文書管理の効果とは?

文書管理の必要性とその効果。 輪郭はなんとなく理解しているものの、 具体的にどんな効果があるのか。 ここで整理しておきましょう。

得られる効果その1 ファシリティコストの削減

文書管理の一歩目は、不要な文書の削減にあります。 紙文書であればファシリティコストの削減に直結します。

上の図の事例では、不要文書の削減により、 36.00ファイルメーター削減されました。 面積にすると、おおよそ10.80㎡(ファイルボックスの奥行きが0.3mとした場合)。 この10.80㎡という値に、所在地の地価、例えば当社のある本郷であれば117万円/㎡を掛ければ、ファシリティコストの削減効果に換算することができます。

10.80㎡×117万円/㎡=1263.6万円

もちろん、直接キャッシュフローに影響するものではありません。 でも、浪費しているスペースのムダを、数値化するには役立ちます。

電子ファイルであれば、ストレージ費用にも換算できますね。 こちらはキャッシュフローに直接影響します。

得られる効果その2 コミュニケーションスペースの創出

社内ポータルなど、情報共有のオンライン化が進んでも、 やはりオフラインによる情報共有は有効だと言われています。

不要文書の削減によってできる空きスペースは、 リフレッシュをしたりコミュニケーションを促すスペースとして利用することができ、 他部署の人たちとの情報交換なんかにも有効です。

そうすれば、互いの仕事への理解が深まります。

固定的な書架の場合は、発想を促すような書籍や写真集を配置するなど、 多様な情報発信スペースとしても利用できます。

今の時代は、 開発・製造・営業などの部門を問わず、 創造性が問われる時代。

コミュニケーションの活性化は、 創造的な生産性の向上につながります。

得られる効果その3 労働生産性の向上/人件費のムダの削減

文書管理を取り入れることで、文書の検索性が飛躍的に向上し、 これにより労働生産性や人件費のムダが大幅に改善されます。

逆にいえば文書管理を取り入れていない日常においては、 膨大な「ムダ」が浪費されているわけです。

そのあたりのムダを調査したレポートがあります。 http://www.adobe.com/content/dam/Adobe/jp/products/acrobat/axi/pdfs/bridging-the-productivity-gap_japan.pdf

上記のIDCとう調査会社の調査によれば、日本国内のインフォメーションワーカー(情報を使って仕事をする人)は、

・文書を探している時間       週4時間 ・文書を探したが見つからない時間  週2.7時間 ・文書が見つからず再作成する時間  週2.3時間 ・文書処理にかかる年間のムダ    184万円/人 ・文書処理にかかる生産性のロス   24.3%

といったムダが生じているということです。

文書管理を行うことで、これだけのロスを改善できるわけですね。

もう少しマクロな視点で考えてみます。

ご存じのとおり日本のGDPは世界3位。

なのに労働生産性は下の図のように、OECD加盟国中で21位・・・。

労働生産性の指標で考えると、日本がいかに投下労働量の多い国かがわかります。

<労働生産性=付加価値(GDPや総生産量等)/投下労働量(労働時間や労働者数)>

分子のGDPは世界3位。 なのに、労働生産性は21位。 つまり分母の投下労働量が大きすぎるのです。

日本は文書管理の後進国とよく言われますが、 文書管理への意識の低さが、労働生産性に大きく影響しているかもしれませんね。

得られる効果その4 情報共有によるナレッジベースの構築

会社で作成した文書情報は個人の所有物ではなく、会社のものです。

今はチームで仕事をする時代。

チームで情報を共有し対処することで、顧客対応の迅速化や品質の向上を図ることができます。

また、先輩社員の仕事の進め方も「見える化」され、人材育成の面からも充実が期待できます。

得られる効果その5 情報セキュリティ対策

「何があるかわからない」「どこにあるかわからない」状態であれば、当然、 情報の紛失や漏えいのリスクは高まります。

といいますか、当人たちは紛失しても気付かないんです。 どこに何があるかわからないのですから当然ですよね?

気付くのは事故が発覚した時です。

下の図は、JNSAの「情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」です。

これによれば、 ①情報漏えいの原因は、管理ミスによるものが3割以上を占める ②情報漏えいの経路のインシデント数は、紙媒体が約7割を占める

ということです。

管理ミスとは、組織としてルールが整備されていない、または、ルールはあるが順守されていない状態のことを指しています。

また多くの企業が、ネットワークやPC端末などのセキュリティ充実させている一方で、 実は、事故件数は紙媒体によるものが多いことが、ここでわかります。

みなさんもご承知の通り、 こうした事故は、企業に莫大なダメージを与えます。 場合によっては再起不能です。

「あ!やばい!」と思った時には、時すでに遅し。

文書管理の必要性は、甘く見ないほうがいいと思います。

一度、真剣に考えてみていただければ幸いです。

コンサルティング事業部/鈴木

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