文書情報を流通・活用するメタデータ

2023-11-10
文書情報を流通し活用するためにはメタデータを付与して管理することが必要です。今回は、文書情報のメタデータについてその流通や利活用の側面から考え、実践的な取り組みについて説明します。

文書情報のメタデータとは何か

私たちが日々作成している文書にはさまざまなものがあります。
契約書、申請書、送付状、起案書、提案書、見積書、企画書。。。
オフィスで働く人は常に文書を作成しています。そして、それらの文書を回付したり処理することで仕事が進められていきます。

その文書の形式は、Word等で作成されたドキュメント形式であったり、スプレッドシート形式、またはPDF形式などさまざまなものとなります。
これらの内容は、ファイル名や拡張子である程度分かるものの、詳細は文書ファイルを開いて、その内容を確認することが必要になります。

文書情報のメタデータとは、これら文書の属性を決められた項目ごとに表したデータとなります。「管理項目」や「属性」、「属性データ」と言われる場合もあり、その方がなじみがあるという人も多いでしょう。

Wordなどの文書は非構造化データですが、それを表すための、文書の件名や作成者、責任部署、作成日、保管場所、保存期限などのメタデータを付与して構造化データとします。このような項目があれば、ファイルを開いて内容を確認するく回数は少なくなり、情報システム上で流通させることができます。

文書情報のメタデータ項目はどのようにしたらいいのか

では、次に文書情報のメタデータ項目はどんな項目にしたらいいのかを考えてみましょう。その組織や使用するシステムや業務に合わせて考えますが、まずは公的な機関で公開している項目を参考に考えるとよいと思います。ここでは3種類の文書情報を管理するためのメタデータ項目例について説明します。

■ダブリンコア(ISO15836)Dublin Core

WWW上におけるリソースに関する情報を記述して有用な情報の探索・発見に役立てる目的で作られた。 特に、Webページの作者など専門家でなくとも簡単に記述できることを目指して、簡易なメタデータを作成するとの意図から作られたため、必ず記述しなければならない必須項目や、各項目の記述順序は無く、同一項目を複数回使用することも自由である。

国際標準では、 2003年に ISO 15836及び NISO Z39.85となり、日本工業規格ではJIS X 0836:2005『ダブリンコアメタデータ基本記述要素集合』として規格化されています。

(Wikipediaより抜粋:https://ja.wikipedia.org/wiki/Dublin_Core#:~:text=Dublin%20Core%EF%BC%88%E3%83%80%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%82%A2%E3%80%81,%E3%81%8C%E5%85%AC%E9%96%8B%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82

その基本語彙は以下のとおりで、ドキュメントやスプレッドシートなど文書情報だけではなく多様なコンテンツに当てはまるものとなっています。

 

タイトル・表題 (Title)

作成者 (Creator)

キーワード・主題 (Subject)

内容記述 (Description)

公開者・公表者・出版者 (Publisher)

寄与者・貢献者 (Contributor)

日付 (Date)

資源タイプ (Type)

記録形式 (Format)

資源識別子 (Identifier)

出処 (Source)

言語 (Language)

関係 (Relation)

時空間範囲・空間的範囲・時間的範囲 (Coverage)

権利管理 (Rights)

 

■文書情報流通のための基本要素定義ガイドライン
(公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会)

このガイドラインの目的は文書を完全にデータとして流通させることで、それによってDX推進を図るというものです。ソフトウェアで処理する際の基本的な項目がここに「文書情報流通基本要素定義」としてまとめられています。そのため、情報システムを意識した形で書かれています。また、これらは基本的な項目であり導入する情報システムやその目的、対象となる業務によって検討が必要であると述べられています。

これらの要素はダブリンコアを参考にして作成されているそうです。

※文書情報流通のための基本要素定義ガイドライン_第1.00版公開(https://www.jiima.or.jp/info/bunshoryutsu_20231027/

■行政文書の管理に関するガイドライン
(令和4年2月7日内閣総理大臣決定)

このガイドラインには「行政文書ファイル管理簿」の様式が掲載されています。

行政文書ということになっていますが、企業にもこの項目は文書管理の視点から、ほぼ利用できます。項目名もダブリンコアのように全てのコンテンツに当てはまる言葉で記載いるわけではなく、文書管理でなじみのある言葉になっています。

