業務効率上どうやら文書管理がボトルネックになっている、上司から何とかするようにと言われているけれど、何から始めたらいいのかわからない、予算がないとできないのに上司が上司の上司に説明する資料を作らないと。こんな悩みのために、文書管理プロジェクトの事前調査について説明します。
文書管理を導入するにあたり、どのような管理状態になっているかなどの現状を調査します。そこで、現状と理想的な状態とのギャップを確認します。このことによって、目標や目的が明確になります。 また、現場でヒアリングすると多くの人の声を直に聞くことができ、みんなが同じように感じている問題にも行き当たることがあり、根本的な原因を見極めること材料を得ることができます。数字で表せる項目もあるので客観的に判断できるようになります。
・目標を決める根拠のデータになる。 ・理想とのギャップが明確になる。 ・優先順位が決められる。 ・客観性が保たれる。 ・プロジェクト実行の根拠になる。
文書管理の状態を調べる事前調査はいくつか手法があります。 これから各調査方法について比較的やりやすい順番で説明を行います。
①エリア観察
執務室(机の上、足下なども含む)、執務室内書庫、ロッカー、文書庫などについて状況を観察します。この場合、観察基準の統一、観察漏れの防止、効率化のために予め準備した点検項目に沿って行うとよいでしょう。 下記に点検項目を示します。これらの項目で点検表を作成し、現場に向かうと効率的に観察作業が進められます。
点検項目の例
また、記録のために写真撮影は非常に効果的です。文書管理導入後と見比べてその効果を確認したり、見落とした部分の確認も後で行うことができます。
②実測
文書量などをメジャーなどで実測し記録します。通常書類の量はfm(ファイルメーター)という書類を立てたときの長さで測ります。また、収納の計画に必要となるため、棚や保存容器なども長さや数量を記録します。 実測に使用する道具も予め準備しておきましょう。(レイアウト図面、巻き尺、ポストイットなど)
ファイルメータの測り方
また、検索スピードなども計測しておきましょう。 ※検索スピードは、紙文書の場合はファイルのところまで行き文書を自分の机に持って来るまで、電子文書の場合は、閲覧する直前までと測ります。
③アンケート
今まで見てきた①エリア観察②実測は、現場での作業のため調査の時間を要します。そのため、時には調査対象の絞り込みが必要となります。 その点では、アンケート調査は全体に広く情報を収集することができ、それを分析すれば全体の傾向を知ることができるよい方法です。しかし、一方では、想定外の意見や発見がでにくいこともあります。
アンケート項目の例
また、記名式にするのか無記名にするのかも考慮が必要です。
④ヒアリング
直接、現場に赴き直接意見を収集する方法です。現場に出向いて話を聞くことによって、状況の確認も同時に行うことができます。また、アンケートとは異なり、深い情報を得ることができます。 問題点としては、同じ社内の人間が聞いてもあまり本音を話してくれないことがあることです。文書管理の悩みは文書主管課の人間にはなかなか言いづらいものです。この点が問題になるようであれば、中立的な意味合いでコンサルタントに依頼するのも一案です。
⑤行動観察
文書を取り扱う業務を行っている人の行動を観察して記録しデータを蓄積します。どの仕事にどれだけ時間がかかっているのかなどを記録します。各業務に要して時間などからボトルネックになっている業務を見つけ出すことができます。また、手間取っているところややりにくそうな部分を発見することができます。 行動観察は上記のように効果的ですが、観察する人やされる人に負荷がかかります。
調査結果は、表やグラフを利用してわかりやすく報告書としてまとめるとよいでしょう。
・上層部への説明資料に 文書管理について上層部に説明が必要な場合には、とても有効な資料となります。問題点の指摘、課題、やるべきこと、そして実行目標を示し、そのバックデータも示せるわけですから上層部への説得力もアップします。
・文書管理実行計画の策定に 調査結果とあるべき姿とのギャップを明確にし、実行目標を定めます。目標が決まれば、作業手順、スケジュール、体制などを考慮して実行計画を策定することができます。
「調査・実行計画」と「実行」を分けて考えることもあり 弊社におきましても「調査・実行計画」と「実行」を別にして発注されるお客様もいらっしゃいます。目標を明確にしてから、実行段階の見積をとるなどステップ毎の進めることができるからでしょう。
調査によって、潜在的な問題点を明確なり計画的な実行が可能になります。
※自社で行うかコンサルタントに依頼するかについて書かれた記事はこちらです。
コンサルティング事業部/石川
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