共有フォルダやファイルサーバーにある電子文書の分類方法

2021-11-12
ファイルサーバーやクラウドサーバーなどの共有フォルダの整理について、多くの関心が寄せられています。今回は、その共有フォルダにある電子文書の分類方法について説明します。

共有フォルダの整理は、まず分類から

共有フォルダには、「その他フォルダが拡大してカオスとなっている」、「先輩から代々受け継がれてきたフォルダが多数ある」などは多くの企業で抱えている問題です。
この共有フォルダの整理はどこから始めるべきでしょうか。

まずは整理の骨組みを作りましょう。
新しい入れ物を用意すします。その新しい入れ物とは、分類を体現したフォルダ構造のことで、このフォルダ構造によって、「組織内の仕事の体系化」、「検索性の向上」などのメリットが得られます。

では、分類はどう考えていったらよいのかを見ていきましょう。

文書分類の考え方の基本

まずは、文書分類の基本的な考え方を押さえておきましょう。ファイルサーバーやクラウド上にある電子文書の分類も紙文書と同じ考え方となります。
考え方として「ワリツケ」と「ツミアゲ」の2つがあります。

ワリツケとツミアゲの考え方のイメージ
このサイトでも分類の基本として「ワリツケ」と「ツミアゲ」は何度か説明をしてきましたが、復習の意味でここでもう一度見ていきましょう。

業務など上位から俯瞰して考える「ワリツケ」、実際の文書を見て具体的に分類を考える「ツミアゲ」ですが、その特徴を下記の表にまとめてみました。

ワリツケとツミアゲの特徴比較
この表に示すように、「ワリツケ」は組織の機能から考えたトップダウン的な分類です。統制しやすく、理論的ある反面、分類が硬直的になりやすく可変性がないため現場では使いづらいとされることもあります。一方で「ツミアゲ」は現実にある文書から考えるボトムアップ的な分類です。現場の声を反映しやすいため、現場では使いやすいものとなります。全体を俯瞰した視点に欠けることがあってもわかりにくく、組織全体の統制ができない問題も発生します。

では、次に共有フォルダでの「ワリツケ」、「ツミアゲ」の分類方法を説明します。

ワリツケ分類の方法

該当する業務機能から分類を作成します。組織構成がこの時参考になりますが、兼任していたり、組織横断的な業務もあり必ずしも機能を示しているとは限りません。

部門を参考にしながら業務の洗い出しを行い、フォルダの上位階層を設定してみましょう。発生する電子ファイルは業務のアクションに紐付いていますので、どんな活動をしているのかを書き出すのが早道です。

例えば、人事部門であれば、「福利厚生」「評価」「労務」「教育」「採用計画」「採用広告」などのアクションが思い浮かびます。次に思い浮かんだアクションをプロセス順に並べ替えてみましょう。さらに次はフォルダに割り当てます。

この状態を下記の図に示しました。

活動を書き出し、並べ替え、フォルダに割り当てる
ワリツケ分類で共有フォルダを分類するというイメージはついたでしょうか。

ツミアゲ分類の方法

ツミアゲ分類は、文書をグループ化し、そのグループをさらにグループ化して構成していくやり方です。
ワリツケで検討した業務のアクションに紐付けて文書を書き出して行くのではなく、実際に発生している文書をグループ化してワリツケに当てはめて考えてみます。そうすると、ワリツケに洗い出されていないアクションが見えてきます。

このワリツケでは出てこなったアクションを新たに分類に加える場合もあれば、業務の見直しをしてその文書作成を廃止したり他の業務と統合することを検討する場合があります。

例えば、先ほどの人事部門で考えると、既に存在する電子ファイルから以下のようなグルーピングができたとします。

  ・求人広告のグループ
   広告文案、広告会社比較、広告会社見積書、広告完成品など

  ・求人要求事項のグループ
   職務内容の検討、資格検討など

  ・選考中の記録のグループ
   履歴書・職経歴書、面接内容のメモと評価表、応募者とのやり取りの記録など

この中で「求人広告のグループ」は「採用広告」フォルダに割り当てられ、「求人要求事項のグループ」は「採用計画」フォルダに割り当てられます。
しかし、「選考中の記録」のように割り当てるところがないものは、上位階層を見直したりする必要があるということになります。

