電子契約の導入時に準備すること

電子契約を導入することが決まったとき、ルールや環境が整っているかどうか、導入担当者は不安になると思います。今回は電子契約導入に際し、必要な準備についてご紹介します。

紙の契約書の管理状態を確認する

基本契約や個別契約、覚書など、多岐にわたる契約書が存在する中、各部署や拠点に対して、次のようなことを確認する必要があります。

✓チェックポイント1:契約書類の保管状態

紙の契約書類がどこに保管されているのかを確認します。
拠点ごと・部署ごとで保管していたり、あるいは個人の机の引き出しに入ったままの状態で滞留しているといったケースもあります。
またファイリングもされずに、キャビネットなどに野積み状態なんてことも少なくありません。
紙でストックされた契約書が置き去りにならないよう、どこで・どのように保管されているかをチェックして、
電子契約に移行した際に、電子契約書との親子関係などの関連付けきちんとできるようにしましょう。
そのために、紙の契約書をPDF化することが望ましいでしょう。
ストック分すべてをPDF化すると膨大な費用になってしまうので、
直近何年かに絞り込んで実施することを推奨します。

✓チェックポイント2:契約書保管の権限と責任

電子契約を導入した場合、次の3種類の契約書が存在することになります。
・これまでストックされた紙の契約書
・電子契約書(PDFなど)
・電子契約導入後も(何かの事情で)紙で締結した契約書

これらの契約書の親子関係などを紐づけるなどして、きちんと管理しなくてはなりません。
それを各部署任せにすると管理状態にバラつきが生じるため、
総務部などで集中管理をする体制構築が望まれます。
集中管理されておらずに各部署任せになっている場合は、
契約書頬間の権限や責任の所在を明確にしましょう。

✓チェックポイント3:契約書の管理台帳

契約書の原本がファイリングはされているが台帳が無い、 または台帳はあっても管理項目が部署によって異なり、 統合が困難といったケースがあります。
台帳が無ければ、電子契約を導入するか否かに関わらず作成する必要がありますし、
管理項目は原則統一されたものでなくてなりません。
台帳の有無と管理項目について確認をしましょう。

社内の関連規程を見直す

電子契約で運用するにあたり、関連する規程を見直す必要があります。
見直しの必要があると思われる規程類は次のようなものがあります。

・文書管理規程
・公印/社用印章取扱規程
・決裁規程
・職務権限規程
・情報セキュリティ関連規程
・秘密情報取扱規程

これまでの規程は紙での運用が前提となっているため、
承認や締結を「電磁的」に行うことや、
電子契約書ファイルを原本とすることなどを記載する必要があります。
(電子帳簿保存法上、電子契約は「電子取引」とされています。
2022年1月以降発生する電子契約は、印刷して保存することは認められておりません。)

また契約書は、会社が維持・継続するうえで必要不可欠な書類である中、
電子契約のサービスはクラウドであるため、常に外部からの攻撃対象となり得ます。
秘密情報の取扱いや情報セキュリティに関する規程もきちんと見直すとともに、
対策が万全なサービスを選択するようにしましょう。

契約書のひな型を見直す

これまで紙での締結を前提とした契約書のひな型も、電子契約に合わせた文言にする必要があります。

<従来の文言例>

甲と乙は合意の成立を証とするため、本書2通を作成し甲乙記名押印のうえ、甲乙各1通を保有する。

<電子契約導入後の文言例>

(例1)本契約締結の証として、本書を電磁的な方法で作成する。

(例2)本契約締結の証として、本書の電磁的記録を作成し、甲および乙が署名捺印またはこれに 代わる電磁的処理を施し、各自その電磁的記録を保管するものとする。

(例3)甲と乙は、本契約の成立を証として、本書2通を作成し、両者記名押印のうえ、各自1通を保有するものとする。ただし電磁的な措置により本契約を行う場合は、本電子契約書ファイルを作成し、それぞれ電子署名を行う。なお、本契約においては、電子データである本電子契約書ファイルを原本とし、同ファイルを印刷した文書はその写しとする。

電子契約導入後も契約相手方の事情により、紙で締結する場合もあるので、ひな型の使い分けに注意しましょう。

運用ルールを決める

電子契約に移ることで、これまでの押印や保管などの運用ルールを見直さなくてはなりません。
ここでは、①送る側 ②受ける側 ③送る側と受ける側共通の3つの視点で、見直すべきルーン用ルールのポイントを見ていきます。

