ペーパーレス時代の共有フォルダ管理:効率的な階層分けの秘訣

2025-1-10
多くの企業で使用されているファイルサーバーやクラウドドライブの共有フォルダ。ペーパーレス化が進行する中、ますますその役割が大きくなってきており、原本を電子で保存するということも増えてきています。

共有フォルダは、今や原本も下書きも取り扱う場所になってきています。
しかしながら、長年の利用に伴いカオス状態になっている企業も少なくはありません。今回は、運用に最適な共有フォルダの階層分けについて説明します。

共有フォルダに関するよくある問題

まずは、共有フォルダについて、このサイトに寄せられる問題を見ていきましょう。この中に共感できる、思い当たるものがあるでしょうか?

 

・あるはずのファイルが見つからないので、新しく作成した

・階層が深すぎてたどり着けない

・フォルダ構成のルールが人によってまちまちでその人に聞かないと探せない

・自分の管理しているフォルダだけはわかるが、他のところがどうなっているのか全体像もつかめない

・退職した人のフォルダがそのまま残されている

 

 

フォルダ分けを体系化するという解決策

多くの企業では、10年以上前では紙文書を原本としていました。したがって電子ファイルは原本を作成するプロセスでできるものとして取り扱われ、各自が保管していればよいものでした。

 

その時代から特に抜本的な整理が行われない場合は、大量のファイルがさらに容量の大きいファイルサーバーやNASに移行され、最近ではクラウドドライブに移行されてきたのではないでしょうか。積極的にそして組織的にフォルダの再編に取り組むことが無ければ、ファイルの削減はされずフォルダ構造もそのままになってきているかと思います。

 

共有フォルダのフォルダ分けは運用面管理面での考え方を表すものです。そしてそれは業務効率に影響することになります。

それでは以下よりフォルダの分け方について説明していきます。

 

情報セキュリティを考慮してフォルダ分けを行う

情報セキュリティを考慮すると不要なアクセス権を付与しないことがポイントになります。

社外の関係者との共有、部門外との共有については、慎重に必要最低限行います。そのため、フォルダの上位のレベルでこのフォルダ分けをすることをお勧めします。そうしないと、フォルダの下位のレベルでそれらのアクセス権を付与することになり管理がが複雑になってしまいます。

 

例を以下に示します。

 

└ 組織外との共有(このフォルダの下位にそれぞれの組織外との共有フォルダを作成する)

└ 社内共有

  └ 部門ごと

  └ 部門横断 

イメージしやすくするために、以下に具体例そ示しました。

└ 組織外との共有

  └ 研究棟修繕プロジェクト(建設業者との共有フォルダ)

  └ ホームページ運用プロジェクト(HP制作会社との共有フォルダ)

  └ 法令相談(顧問弁護士との共有フォルダ)

└ 社内共有 (社内だけ限定的にアクセス権を付与します)

  └ 00_共通 (社内全体、フォルダによっては関係メンバーのみアクセス権を付与します)

    └ 保養所パンフレット

    └ 社内グリーンプロジェクト

    └ 社史編纂委員会

  └ 01_総務部(部内アクセスのみ、以下同じ)

  └ 02_経営企画部

  └ 03_営業部

  └ 04_マーケティング部

  └ 05_技術開発部

  └ 06_製造部

このようにフォルダ階層の上位で大まかなアクセス権を設定するようにしておきます。

 

年度ごとにフォルダ分けを行う

あなたの組織のフォルダ分けは「業務」と「年度」ではどちらが上位に来ているでしょうか。

これまでフォルダ構成の見直しを行ったことがない組織では圧倒的に「業務」が上位に来ることが多いです。

ただし、長い目で見ると「年度」を「業務」よりも上位に持ってきた方がメリットがあります。

 

■「年度」を上位にするメリット

年度を上位にもってくることによって、文書のライフサイクル管理がしやすくなります。文書は、作成・利用後に決められた年数の保管をしますが、最終的には廃棄されたり、アーカイブに移管されたりします。そのようなライフサイクル管理を行う場合は年度でまとまっていた方が効率的となります。