 

※様式例に記載されている項目

作成・取得年度等

分類(大分類、中分類)

名称(小分類)

作成・取得

起算日

保存期間

保存期間満了日

媒体の種別

保存場所

管理者

保存期間満了時の措置

備考

 

※行政文書の管理に関するガイドライン(令和4年2月7日内閣総理大臣決定)https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/hourei/kanri-gl.pdf

文書情報のメタデータが必要なわけ

オフィスで日常的に作成されたり、受領されたりする文書は、それがドキュメントやスプレッドシートなどの電子ファイルであれ、紙文書をスキャニングして電子化して作成した電子化文書であれ、非構造化データであることは変わりなく流通や活用がしづらいものとなっています。

それら非構造化データに対して、リレーショナルデータベース管理されているようなデータは構造化データと呼ばれますが、文書情報にメタデータを付与することで、非構造化データを構造化データとして管理することできます。それは、文書情報の流通に人を介在させることなくオートメーション化する、必要な文書情報を効果的に探し出すなどあらゆるメリットが期待できます。

紙から電子へ、流通を見越した文書情報の作成

文書情報流通で身近なものは、今まで文書で回付して処理を行なっていたものを情報システムに移し替えていくという方法があげられます。

特に申請書や稟議書などフォームを使って回付しているようなものは、ワークフローシステムに置き換えていきやすいと考えます。
ワークフローシステムの中にはExcelで作成したものをそのままシステム上の実装できるものもありますし、帳票形式になっているのであれば、帳票の項目がメタデータとして流用できるのでデータベース化がしやすい文書と言えます。

■Excelで作ったフォームをそのままワークフローにできるワークフローシステム

・コラボフロー カンタンで誰でも使いやすい高機能ワークフロー  https://www.collabo-style.co.jp/

 

ストック分のデータを利活用するには?

それでは、既にストックされている文書情報を利活用するにはどうしたらよいのでしょうか。先ほどから、流通や利活用のためにはメタデータが必須と述べました。しかし、既存の文書情報にメタデータを付与するというのは、なにかしら人の手が介在することになります。

このため、コストを考えて文書を選別して選別した文書に限定して対応する必要があります。

■文書分類基準表を準備する

文書情報を選別するために、どんな文書が存在しているか、その全体像が示されていなければなりません。文書分類基準表は文書を分類ごとに一覧でまとめたものとなり、文書の選別に役立ちます。
もし、文書分類基準表が無ければ、作成することをお勧めします。

文書の分類については以下の記事に詳しく書かれています。

■流通や利活用するためにメタデータを作成する文書情報を選別するポイント

流通や利活用するためにメタデータを作成する文書情報を選別するポイントはどんなものとなるでしょうか。
利活用される文書であるのか?流通させる価値があるのかを、以下の観点で検討してみてください。

・その文書情報を閲覧する回数は多いか?
・その文書情報を閲覧する人は多いか、多くの拠点からも閲覧されるか?
・その文書情報は必要な時にすぐに取り出されないと支障があるのか?


具体的にどんな文書が対象になるかという例を、当社が係った文書管理プロジェクトからあげてみました。

・契約関連書類(契約書や覚書など)
・ナレッジ的要素を含むもの(研究成果をまとめた報告書など)
・社内規程やマニュアル(旧版も含めた)


既にストックされている文書は、紙文書がデジタル化されてPDFなどになっているだけでも、利活用には効果的ではありますが、利用目的によっては、メタデータを付与してデータベース化し、さらに一歩進めてもよいのではないでしょうか。

■■ まとめ ■■

今回は、文書情報の流通や利活用のためのメタデータの付与について考えてみました。
所有している文書の全体像を掴むためには、まずは文書分類基準表が必要になります。(これもメタデータの1つになります。)ストック分の文書情報については、業務効率などの観点から効果の高いものを選択するとよいでしょう。
また、流通や利活用の基盤となる情報システムや対象業務によって、メタデータ項目の検討が必要になります。

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文書コンサルティング/石川

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