文書管理コンサルティングにおいてお客様へのヒアリングを行っていますが、ある領域の文書管理があまり進んでいないことに気づきました。そして、この領域はナレッジといわれるものに関係していました。
※ナレッジとは 企業などの組織にとって有益な知識・経験・事例・ノウハウなど付加価値のある情報。
これまで、文書管理に関して問題意識を持ったお客様と接し、ヒアリングをさせていただきましたが、文書管理の導入や取り組みについてある傾向があることに気づきました。
文書管理の状況と業種・業務との関係 弊社がお客様より文書に関するご相談を受け、その課題と業種・業務の関連性をまとめたものです。
■1の領域 業種:製造・インフラ、かつ、業務:中長期的・経営的 の領域です。業務プロセスが確立されていない場合が多く、顧客の動向を先端で感知する営業資料や、研究開発分野のヒントになる資料など、非定型文書が発生します。この領域の課題は、ナレッジが蓄積されていると考えられているにも関わらず、手をつけにくい領域でもあるため、文書管理の導入が見送られやすくなかなか活用に至らないという課題を抱えています。
■2の領域 業種:アミューズメント、小売り、かつ、業務:中長期的・経営的 の領域です。人間の気持ちを相手にしている業種の場合、そのイメージ戦略のひとつとして、またちょうど、ドラマ「マッサン」「あさが来た」などが注目などが注目されてきたことも影響しているかもしれません。企業史、ビジネスアーカイブの構築を課題とされているケースが見受けられました。
■3の領域 業種:製造・インフラ、かつ、業務:管理的・日常業務は、仕事の型がしっかりときめられていることが多いため、文書管理は既に導入されているケースが多く、ご相談はそれほど多くありませんでした。
■4の領域 業種:アミューズメント、小売り、かつ、業務:管理的の領域です。文書管理の導入は社内ではまだあまり進められていないことが多く、管理上必須となるような法務的文書(契約書など)、ISO文書などの管理を課題とされていました。
課題の数は、「1」と「4」が多い傾向にありました。
どの領域でも情報資産の整理は重要ですが、この中で、文書管理の導入はまだだけれども長期的な効果が見られると考えられる領域が、1の領域です。 例えば、日々の営業で発生する文書で考えますと、提案書やヒアリング記録などは、その企業が顧客に接したときに得られた言わば最先端の情報ですから、この情報を共有すれば、顧客ニーズの社内共有と利用が可能になります。技術開発の方向性や事業領域の決定に使える情報になるでしょう。いわば、意志決定に役立ちます。
単なる共有だとこんな問題が。 しかし、これらの文書を単純に共有領域においておけばいいのでしょうか。 単なる共有だとこんな問題が発生します。
■探せない この領域の文書は非定型文書のため、大まかなルールはあっても管理状態はばらばらです。営業マンごとのルールであることも少なくはありません。例えば、顧客ごとに探そうとした場合に命名規則がばらばらでは情報に到達出来ない、探し漏れる、間違った情報が出てくるということが発生します。
■いらないものが多い 単純に共通領域に入れて共有化したとしても、同じ提案書なのにたくさんのバーションがあったり、それぞれの文書の関連性がわかりづらかったりしたら、やはり目的のものは探せません。作成者が一応とっておこうとした重複文書は、他の人からみたらゴミの場合もあります。ゴミばかりと思われてしまえば、やがて使われなくなるでしょう。
■見られてしまう 単純に共有しているために、本来は知る権限のない情報が見られてしまうリスクも発生します。これを気にして作成者側は共有しなくなるということもあり得ます。
単なる共有では、無秩序に押し込まれたものが入った押し入れのようになってしまいます。
■情報を選別する どんな情報をどのような状態で共有するのかを利用から検討することをお勧めします。 (例): 営業A:他の営業マンが作成した提案書が見たい。その場合には決定版でよい。 技術開発:顧客との議事録、ヒアリング記録などを見たい。
■情報のグループ化とストーリー立て 文書を探しやすいようにグループ化します。また個々のグループを業務を意識したストーリーでつなげ関連づけます。 (例): グループA:顧客ごと グループB:年度毎 グループC:業務プロセス ストーリーの例:顧客ごとに案件確認したい (グループA→グループB→グループC)
■機密区分のセグメント化 社内の役割に応じて機密区分を設定しなければならない場合には、機密区分を決めて、文書側に紐つけます。グループ化のひとつの項目として考えてもいいでしょう。 (例): 機密区分A:担当者、部長以上 機密区分B:部内共有、部長以上
業務プロセスが構築されていない領域は、それゆえに文書が非定型で、かつ、イレギュラーなプロセスをたどるなど、手につけにくい領域ではありますが、この領域の情報資産を管理し活用できれば、企業の意思決定に役立てることが出来るでしょう。
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コンサルティング事業部/石川
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