文書の電子化における失敗事例と成功のポイント

DXやペーパーレス化が叫ばれる中、社内にある紙文書を電子化しようという企業は多いと思います。今回は紙文書の電子化における失敗事例と成功事例をご紹介します。

その電子化って本当に幸せ? 電子化の失敗事例

「紙での保管をなくし、全部電子化するぞ!」
DXやペーパーレスの御旗の下、トップダウンで紙文書は全て電子化せよとの大号令がかかった企業は少なくありません。

しかし全ての紙文書を電子化することが、本当に正しい道なのでしょうか?
数多くの企業などからご相談を受ける中で、
全てを電子化しようとした組織の多くは失敗に終わっています。

オフィスや倉庫に氾濫している紙文書をスキャニングして、 全てPDFなどにすれば万事解決!と思うのは大間違いです。
電子化しようとして失敗したお客様のお話を聞いていると原因は様々ですが、
失敗要因の多くは、次の章からご紹介する4つになります。

失敗事例1:量が膨大になり、コスト面で挫折

社内の文書を電子化しようと考えたとき、どのくらいの量があるかということは検討もつきません。
そのため多くの企業は各部署に電子化したい文書がどのくらいあるかについて、
ヒアリングやアンケートを取って情報を収集します。

このような時ほとんどの部署が、保管している文書の全てを電子化したいと回答するため、
全部を合わせると膨大な文書量となります。
たいていの企業は、保管している紙文書の中に明らかに不要な文書や、
ほとんど使うことのない文書が山のように残っています。
しかし現場の各部署は細かな調査はせず、保有している文書は全て電子化したいと申告するため、量が膨れ上がってしまうのです。

このようにして膨れ上がった数量を前提に、電子化の業者に見積を取ればとんでもない金額になります。

思っていたよりも1桁あるいは2桁費用が高かったという声をよく聞いてきました。
当然費用の工面が現実的に難しく、計画は立ち消えとなっていくのです。

失敗事例2:作業が進まずに挫折

「電子化はしたいけど外注に出す金は無い!だから社員を使ってなんとかするぞ!」
このようなケースは最悪な事態を招きます。

社員の人柱でなんとかしようとしたとき、
辿り着く結果の多くは挫折です。
過去にこのような経験をされたお客様を数多く見てきました。
日常業務が忙しい中、片手間でやろうとするためほとんど進みません。
業務の効率化を目指して電子化を進めるはずが、
反対に業務が非効率化して本末転倒になってしまうのです。

失敗事例3:PDF化はしたけど結局使えない

とにかく闇雲にスキャニングをしてPDFを作成した結果、
ファイル名を見ただけではどんな文書なのか判断が付かない、
そんなPDFが溢れてしまうケースも多くあります。

また作成したPDFをとりあえずDVDなどのメディアに収録し、
結局そのDVDは使われることなく何年もキャビネットの中で眠り続けるといった事例も少なくありません。
お客様のキャビネットを調査した際、そのようなDVDやHDDなどのメディアを見かけることがよくあります。

いくら紙文書をPDF化しても、それがどんな文書で誰が使うのかを明確にし、
計画的に電子化しなければムダになってしまうのです。

失敗事例4:ノウハウも機材もなくて電子化作業ができない

電子化をする際には事前の計画が重要です。

具体的には、
・どのくらいの延べ工数と期間が必要か
・どのような機材が何台くらい必要か
・作業場所のレイアウトはどうするか
・仕様(解像度や白黒orカラー、フォルダ名やファイル名など)をどうするか
・作成したファイルをどこに保管してどのように使うか
・電子化したファイルのチェック体制をどうするか

といった計画です。

しかしこのようなノウハウを持った社員はなかなかいるものではありませんし、
できたとしても相当な時間と労力を費やすことになります。

また企業で保有している文書には、様々なサイズ・形状・綴じ方をしたものがあります。
A4サイズからA3サイズの一般的な書類であれば、
ホッチキスなどを外せば複合機などでスキャニングをすることができます。
しかし、袋綴じされた契約書や大型の図面などになると対応できる機材がなく、電子化できません。
そこで諦めることになり、電子化への道は閉ざされてしまうのです。

電子化を成功させるには?

