ファイルサーバーやクラウドドライブなどの共有フォルダの整理は、多くの企業に取って関心が高い課題です。このサイトでも今まであらゆる視点からこの課題について取りあげてきました。
前々回の記事「共有フォルダの整理とは?なぜ必要なのか」は、整理の実務について取りあげました。その記事でも示しているように整理の手順とは以下のとおりとなります。
1.業務分析を行い文書分類を検討する
2.共有フォルダの構成を検討する
3.ネーミングルールを取り決める
4.何を共有フォルダに入れるのかを決める
5.ファイルの削減をする
6.ファイルの移動をする
それでは、これらの問題と解決策を1つずつ見ていきましょう。
共有フォルダは大分類として組織毎に振り分けています。その場合、その組織内で完結する場合は問題ありませんが、会社全体のプロジェクトの関連フォルダをどこに配置したら良いのでしょうか。
大分類のフォルダを組織で分けるのは多くの企業で採用しています。しかし、組織を横断するような会社全体のプロジェクトのフォルダの位置について、3つのパターンに分けて説明します。
・プロジェクト内の社員の閲覧はもちろん、プロジェクト外の社員が閲覧する必要がある、または、閲覧の必要性は無いがプロジェクト外の社員が閲覧しても問題ない場合
(例:社内環境改善プロジェクト、社内DX史推進プロジェクトなどの全員参加型)
部門別のフォルダと同じレベルで会社全体のフォルダを作成し、このフォルダ内にプロジェクトのフォルダを作成します。
< フォルダ構成 >
000.会社全体 ← 全員が閲覧できるフォルダを作成する。
001.総務部
002.営業部
003.製造部
・ファイルの閲覧をプロジェクト内の社員に留めたい場合
(例:顧客案件に関わるプロジェクトなど)
限られた社員のみに限定する場合は、そのフォルダ自体のアクセス件を絞り込む必要があります。大分類に組織で分けたのと同じレベルでプロジェクトフォルダなどを作成し、その中にフォルダを作成してアクセス権を絞り込んでいくことをお勧めします。
部署ごとのフォルダの中に部門横断的な使い方をするフォルダを作成すると、アクセス権の矛盾が発生し、管理しにくくなります。
< フォルダ構成 >
000.会社全体
001.総務部
002.営業部
┗ Aプロジェクト × 子フォルダに別の組織のアクセス許可をすることになる
003.製造部
999.プロジェクト
┗ Aプロジェクト
┗ Bプロジェクト
・決定された文書を周知のために他部署へ配布する場合
オーナー部署の保管場所に別部署の閲覧権限を持たせるのではなく、コピーを会社全体が閲覧可能なフォルダに格納するか、閲覧が必要な部署へ送付してその部署のフォルダに格納してもらいます。
ただし、文書のオーナーは決められた保存期限まで文書を保存しますが、コピーについては、廃棄漏れなどが発生しないようにそれよりも短い間で保管します。
社員が 退職したり異動したりした場合に、その人のフォルダがそのままファイルサーバーなどに残っています。おそらくは使用されていないと思われますが、誰も削除する判断ができないため、いつまでもサーバーの中に残ってしまい容量を圧迫しています。
まず、現在問題になっている引継ぎの時に作成された個人のフォルダは、別の領域にアーカイブフォルダなどを作成して、そこに移動させます。各部署に数か月後に削除することを伝え、必要なファイルを自分たちの組織のフォルダに移動してもらうように促します。
次に、このような問題が発生しないように運用ルールを徹底します。
1.共有文書と個人文書の区別をつけ、共有文書は共有場所に、個人文書は個人の場所に保管します。
2.個人文書は個人のメモや共有文書の複製などとなり、退職や移動の際には、原則個人文書を削除します。
3.個人文書でどうしても残しておく必要があると考えるものだけを残して、共有フォルダの決められた場所に移動させます。
4.引継ぎ先となった担当者は必要なものをピックアップし、残りを廃棄します。(判断がつきかねる場合にはアーカイブ領域に移動させ、数か月後に削除します。)
紙文書の場合には、機密文書は鍵のかかるキャビネットに入れて保管していました。電子文書の場合は機密文書をどのように取り扱ったら良いのでしょうか。
鍵のかかるキャビネットに入れていた紙文書と同様、電子文書も許可された人しか入れない環境を作ってそこにファイルを格納します。
これはフォルダのアクセス権の設定となりますので、システムのご担当者に依頼することになりますが、文書管理をする側としては、秘密区分毎の閲覧権限ルールを明らかにしておく必要があります。
また、担当者変更や文書の引継ぎが行われた際は、それに対応して新しい担当者にアクセス件を付与しなければなりません。 これを行っておかないと、誰も確認できないファイルが発生したり、他部署へ異動した人がいつまでもアクセス可能な状況になってしまいます。
電子文書主流での運用は、文書を作成した後、印刷する必要がないので、コストも時間も節約できることを実感しています。ただし、電子文書運用の切り替え前の紙文書が大量にあり、これらの文書についても共有フォルダで閲覧したいという希望が多々あります。
オフィスにある紙文書を全て共有フォルダに入れることは可能でしょうか。
紙文書を電子化して作成したPDFを共有フォルダに入れることは可能です。
ただし、想像以上に費用がかかり、かつ共有フォルダの容量を圧迫します。つまり、コストを要することになります。このため、閲覧頻度を鑑みて電子化する紙文書を絞りこむことをお勧めしています。
また、紙文書を外部倉庫に預ける際には、文書リストを作成して何が外部倉庫に保管されているのかわかるようにしておきます。
いつも手元になければならないもの、数日後の閲覧でいいもの、ほぼ閲覧することのないもののの視点で文書を選別し、いつも手元になければならないものだけを電子化することをお勧めします。
文書管理コンサルティング/石川
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