ペーパーレス化の課題とその解決方法

2024-5-10
オフィスワーカーにとっては、ペーパーレスという言葉は非常になじみのある言葉で、その取り組みは数年前から行っていることだと思います。つい先日ニュースでオフィスのペーパーレスの影響で紙の消費が少なくなっているという報道があり、定着を実感した次第です。
しかし、その一方ペーパーレスの課題も見えてきたのではないでしょうか。
今回はペーパーレスについて文書のライフサイクルごとに課題とその解決方法を考えてみます。

ペーパーレス化のメリット

まず初めにオフィスにおいて、ペーパーレス化がなぜ進められているか考えて見ましょう。
ペーパーレス化には以下のようなメリットがあります。

・文書の検索性が向上する
電子文書の場合は、その内容に記載されている事も含めてキーワードでの検索が可能なため、必要な情報を特定することができます。

・保管スペースを縮小できる
紙文書を格納していたキャビネットが不要になるため、オフィススペースを別の用途に利用できます。また、オフィスそのものを縮小して賃貸料を削減することができます。

・リモートワークを推進できる
紙文書の閲覧ではその置き場所まで行って確認する必要がありますが、電子文書の場合はオフィスの外からもアクセスできます。
リモートワークがしやすくなれば、様々な働き方でき、社員の定着率アップに繋がります。

・セキュリティの向上が期待できる
フォルダ毎や電子文書毎にアクセス権を細かく設定したり、アクセス履歴を記録することもできることから、紙文書よりも安全に運用することができます。
以上、主なものをあげてみました。

その他には印刷コストを押さえることができたり、紙の削減による森林破壊や地球温暖化の防止に貢献できるというメリットもあります。

文書のライフサイクルとは

次に文書のライフサイクルについて、ここでもう一度押さえておきましょう。
このサイトでもおなじみではありますが文書には生まれてから死ぬまでのライフサイクルがあります。


「誕生」(発生)
新しく文書を作成したり、外部から送付された文書を受け入れたりします。

「働き盛り」(処理)
文書で伝えたり、承認を取ったり、いわゆる業務を行います。

「リタイア」(保管・倉庫保存・アーカイブ)
文書の活用期間が終わったものを保管します。
活用頻度によって、保管する場所を考慮します。
ほぼ利用しないものは、紙文書であれば倉庫へ保管し電子文書であれば保存用のストレージなどに移行します。

最期(破棄)
役目を終えた文書は廃棄します。

それではこれらのフェーズ毎にペーパーレスの課題とその解決策を見ていきましょう。

■「誕生」(発生)

電子文書にはひとつずつファイル名が必要です。組織内で決められたネーミングルールのファイル名を付与します。決められたネーミングルールでファイル名が付与されていれば、ファイルを開かなくても内容の推測をある程度つけることができます。

この後、「ファイルが探せない」という問題にも関連します。

 

「ファイル名やフォルダ名のネーミングルールを設定する」

 

また、仕掛中の文書と正式文書の区別が明確でないと、共有の場所に個人の下書きが置かれていたり、または、個人フォルダに組織の文書が置かれたりしてしまいます。これらは、情報漏洩などの問題に発展したり、業務効率化の妨げになるので要注意です。

 

「正式文書は組織内共有エリア、個人文書は個人使用エリアに区分する」

 

■「働き盛り」(処理)

作成した文書で業務を行う場面です。

このフェーズでは電子文書の特性により、様々なメリットが享受できます。文書をメールで送付して、複数人に同時に知らせたり、ワークフローを使用して承認を取ったりすることができます。紙文書で対応するよりも高速に効率的な処理が可能です。

しかし、一方で大判の資料などは紙の方が閲覧性に勝っていることもあります。大判の資料などは、全体像を掴みたいのにディスプレイでは一部ずつしか見られません。地図や図面、列や行が多い表などがあげられます。

このため、ペーパーレスとは言え、紙の利用を容認する場合もあります。ただし、ルールがないといつの間にか紙が増えてしまうことになるため、ルール化をした上で運用するようにします。

 

「紙の特性も意識してルール化をした上で柔軟な運用を心がける。」

 

■「リタイア」(保管・倉庫保存・アーカイブ)

電子文書はコピーすることで複製が簡単にできます。また、メールなどで関係者に送付することでその複製が多数残っていきます。更に、ペーパーレス活動の中で紙文書の電子化も大量に行われPDFなどの電子化文書なども大量に増加しています。

このようにファイルの数量が増加するなかで、文書が見つからないという問題が発生しています。

文書を簡単に探せるようにするためには、「発生」のところで述べたファイル名のルールの他に、格納場所のフォルダ構成、また、文書管理システムで管理する場合は適切なキーワードの付与を要します。

必要な時に必要なものを取り出せる環境を構築しましょう。

 

「保管場所のルールを定める」

 

■最期(廃棄)

 保存年限を過ぎた文書がそのまま保管されていることはないでしょうか。

電子文書は目に見えないので、意識的に廃棄をしなければファイルはどんどん増加していきます。目には見えなくてもストレージ容量は消費し、それはコストに影響します。

しかし、文書廃棄には基準が必要となるため、文書分類基準表を作成して、保管期限を明らかにし、年に一度それに基づいて整理をします。

ただし、法的手続きのため社内で管理している保管期限を越えて保管するべき文書が発生することもありますので、誤廃棄などが発生しないように周知していくことも重要です。

 

「文書分類基準表を作成し、保管期限を明らかにする」

 

文書情報管理ルールを整備する

以上、ペーパーレス化の課題を文書のライフサイクルごとに確認していきました。
今まで、見てきたとおり文書情報管理のルールの整備がポイントとなります。具体的にはガイドラインの作成や分類基準表の作成となります。
弊社の文書管理コンサルティングでは、文書管理規程とともにガイドラインや分類基準表の作成支援を行っています。
文書管理規程の見直しについては、以下のサービス説明ページも併せてご覧ください。

今回取り上げた解決策は、実践的具体的なルールとなり、弊社ではガイドラインを文書のライフサイクルに沿って作成することをお勧めしています。

■■ まとめ ■■

ペーパーレスというと、とにかく目の前から紙を無くすることということで、PDF化したり、をおこなってきた現状があり、いつの間にか電子文書がファイルサーバーやクラウドドライブを圧迫してきているのではないでしょうか。

まずはライフサイクルの各フェーズを意識して運用を検討し、ルールを見直すことが解決の早道となります。

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文書コンサルティング/石川

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