電子文書ルールの考え方と作り方(3) あるある問題編

2022-1-14
ファイルサーバーやクラウドサーバーの共有フォルダは、ルールがないと無法地帯化します。今回は、そんな無法地帯によくある問題の解決方法を見ていきましょう。

問題その1:保管場所が乱立していてどこに入れたらいいかわからない

まず、保管場所に関する問題を見ていきましょう。
社内には、全社のファイルサーバー、部門のファイルサーバー、そして、最近はクラウドドライブも契約していて、さらには個人のPCのハードディスク、USBメモリ、外付けHDD、DVD-Rなどの光メディアとさまざまな保管場所がありますが、どこに保管していいかわかりません。
せっかく、会社でクラウドドライブを契約したのに、社内のファイルサーバーばかりが使われて、外部からファイルを参照できなくて困っています。社内勤務の人はいいけれど、外出中の際やテレワークの時のことも考えて欲しいです
これらは、社内の保管ルールが浸透していないことによって発生する問題です。
文書は、指定の場所に取り込まれて、ライフサイクルが開始されます。正しく取り込まれなければ共有も保管も不可能です。

また、さまざまな場所があるという認識をもたず、いつも自分の使用している場所でよいと考える共通のルールがないことに疑問を持っていないのも問題となります。

ここでのルールづくりのポイントは、「文書の棲み分けと保管場所を紐づける」ことにあります。では、次から3つの棲み分けポイントをみていきましょう。

①共有文書と個人文書


■共有文書とは
 組織のものとして取り扱われる文書、承認などを経た文書

■個人文書とは
 作成途中の文書や下書き
 個人のメモ
 共有文書を個人で手元に置く場合のコピー

共有文書は組織の文書なので、決められた共有場所に取り込まれなければなりません。一方、個人文書は逆に共有の場所に置くべきではありません。個人のPC内に入れるということが以前は推奨されてきましたが、セキュリティの問題などもあるため、最近はクラウドドライブやファイルサーバーに個人用のフォルダを作成して運用している例が多く見受けられます。

②長期保存する文書


5年以上の長期保存を行う場合は、その保存メディアも検討する必要があります。通常CD-Rでの保管は5年程度、DVD-Rでの保管は10年程度として考えられています。これらを超えると長期保存になり、劣化や消失の可能性のある場合には定期的なマイグレーションを検討する必要があります。

③文書管理システムと共有ドライブ


文書管理システムの場合は、文書そのものを保管すると同時にその属性情報も文書に紐つけて保管をすることが可能です。これによって、複合的な検索が可能となり、物理的なファイルの順番によらず多観点でファイルの並べ替えをすることもできます。また、承認機能なども持ち合わせている場合があります。

このように共有ドライブと比較して、非常に高機能な文書管理システムですが、全ての文書を文書管理システムに取り込むことは非現実的です。
効果の現れるものに絞って、文書管理システムに取り込んでいくことをお勧めいたします。

いくつか事例を紹介しましょう。

・正式文書を取り込む。(決裁が完了した稟議書、契約書、許可証など)

・契約書だけに絞って取り込む

  契約書の参照が多い会社は、契約書に特化して
  文書管理システムに取り込むケースが多く見られます。
  また、BCP対策のため、契約書はシステムに保管し、
  原本は本社とは離れた地域の倉庫に保管しているケースもあります。

・ナレッジを意識したものを取り込む
  ある開発部門ではアクセスの多い報告書を中心に文書管理システムに取り込み、
  情報の共有化を行いました。
このような観点で保存先の棲み分けルールを決めていきます。

問題その2:電子化を推奨するものの人によってできあがったものが違う

問題その1は、上位のルールに該当しましたは、こちらは少し細かいルールとなります。
どういう文書を電子化すればいいのかわからないので、電子化していません。
電子化は複合機の設定を変えずに行っているけど、だれかが設定を変えちゃったみたいで、前と何となく違うようです。
読めればいいという考え方もありますが、曲がりが激しいものがあったり、見切れている画像もあったりしています。
この問題は、紙文書を電子化して電子文書にするときのルールが浸透していないことから発生します。

①電子化を推奨する紙文書のタイプを示す


どんなものが紙電子化として適するのか具体的に示すことによって、社員にわかりやすく伝わります。会社や業務の性質によって異なりますが、標準的な例を示します。

・共有化して活用する価値のある文書
・検索スピードが求められる文書
・電子化すれば倉庫に保管できる、または、廃棄できる文書


具体的には以下のようなものとなります。

・営業支援分野でのFAXで届いた発注書や請求書
・研究分野での手書きやワープロ時代の報告書
・契約書類(電子化が完了したものは倉庫へ)

②電子化仕様を示す


どんな画像とするかという電子化の仕様を示します。電子化する機材の設定はその仕様に合わせます。

・解像度 一般文書であれば200dpi、または、300dpiとなります。
・カラー フルカラー、グレースケール、モノクロ2値


また、画像が見切れてるとその文書の完全性が損なわれます。社員にわかりやすくするためにだめな方の見本をいくつか作成しておくことをお勧めします。

もし、電子化を円滑に進めるために、専門家の支援が必要でしたら、弊社の社内電子化内製化支援サービスをお勧めいたします。
サービスへリンク→内製化支援

③原本性を確保する場合


法的要件を確認することが前提となりますが、電子化文書の原本性を確保する方法には以下のものがあります。

・電子署名の付与
・タイムスタンプの付与


まずはその文書が法令によって電子化文書での原本性が認められるか確認し、その要件に合わせて対応をします。
当該文書と法律の条文を突き合わせて確認するのは大変です。弊社では法定保存年限表一覧を取り扱っています。
サンプルのダウンロードはこちら↓

問題その3:フォルダ構造が複雑で全体が把握できない

長年使用していて整理の機会がないまま使用しているとフォルダ構造がどんどん複雑になってきているのではないでしょうか。
新旧のフォルダ構造が入れ子になっていて階層がとても深く使いづらいです。
ファイルが探せません。検索で探すと結果が多すぎてどれが最新かもわからず絞り込むことができません。
退職した先輩のフォルダがそのまま残っていて何年も経っているものがたくさんあるけれど誰も手をつけられない。
電子文書ならば、ファイル名で検索もできますし、PDFやWORD、Excelなどであればその内容にあるキーワードからも検索ができますが、絞込むことなくそれを実行するととんでもない数の候補が出てきて結局ファイルを特定するのを断念したことはないでしょうか。

いくら検索機能がよくなってもれなく探すことはできるようになりました。しかし、共有フォルダ中の全てからキーワードで、文書を特定することは難しいのです。

ここで必要なのは、組織の機能から作成した分類とフォルダ構造を紐つけることです。

共有フォルダの分類方法は以下の記事に詳しく説明しています。

弊社の文書管理コンサルティングでは分類作成支援も行っています。

■■ まとめ ■■

電子文書のルールについて、よくある問題の解決策を3つ紹介いたしました。

問題1の保管場所棲み分けルールは、上位のルールでガイドライン的なものに入れるとよいでしょう。問題2の電子化のルールは電子化に特化したルールとなります。最後の問題3については、分類基準の作成が解決策となります。

あなたの組織がもし同じ問題を抱えていたら、該当するルールの作成に取り組んでいったらいかがでしょうか。


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文書コンサルティング/石川

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