①送る側

電子契約を送信できるアカウント管理をする担当者を決めましょう。決裁者の追加や削除などの権限ですので、役職の高い方が望まれます。
また電子契約を送信してもよい社員を決めます。
この場合のアカウントは、個人単位や部署単位なども考えられます。
送り手の場合は特に、自動保存などができる契約書管理システムと連携するとよいでしょう。(後述参照)

②受ける側

電子契約の署名を行える権限者とそのメールアドレスを決めます。
企業の場合、契約名義人は代表取締役でも押印(承認)業務は総務部長といったケースも多くあります。必要に応じて代表取締役と総務部長をメーリングリストでまとめるなどの工夫も検討しましょう。
これらを決めたうえで承認フローを確定していきます。

③送る側と受ける側共通

電子契約を導入したからと言っても、すべての契約を電子契約で締結するとは限りません。
電子契約をする契約書種別を決めましょう。
また承認者に回覧するときの方法も検討が必要です。
ワークフローシステムが無い場合、押印申請書と契約書(写し)を紙で回すのか、メール送信や共有フォルダにアップして回すのか、などのルールも決める必要があります。
このような面倒を省くためにもワークフローシステムはあったほうが望ましいでしょう。

社内の利用者に理解してもらう

電子契約の導入が決まったら、その利用方法や利用ルールについて、周知を行います。
手段はメールや社内ポータルなども考えられますが、きちんと読んでくれるかについては期待できません。わかりやすい資料を作って、オンラインでもよいので説明会を実施するようにしましょう。
ポイントは次のようなものがあります。

・メリットを理解してもらう
・基本的な操作と運用を理解してもらう
基本的なマニュアルとともに、ポイントだけを記載したハンドブックを作成する。

これらに留意して、利用者に周知しましょう。

長期署名の10年後問題

電子契約に付与する電子署名には10年間の真正性が担保されています。
10年以上有効な長期署名をおこなうためには、通常の電子署名やタイムスタンプに加えて、
有効期間内に再度タイムスタンプを付与する必要があります。
この手続きがないと、契約の真正性が担保されなくなってしまいます。(契約自体は有効)

対策としては次のようなものがあります。

・自社分のPDF だけでもタイムスタンプを再付与する
・自動更新の上限を10年として、10年後に再締結することを前提にする
・10年以上の契約が見込まれる契約は紙の契約書で締結する

タイムスタンプ再付与や10年の期限管理などは、
人手で行うのはとても大変です。
期限管理のできるシステムを活用することも検討しましょう

電子契約導入に必要なことをサポートします

電子契約の導入にはメリットがたくさんありますが、
ここまで記してきたように、導入にあたって準備することもたくさんあります。
システムを入れればすべての願いが叶うわけではありません。
弊社では電子契約の導入に必要なことをトータルでサポートします。

<紙の契約書の電子化と台帳作成の代行業務>

紙でストックされている契約書の電子化(PDF化など)や管理台帳の入力を、
弊社が代行で実施します。
電子契約導入後に発生した紙の契約書も同様です。
実施前には設計書も作成するので、仕様なども明確にして進めることができます。

<ルール策定サービス>

関連規程の改訂や、日常業務上のルールとなる運用マニュアルを作成します。

<社内説明会実施支援>

契約書の運用ルール全般に関する説明会を実施し、社内に周知します。

<契約書管理システム導入・利活用支援>

弊社では、契約書管理システムとしてインフォコム社製の『MyQuick』を推奨しており、利活用できる環境を構築する支援を行っております。。
クラウド版ならユーザ数無制限で月額2万円と安価で、電子契約サービスとの連携により、紙と電子契約の一元管理が可能で、更新期限通知や親子関係の紐づけ、検索機能も充実しています。
紙と電子の契約書を一元管理するには、どうしても契約書管理システムが欲しくなります。
電子契約サービスと一緒に視野に入れてみてください。

まとめ

・現状の管理状態を知り、紙と電子契約を紐づけできるようにする
・(できれば)総務部などによる集中管理の体制を構築する
・関連規程を見直す
・契約書のひな型を見直す
・押印や保管のルールを見直す
・操作やルールの説明会を実施する
・電子契約サービスと一緒に契約書管理システムの導入も視野に入れる

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