ワリツケでは入るところがなかったグループ
ワリツケだけで分類を決める、ツミアゲだけで分類決めるという組織もこともありますが、弊社ではワリツケとツミアゲをミックスした方法で分類を作成していくことをお勧めしています。

具体的には、組織の機能から考えたワリツケ分類を上位第3から4階層ぐらいまでとして、それ以下は、現場の担当者に任せます。そこではツミアゲ的な考え方で担当者が分類していくというやり方です。

共有フォルダでの並び順を検討する

こうして作成された分類は、分類は共有フォルダに反映させます。
まとまりのフォルダは、どのような順番であれば使いやすいでしょうか。これは、大きく業務効率に影響します。

ポイントは、「探しやすさ」や「捨てやすさ」になります。
探しやすさは、業務の効率に大きく影響します。その文書を探す際にどういう経路で探すことが多いかを聞き取り、その並び順します。

■探しやすさを視点にした並べ方の例


以下に探しやすさを視点にた並べ方の例をあげてみました。

・名前順

 顧客名、組織部門名、製品名などまとめ、50音順やアルファベット順で並べます。

・業務プロセス順
 その業務を係ごとにまとめ、プロセス順に並べます。
 人事部などであれば、採用、服務、研修、配属などとなります。

・案件順
 案件フォルダ毎にまとめ、案件番号や案件の名称などの順番で並べます。

・地域順
 地域毎にまとめ、日本全国であれば北から(あるいは南から)順番に並べます。
 常識的によく知られた並べ方にするのがポイントです。

・年度別
 年度毎にフォルダを作成し、関連するまとまりフォルダをその中に格納します。

並び方は「探しやすさ」に影響します。同じことを扱っていても使う人によって異なる並べ方の方が適していることもあります。

例えば、ある営業部では顧客名順になっているほうが多くの営業担当者は探しやすいと考えています。なぜなら営業担当は顧客毎に割り当てられているからです。しかし、その営業部の中の支援部隊は、提案→見積→仕様書作成→契約→受注のように業務プロセスで分けられている方が使いやすかったりします。
つまり使いやすい分類は必ずしも1種類ではないということです。

しかし、物理的な順番は1つしか選択できません。ただし、検索エンジンなどを利用することに多観点のアプローチも実現可能です。

文書にはライフサイクルがあります。それは電子文書も同様です。まとまりの中に廃棄する者とそうでないものが混ざっていたり、保存期限が明確でなかったりしたら廃棄選別は効率的に実行できません。また、誤廃棄も発生しやすくなります。

■捨てやすさを視点にした並べ方の例


廃棄のための選別のしやすさの例をあげてみました。

・年度や期で分ける

 フォルダを年度や期などでまとめることにより、
 何年経過したものかがフォルダ単位でわかり、
 保存年限管理がしやすくなります。

・アーカイブフォルダや迷い箱
 しばらくとっておきたいもの、捨てるかどうか迷うものなどは、
 アーカイブフォルダを作成してその中へ移動させます。
 共有フォルダの見直しを行った際に廃棄の判断をします。

捨てやすさを説明しましたが、捨てるという行為を定期的に行うことも重要です。弊社では、維持管理として年に一度程度決められた時期に見直しを行います。この時、廃棄を実行します。
共有フォルダがサイロ状態になっているとよく耳にします。使用している共有フォルダが活動的で生きたものになるように、分類を検討することをお勧めします。

弊社では、共有フォルダの現状調査、ルール策定支援、整理削減実行支援サービスを行っています。興味のある方は是非お問い合わせください。

■■ まとめ ■■

共有フォルダの分類は、組織の機能から考えたトップダウンのワリツケ分類を上位は採用し、現場の意見を反映したツミアゲ分類で文書のグループ化を行い、利用によって並び順を検討します。

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