また、文書は都度都度不要なものを整理しておく必要がありますが、その選別基準にいつの文書かということがあります。

 ナレムコの統計をご存知でしょうか。これは、文書の閲覧頻度に着目した一つの基準ですが、米国のNational Record Management Council(NAREMCO)によると、作成した文書の90%は半年後に、99%は1年後に見られなくなるとのことです。この基準で選別するにも年度を上位に持ってくるのは合理的だと言えます。

 

業務に合わせた分類方法(フォルダ分け)

それでは次に業務に合わせた分類(フォルダ分け)について考えてみましょう。

業務の特性によって、適したフォルダ分けがありますので、以下に数種類あげておきます。

■顧客名別(50音、アルファベット順)

お客さま毎にフォルダを作成する方法です。その際に並び順をアルファベット順や50音順になるして、検索しやすくします。

例:

  あ_曙工業

  す_昴産業

  :

営業部やカスタマサポート業務などなどお客様ごとに管理する部門に適しています。

 

■地域別(北から南など)

都道府県などの地域でフォルダを作成します。

例:

  01_北海道

  02_青森

  03_秋田

  04_岩手

  :

地域ごとのサービスや顧客数が多く、かつ顧客ごとのファイルが少ない場合などは地域でまとめると便利です。

 

■プロセス別

業務プロセスごとにフォルダを作成します。

例:(営業プロセス)

  01_提案

  02_見積

  03_発注

  04_受注

  05_納品

業務プロセスごとに文書が発生する場合に使用します。上記は営業の場合ですが、製品の製造などもプロセスごとのフォルダ分けにマッチするのではないでしょうか。

また、業務の流れを意識した順番となるように頭に数字をつけてフォルダ名を命名します。

 

■プロジェクト別

プロジェクトごとに分ける場合は、そのプロジェクトが大きい場合は、年度や組織をまたぐこともあります。

例:

  駅前開発プロジェクト

  ○○万博誘致プロジェクト

  図書館建設プロジェクト

プロジェクトの場合は、その規模や期間、必要なアクセス権の付与に合わせて、どの場所に作成するか検討してください。

 

最適なフォルダ構成とは?

これまで説明してきたように、最適なフォルダ構成とは優先順位の高いものから、以下のようになります。

 

1.組織外と組織内を分ける

2.年度で分ける

3.業務で分ける

 

※業務の分類はその部門に任せて適切な方法を選択する。

※プロジェクト別にする場合は、その規模によって上位になったり、外部共有分を分割して作成することもあり得る。

共有フォルダの整理を成功させるには?

最後に共有フォルダの整理を成功させるポイントを示します。

 

・最初に調査分析をする。(フォルダ構造、ファイル数、容量、アンケート、インタビューなど)

 現状を知り、その調査データを計画に活かします。

 

・ルールや方針を組織全体で決め、全体の理解を得る。

 組織内で方針がバラバラにならないように、大まかなルールを決め、かつ、合意をとっておきます。

 

↓共有フォルダの調査やルール策定に関する記事はこちら

・業務に関するフォルダ分けは、部門に任せる。

 使いやすいフォルダ分けにするために、下位レベルはある程度部門にお任せします。

 

・定期的に監査を入れ、状況を継続する。

 状態を継続するために見直しを行うきっかけを作りましょう。

 

また、情報システムを導入してさらに効率的に使いやすくすることもできます。しかし、まずは全体を客観的に俯瞰して計画をされることをお勧めいたします。

■■ まとめ ■■

今回は共有フォルダのフォルダ分けについて説明しました。
共有フォルダについて見直しをお考えの方の参考になれば幸いです。

また、共有フォルダの整理についてまとめたホワイトペーパーは以下よりダウンロード可能です。
ご相談のある方はこちら ↓

文書管理コンサルティング/石川

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