電子文書のライフサイクル管理をしっかりする

2022-9-9
電子文書が主流になっている昨今、便利に使用しているファイルサーバーやクラウドドライブの改善を検討している企業が増えています。電子文書にもライフサイクル管理が必要です。今回は電子文書のライフサイクル管理のポイントを説明します。

ファイルサーバーやクラウドドライブのファイルが増え続ける

■カオスとなるファイルサーバー、クラウドドライブ

ファイルサーバーやクラウドドライブは、フォルダの構成も自由、フォルダ名やファイル名の付与も自由なため、統一的なルールがないと、担当者にしかわからない状態になってしまいます。

・階層が深すぎて探せない。
・個人名のフォルダには手がつけられない。(つけたくない)
・バックアップなのかどうかもわからないが、重複していそうなファイルがたくさんある。
・ファイル名やフォルダ名の日付の付け方が人によって異なるため、ソート順がおかしくなったり、検索漏れを起こす。


などなど、お心当たりはないでしょうか。
上記のようなことがあっても、自分の判断では捨てるに捨てられず、状況に問題があってもとりあえずスルーすることになり、それを積み重ねていくとカオスとなってしまいます。

■カギはライフサイクルにあり

この問題を解決するには、統一的なルールの策定、分類の検討、それに基づいた整理削減があげられます。今回は、電子文書のライフサイクルを中心に説明します。

電子文書のライフサイクル管理

■文書のライフサイクル

文書にはライフサイクルがあります。

文書は、業務を行うことによって生まれ、役目を終えたら去り行くことになります。電子文書の場合の一般的なライフサイクルの例を考えてみましょう。

文書のライフサイクル

・発生 
文書を作成する(ソフトウェアで作成した文書、情報システムから出力した文書など)、文書を受け取る(メールなどに添付された文書、納品された文書など)

・処理 
決裁処理に回す、文書をチームで検討する、契約するなど

・保管 
完成された文書をファイルサーバーやクラウドドライブに保管します。保存期限が比較的短いものや、決まっていないものは、この「保管」から直接「廃棄」されます。

・保存 
保存期限が比較的長いもので利用頻度が低いものは、別の保存媒体に格納することがあります。「保管」場所がクラウドドライブである場合は特に容量や処理スピードで課金されることがあるため、利用頻度の高いものを中心に保管し、そうでないものは、安価なクラウドサービスやHDD、磁気テープ、光メディアなどに保存することが行われています。

・廃棄 
保存期限が過ぎたもの、役目を終えたものは廃棄します。

・歴史的文書の保存 
廃棄する文書の中には、業務的には役目を終えたものであっても、その組織、あるいは社会にとって歴史的価値のある文書も存在します。そういったものは廃棄せずに別部門に管理が移管されます。一般企業では、企業アーカイブ部門や社史編纂室などに移管して管理することが多いです。

ライフサイクルを回すポイント

それでは、ファイルサーバーやクラウドドライブで管理する場合にどうしたらライフサイクルはうまく回って行くのでしょうか。

格納する場所が与えられているだけでは、自動的には回っていきません。そこには道筋もベルトコンベアーもないのです。

■分類に基づいたフォルダツリー

1つ目としてあげるのは、分類に基づいたフォルダツリーです。ファイルサーバーやクラウドドライブのフォルダ構造を、組織で合意を得た分類階層に基づいて作成します。
また、保存年限を管理するために、年度の要素を必ずどこかに入れるものとします。

具体的例として、国の公文書管理委員会の「共有フォルダにおける行政文書の電子的管理に関するマニュアル」にある例を見てみましょう。
このマニュアルでは、まず、年度で分けることが推奨されています。作成年度で分けることにより、廃棄の選別が容易になります。このような分け方は、多くの企業でも見られる分け方です。

分類ツリー 年度を主体とした例
しかしながら、複数年度に渡って業務が継続する場合は、先に年度で分けてしまうことが返って業務効率を下げてしまうこともあります。建設関係の大きなプロジェクトや数年間かかる調査などが例としてあげられます。

その場合も考慮して、前述のマニュアルでは、応用例として大分類や中分類のあとに年度を設ける例も提示しています。

分類ツリー 業務を主体とした例
この分類方法では上位は業務ですが、その下位に年度の要素を入れることによりライフサイクル管理をしやすくしています。
年度の要素をいれるという発想は、ライフサイクル管理を一巡した経験がないと共感しづらいものがあるかもしれません。文書を作成したときにはその文書を廃棄するなんて考えないものですから。

■分類基準表を作成して保存期限を明確にする

次に保存期限の管理です。
紙文書から電子文書へ管理の主体が移行している今、紙が原本という考え方から、電子文書を原本として考え、保存期限を改めて確認する企業が当然のことながら増えています。
分類基準表を作成して、文書の種類毎に保存期限や電子で保存する場合の要件を洗い出しておきます。特に法律による保存期限電子での保存要件が決められているものは重要です。

※弊社では、「法定保存文書の確認・見直し支援サービス」を提供しています。(↓のページから)
また、「共有フォルダにおける行政文書の電子的管理に関するマニュアル」では、ライフサイクル管理を睨んで小分類のフォルダ名称に保存期間や保存期間満了の措置を示す符号を設定することが推奨されています。

  例:保存期間が20年、保存期間満了時の措置が移管→【小分類:20移】
    保存期間が5年、保存期間満了時の措置が廃棄→【小分類:05廃】


このようにフォルダ構成を再構築したり、年度の要素を入れることでライフサイクルが回しやすくなります。

維持管理対策も重要

分類ツリーを用意したり、分類基準表を作成したりすること自体は、入れ物づくりとその入れ物をどう動かすかきめるルールまでとなり、それらを実際に動かすかどうかは運用する人に任されています。
つまり、ルールを決めたけれどルールに則って運用するかどうかは、人次第なわけです。
これを呼びかけや強制、あるいは善意に頼るのも少しはありですが、積極的に組織としてフォローする方が定着します。
そこで、定着させるやり方を2つ紹介します。

■年に一度のクリーンナップキャンペーン

ファイルサーバーやクラウドドライブに対して、年に一度整理削減を組織として期間を決めて行います。組織的に期間を決めて取り組むことによって、1人では判断できないことも判断がしやすくなり整理削減作業も進みます。
削減目標なども決めるとよいでしょう。
もちろん削減だけでなく、文書の移行なども行います。

■年に2回の監査

ファイルサーバーやクラウドサーバーの使用容量やフォルダ構成や名称などを監査という形で客観的に確認します。
その結果をフィードバックして、改善が必要なものは改善し、良い取り組みは組織全体で共有します。
※弊社では、「維持管理支援サービス」を提供しています。(↓のページから)

■■ まとめ ■■

電子文書のライフサイクル管理を行うポイントは以下のとおりとなります。

 ・業務に基づいた分類をフォルダ構造に反映させる。
 ・分類基準表を作成して保存年限や保存要件を洗い出す。
 ・年に一度の整理削減キャンぺーンを組織的に行う。
 ・年に2回程度客観的な監査を行い、結果をフィードバックする。

ぜひ、滞留のない活性化したファイルサーバーやクラウドドライブの環境を構築していってください。

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文書コンサルティング/石川

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