っています。ガイドラインはルール集にとどめ、マニュアルを整理削減活動などに合わせて作成することを推奨しています。ただし、コンサルティングの際にお客さまと討議して構成をどうするかを決定いたします。

④分類表

文書仕訳のルールとなります。
紙文書の場合は、キャビネットのどこに収納するかに関連し、ファイルサーバー(共有フォルダ)においては、フォルダ分けに関連します。

⑤文書ライフサイクルリスト

文書単位やフォルダ単位で文書の件名や保存年限を示すものです。ここに示された内容に従って登録されている文書を取扱います。これがあれば誰でも間違いなく文書を取扱うことができます。

ルール見直しのポイント

テレワークの際には電子文書が多くなることが特徴ですが、文書管理の目的がテレワーク下でも変わらないように一番基本のルールである文書管理規程はそれほど変更を要しないのが一般的です。そうすると、ルールの見直しで特に必要なのは具体的なルールであるガイドライン以下となります。
それでは、文書管理ガイドラインやマニュアルをどのようなところを確認する必要があるのでしょうか。

ガイドラインのイメージがわかない方へ→文書管理3点セットにガイドラインのサンプルが含まれています。
電子文書を取り扱うことが前提となりますので、電子文書の取扱いに係わるルールが実状に合っているか確認します。
具体的なポイントを以下にあげました。

(1).紙と電子 使い分けルール


どのような時に紙を使うのか、どのような時に電子にするのか。
運用は電子、保管は紙と決めている事例もあります。

  ■例:契約書
  紙の契約書は電子化して運用する。
  社内にて検索閲覧する場合は、電子化された契約書を使う。
  ただし、紙文書を原本として保管は紙のまま倉庫保管とする。

運用が紙である方が適する場合もあります。

  ■例:図面・地図
  大判の地図や図面はその効率性から紙で運用する場合を認める。

(2).電子文書の原本性


運用や保管・保存を電子へ加速度的に移行するために、電子文書の原本性を明らかにして運用を行っている会社もあります。
この場合、一番確認が必要なのは、法的にそれが認められているかどうかの確認です。社内ルールで保管・保存が決められている文書は社内合意が取れれば問題はないのですが、法律によって保存年限が決められている文書は法律を確認する必要があります。
以下の記事では、多様なワークスタイルを実現するために、紙を中心とした保存・利用の習慣から脱却し、電子中心の保存・利用に移行した事例が紹介されています。この事例では、電子保管を前提とした保存年限表の洗い直しを行いました。

電子中心の保存・利用に移行した記事はこちらとなります。

(3).決定文書・仕掛かり文書


決定文書と仕掛かり文書の違いを明確にします。決定文書とは完了文書とも呼ばれています。社内の決裁や承認を経て正式となった文書です。
仕掛かり文書とは、その反対に作成途中のもので個人で管理されるものです。大抵は決定文書が作成された時点で必要とはされなくなるものです。

(4).電子の秘密文書の取扱い


紙文書の場合は、カギのかかるキャビネットに保管することになりますが、電子文書の場合は、それがアクセス権が制御された保存領域になります。
情報システム部門と連携をとりながら、要件を提示するとよいでしょう。利用者側は区分をつけて保管する、特定の場所に保管するなどシンプルな操作で対応できるようにしておくと浸透しやすいです。

IT技術の利活用

コンテンツ情報である電子文書閲覧やライフサイクルリストの完備が充実してくれば、IT技術の力を十分に引き出すことができるようになります。
電子文書はそのままネットワークを通して、どこからでも閲覧に供することができます。
また、文書のライフサイクルリストが整備されていれば、データベースシステムへデータを簡単に登録でき、検索に利用することができるようになります。
内容の整えられたデータの活発な利活用が可能となります。

■■ まとめ ■■

テレワークでは、電子文書・電子化文書の運用が活発に行われます。
うまく循環できるように、紙と電子の使い分けルール、電子文書の原本性、
決定文書・仕掛かり文書の取扱い、秘密文書の取扱いなど
具体的な運用ルールを整えてみてください。

そうすれば、IT技術の効果も十分に発揮させられることでしょう。

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