ISOマネジメントと文書管理

ISOマネジメントシステムは、計画的に組織を発展させる仕組みですが、
ここには文書や情報の共有や識別、保管/保存が要求事項としてあげられています。
今回はISOマネジメントシステムに示された文書管理に関連のあるところを見て行きましょう。

ISOマネジメントシステムとは?

ISOマネジメントシステムとは、組織の活動を管理するための仕組み(マネジメントシステム)について制定されたISO規格です。P(Plan)D(Do)C(Check)A(Act)サイクルを回す仕組みを導入することによって、組織を発展させます。
このISOマネジメントシステムで多くの組織に導入されているのは、「品質」と「環境」に関する規格でしょう。日本では、「品質」の認証組織数が約33000件、「環境」は約17000件となっています。

そして、ISOマネジメントシステムでは文書や記録が重要なものとして位置づけられています。
以下、日本で一番認証組織が多いとされるISO9001の「品質」について、文書管理と関連のある部分を見て行きたいと思います。

「組織の知識」

項番:7.1.6には、「組織の知識」が要求事項としてあげられています。この「組織の知識」とは、何を指しているのでしょうか。
「組織の知識」とは、その組織の固有な知識で、知的財産はもちろん経験知、成功体験や失敗体験、暗黙知などいわゆるノウハウなどがあたります。
これらを重要な資源として位置づけ、
・必要な知識の明確化
・その管理(保管や更新)
・情報共有

などが要求事項となっています。

実は、この項目は最近になって追加された項目で、前の版である2008年版にはありませんでした。現在の「ISO9001:品質」は2015年版で「組織の知識」はこの時に追加され、前の2008年版にはありませんでした。今後、組織が事業を継続するにあたり、社会問題になっている少子高齢化によって技能継承が難しくなっていくことから品質に影響が出る懸念もあげられ追加されたようです。

「組織の知識」と「組織の知カラ」って似ていませんか?
そうです。まさにこのサイトの名前でもある「組織の知カラ」は、文書管理によって情報共有を進め属人化を防止し、知識を蓄積してパワー(力)とする意味で命名しました。

ISO規格書を見ますと、文書化に特にはこだわっておらず、知識として蓄えてアクセスできることが求められています。
紙でも電子ファイルであっても文書という形式にはこだわらないということです。
当社でも、最近は電子文書や電子ファイルの管理について相談を受けることが多いため、「文書情報管理」という言葉を使ったりしています。現在では、テキストファイル、写真、音声、動画など全て、コンピュータ上のファイルで保管され、パソコンで見たり聴いたりして確認することができます。ですので、今後「情報管理」とした方が適切なのかもしれません。
技術の伝承方法も動画などを使用して解説した方がわかりやすいため、最近は動画でマニュアルを作成する方法をとっている企業も多いようです。

文書と記録

次に項番の7.5に「文書化した情報」があります。ここには、文書や記録の作成・更新、そして、管理方法などが記載されています。
ここで「文書」と「記録」の違いについて確認しておきましょう。

■文書とは?


変更することができます。むしろ、最新の情報があれば更新していかなければならないものです。
例えば、おいしいカレーの作り方は、新しいコツを取得したり、1つスパイスを追加したほうがいいことがわかったら、更新せずに放っておいたら、昔の作り方のまま情報共有されてしまいます。更新しておけばもっとおいしいカレーが食べられます。

■記録とは?


変更することはできません。結果や活動の証拠になるもので、その時点で書かれたものを保管します。
例えば、運動会の順位の記録は、後から変えることはできません。それをしたら、改ざんになってしまいます。後から、誰が何着であったかを知るためのものとなります。

文書の作成と保管・保存

「7.5 文書化した情報」には、その下位項番があります。
「7.5.2 作成及び更新」では、適切な記述方法や形式やレビューなどが要求されています。これを文書のライフサイクルに当てはめますと「作成」や「処理」の部分になります。
「7.5.3 文書化した情報の管理」には、文書のライフサイクルでは、主に「保管」や「保存」に関係します。
当社では、文書管理規程の下位に文書管理ガイドラインを作成することを推奨していますが、これらは、まさにそのガイドラインで取り決めておくべき内容となります。

文書のライフサイクル
このような形で、ISOマネジメントと文書管理は重なるところがあります。
文書管理を行うことによって、ISOマネジメントの要求事項を満たせるものもあるし、
ISOマネジメントの活動そのものが、文書管理の活動になっているものもあります。

このことから、ISO9001の場合は品質の担保や発展には、
文書情報管理は欠かせないということが言えるのではないでしょうか。

■■ まとめ ■■

ISOマネジメントから文書情報管理の目的を考えてみました。
ここでのポイントは2つ
 ・情報共有で属人化を防止し、持続可能な組織をつくる。
 ・文書と記録は、その利用に供するために、適切な形式や記述をもって保管・保存する。
もしも、この2つに不安があれば、文書情報管理を見直してみませんか。

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