文書管理は地味だが役に立つ(2)

文書管理を導入したいというお客様は多い反面、予算化の段階で後回しにされることが多々あります。

「地味だが役に立つ」の2回目は、「地味だが」を実行の現場から見ていきましょう。

第2回 組織の潜在的な問題に直面する文書管理

なんでもそうですが、すぐに手を付けられて、かつ、改善が目に見えることはやりやすいものです。上長から、改善案を出せと言われた時に、やりやすい改善を行ってお茶を濁すなんてこともありがちではないでしょうか。

文書管理を始めると組織の根深ーい問題に触れることなく、先に進むことができなくなることに遭遇します。

例えば、こんなことはないでしょうか。

  • 会社の歴史の中で吸収や合併を繰り返してきたため、企業文化が融合していない。
  • 現場主義で現場でルールが決まっている。どんなことでも現場はなかなか言うことを聞いてくれない。
  • 組織の中で圧倒的に個人管理の習慣が強い。仕事が属人化していたとしてもそれはほとんど問題視されない。
  • 数人であるが、我が道を行く人が存在するが、誰もそれに触れられない。

担当者は、このような問題に何とか対処しながら進めていかなければなりません。

文書管理担当者の大きな悩み

会社から指名されて、文書管理担当者になった方、総務部に所属して文書管理が業務の1つである方に相談をいただく場合、よく伺う悩みには以下のようなことがあります。

担当者は孤独感を持つ


  • 何から始めていいのかわからない。
  • 社内の協力が得られない。
  • 抵抗勢力に対処しなくてならない。
  • 社内で分かってくれる人がいない。
  • 一生懸命やっているのに、売上に貢献しないためか軽んじられる。
などなどです。

文書管理を行うためには、担当者は他部門へ合意とっていく場面が多々あり、これがかなりのストレスになります。文書管理は簡単だという固定概念が自分の上司にあれば、なおのこと困難が増します。

会社側の文書管理に対するイメージと、現実に進めていく場合のギャップが大きければ大きいほど悩みも比例して大きくなってしまうのです。

困難を乗り越えて文書管理を進めていくには?

では、悩みをお持ちの文書管理担当者は、どうしたら会社のミッションをクリアすることができるのでしょうか。

実際にクリアしていった担当者はこんなことをしていました。

文書管理の困難に打ち勝つ対策


・味方を作る。 熱意を持って、その必要性を根気よく説明し、「○○さんがやるんだったら協力するよ」と言ってもらえた。

・相手の問題を理解する。 文書管理を受け入れる側の立場に立って譲歩できることや軽減できることを考えていった。

・体制を作ってもらった。 全社的なプロジェクトとして、文書管理体制を作ってもらうように上司依頼した。(この時、上司にそれを理解していただくのに相当な労力と時間を要したそうですが。)

・部門長を直接狙った。 文書管理体制がなかったので、非公式に部門長に説明した。(役職を越えて自由に会話のできる雰囲気がもとからあったそうですが。)

・完璧を目指さない。 実行の中で例外や許容を設け、段階的な達成を目指した。

これらを集約すると、

・コミュニケーション ・体制づくり

が実行につながるのが理解できると思います。

文書管理は人間関係

文書管理を始めると、どうしてもその人の仕事の進め方に触れてしまう、人間関係にかかわってしまいます。   直接、会社の売上には貢献しませんが、実は社内の根深い問題を解決するものでもあるのです。 特効薬ではないですが、じんわりと深く長く効果をもたらします。組織の力を強くするのです。   もし、社内に相談できる人がいなければ、この「組織の知カラ」が力になります。

コンサルティング事業部/石川

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