ペーパーレスのメリット

ペーパーレス化に最初の一歩をなかなか踏み出せない方々に、文書管理の視点を中心としたペーパーレスのメリットをご紹介します。躊躇しているうちに他社と大きな差が生じることの無いよう、ぜひご覧ください。

ペーパーレスを遅らせている日本特有の理由

日本は諸外国に比べ、ペーパーレス化への歩みが遅れています。
日本においてペーパーレスが遅れている理由の一つとして、
「紙文化とハンコ文化の浸透」が挙げられます。

従来から日本では、
契約書の締結、役所への申請書類、誓約書、各種届出など、様々な書類が印鑑の捺印された紙でやり取りされてきました。
近年では電子契約や電子申請などが普及しつつありますが、
まだまだ一部に限られており、
紙に対する信頼や安心感が根付いています。

もう一つは「〇〇第一号」を回避する様子見主義です。
ペーパーレスのメリットはおおよそ理解しているのに、
競合他社や同規模企業の様子を見て、
何かの第一号になることは避ける傾向があります。
日本企業はよく、他社事例の情報を欲しがります。
本来は他社の事例を知るよりも、自社が第一号となって事例となったほうがチャンスは生まれるはずなのですが、心理的な傾向はそのようにはなっていません。

またもう少しミクロな視点で各企業単位における障壁として、
雑然とした共有サーバといった問題があります。
紙文化からの脱却には電子文書の活用が命綱です。
ところが共有サーバが雑然としているために、
活用したい文書が見つからない、見つからないから再度調べたり再作成したりといった非効率が生じます。
古いファイルが長い間置きっぱなしになっていたために、
バージョンなどの問題でファイルが開けなくなったという問題もよく聞かれます。

もう一つミクロな視点における障壁は、ストックされている紙文書の電子化という問題です。
もともと内外とのやりとりを紙文書で行っていたため、
膨大な紙文書がオフィスや倉庫に保管されており、
これらを電子化するには膨大な負荷やコストがかかります。
したがってストックされた紙文書を電子化するには、
使用頻度などの観点で対象を絞り込む必要があります。

さて、こうした障壁を考慮しても、
ペーパーレス化に一歩踏み込めば、企業にとって様々なメリットがあります。
以下ではペーパーレス化のメリットを整理してみたいと思います。

メリット① 生産性の向上

言うまでもなく、ペーパーレスの効用として生産性の向上が挙げられます。
日常業務で利用する媒体が紙から電子に変わることで、
情報共有が加速化します。

日常業務の中で、
「〇〇さん、あの書類持ってなかったっけ?」、「〇〇くん、××プロジェクト進めてたの君だろ?ちょっとその時の計画書を見せてくれよ」などといったシーンを経験された方も多いと思います。このようなことは自分の時間とともに相手の時間も奪うことになるため、
組織としての投下労働量が増大し、生産性は低下します。
一方ペーパーレス化が進めば、組織の文書は共有サーバにあることが前提になりますので、
必要な情報への迅速なアクセスが可能になります。

マクロな視点で見ますと、
日本の労働生産性はOECD加盟国37ヵ国中26位です。
労働生産性の値は、GDP/投下労働量(就業者数×就業時間)で求められますので、
GDPが3位である日本が、労働生産性26位ということは、
いかに分母である投下労働量が多い国であるかということがわかります。
先述したペーパーレス後進国であることに起因しているのかもしれません。

メリット② コスト削減

ペーパーレス化を通じて紙から電子に移行することで、
様々なコスト削減が期待できます。
例えば紙文書の保管コストの削減です。

オフィスで紙文書を保管している場合、直接的なキャッシュアウトは生じませんが、
家賃の中に占めるスペースに応じて埋没原価(意思決定と関係なく生じる費用)が生じています。
外部に倉庫保管を委託している場合、文書箱1箱あたり120円前後の直接的なコストが発生します。
ペーパーレス化を進めることにより紙の出る量が圧倒的に減少しますので、
それに伴い保管費用も指数関数的に減少していきます。

その他にも直接的にキャッシュフローに影響するコストとして、
郵便費用や複合機のコピーチャージ料、電子契約システムを導入していれば印紙代などが削減されます。

また間接的な費用としては、文書の検索に関わる人件費の削減が挙げられます。

IDC社の調査結果によると、「文書を探す時間」「文書を探すが見つからない時間」「文書が見つからず再作成する時間」を合わせると、1週間一人あたり9時間もの時間が浪費されているとのことです。これを時間給に換算して全社員の人数を掛け合わせれば、1企業としては膨大な浪費コストになります。
ペーパーレス化により検索は電子文書がメインの対象となるため検索性は飛躍的に向上し、こうした無駄なコストが大幅に削減できることになります。
もちろんこれは、共有サーバが整然としていることが前提となりますので、
この前提を充たしていない方はこちらの記事をどうぞ。

メリット③ リスクの低減

ペーパーレス化のメリットとして情報漏洩・紛失の観点でのリスク低減が挙げられます。
え?と思う方も多いかもしれません。
電子文書のほうが漏洩などのリスクが高い印象があると思いますが、そうでもありません。
たいていの企業においてネットワークや記録媒体などへのセキュリティへの意識は高く、専門の人材などを配置してセキュアな環境を構築しています。
一方で紙文書においては施錠などの物理的な対策と、意識づけをするための教育くらいしか対策が無いため、ヒューマンエラーが生じやすくなります。
上の図はNPOネットワークセキュリティ協会の、
媒体・経路別の情報漏洩件数に関する調査結果です。
「紙」と「電子」という分類で見ると電子のインシデント件数のほうが多いのですが、
個別に見ると最もインシデント件数が多いのは紙媒体ということがわかります。
ネットワークなどのセキュリティレベルは企業によって異なりますが、
少なくとも紙での利用が多ければ多いほどリスクが高まり
反対に紙の利用が減少すればリスクも低減するということになります。

まとめ

今回はペーパーレス化のメリットについてご紹介しましたが、
最終的な目的はこれらのメリットを通じた企業競争力の強化、企業価値の増大などにあります。

ペーパーレス化を進めたいのに上司や周囲の理解を得られない時は、
これらのメリットを数値化してシミュレーションしてみるとよいかもしれませんが、
ペーパーレスに踏み切った多くの企業はトップダウン先行です。
様子を見ているうちに置き去りにされないよう、最初の一歩を踏み出しましょう。

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