ここまでで、闇雲に電子化すると失敗することがおわかりいただけたとおもいます。
それでは電子化を成功させるにはどうしたらよいのでしょうか。

当社がこれまで文書管理のご支援をさせていただく中で、
成功したお客様の事例を踏まえて、いくつかのポイントをご紹介します。

【1】電子化対象を絞り込む

先述のとおり、電子化にはとても多くの費用がかかります。
そのため電子化する対象文書を絞り込み、コストを最小限におさえる必要があります。
電子化する対象文書を絞り込む基準&文書例して、次のようなものが考えられます。
このような基準で、電子化する対象を「文書種類別」のレベルで絞り込みます。
下のような「分類基準表」により一覧化するとよいでしょう。
この例では、紙保管の列に「〇」が付いている文書は継続して紙で保管、それ以外は電子で保管することになります。
上で述べた基準を参考に判断し、電子化対象を絞り込むことでコストを最小限におさえることができます。

【2】数量を算出する

内製か外注かを問わず、電子化を計画する際にはおおよその数量を算出する必要があります。
数量を算出しないと、工数(=費用)やスケジュールを設計できないからです。

先述の手順で電子化対象文書を選定したら、
おおよその枚数を算出します。
枚数は手で数えるというのは大きな手間がかかるので、
ファイルメーターで等で概算数字を出すとよいでしょう。
また数量は、主に次に示す文書のパターンごとに出します。

①A3サイズまでの解体可能な書類で、自動原稿送り装置のスキャナーにかけられる書類
 
②A3サイズまでの(契約書など)解体不可能な書類で、自動原稿送り装置のスキャナーにかけられない書類

③A2サイズを超える図面等

こうしたパターンごとに数量を出してしまえば、外注する場合であれば費用を見積もってもらえます。

内製の場合は、最低でもこの3パターンごとにスキャナーが必要になります。
スキャナーのスペックに応じて必要な工数が決まるので、
1時間あたりのスキャニング可能枚数をカタログで確認し、
必要工数を算出します。
ただスキャナーは高額のため、すべてを自社で揃えるのは現実的ではありません。
内製と外注をうまく使い分けて進めましょう。

【3】マニュアルを作る

電子化作業を標準化するため、マニュアルを作成します。
マニュアルの主な記載内容は、作業手順と仕様です。

作業手順は下記の工程ごとに記載します。
・スキャニング前準備工程
ホッチキスやクリップ外しや、折り目・しわ伸ばし、数量確認などの手順を示します。

・スキャニング
使用するスキャナーごとの操作手順や、解像度などの仕様について示します。

・編集工程
ディレクトリや複数枚の画像を1ファイルにまとめるマルチ化作業、OCR処理などについてまとめます。

・検査工程
画像の再現性や傾き、スキャニング漏れ、テキストデータに誤りがないかなどを検査します。

電子化作業の詳細は、こちらの記事をご参照ください。

【4】期間を設ける

電子化作業はダラダラと長期化すると、挫折しやすくなります。
仕事の片手間で、手が空いた時にやろうと考えているといつまでも進みません。
きちんと期限を設けて、その期限内に誰がやるのか、権限や責任を明確にして進めましょう。

まとめ

電子化はメリットがたくさんある一方、
大きなコストもかかるため、対象を絞り込んで計画的に進めなくてはなりません。

また内製で進めようとすると、機材や人員、ノウハウの観点からも電子化できる範囲は限定的になります。

「まだ電子化をしたことがない」
「電子化対象文書を絞り込めない」

といった企業様は、当社のペーパーレス化支援をご活用ください。

当社では文書管理のコンサルティングから電子化作業まで、ワンストップで支援するペーパーレス化支援を提供しています。
ペーパーレス化を目指す企業様向けに、
文書管理ルールの策定と電子化対象文書の選定、電子化などを支援し、デジタル中心の業務習慣への移行を実現します。

ペーパーレス化マニュアルのサンプルもダウンロードできるので、こちらもお試しください。

新着記事

アルパカアイコン
CONTACT

文書管理でお悩みの方は、お気軽にご相談ください

ご不明な点はお気軽に
お問い合わせください
文書管理のお役立ち資料は
こちらから
お電話でのお問い合わせはこちら
平日10:00~17:00

組織の知カラとは?

文書管理の専門家が長年培ってきたノウハウを企業担当者に向けて配信するサイトです。


文書管理サービスページから6つの資料がダウンロードできます。

このページでは以下の説明と資料のご案内をしています。

文書管理ルール
ファイルサーバー共有フォルダ
ペーパーレス化支援
法定保存文書
文書管理研修サービス
維持管理支援



「文書管理の教科書」を 見てみましょう

問題はあるのだけど何から始めていいかわからない、文書管理の手順を確認したい、そんな方はこの資料を見てみましょう。


記事カテゴリ一覧

会社情報