仕事で作成した文書は組織の文書です。でも、過去に作成した文書が探せないことも発生してないでしょうか。探す行為にとても時間がかかってしまったり、あるいは、探すのをあきらめて新たに作成したり。ここでは、そんな「探せない」を無くす文書の整理方法を説明します。
文書の整理方法をポイントごとに説明します。ポイントは4つあります。
(1).分ける→分類 (2).個体を示す→ラベリング (3).経路を示す→ナビゲーション (4).コンピュータを使う→情報システム
文書を「分類」でテーマ別にまとめ、個体ごとに明快な「ラベリング」を行い、利用者のアクセスを考慮した「ナビゲーション」し、検索には「情報システム」を活用するといったフローになります。 では、ひとつずつみていきましょう。
文書をテーマ別にまとめます。この時、このテーマは組織の合意が成されたものになります。 では、どうやって合意形成された分類を作成できるのでしょうか。分類の決定方法には2種類あります。
■ワリツケ 文書は仕事から発生します。そこでその仕事から分類の階層を決定するします。
仕事から分類の階層を決定するとはどういうことでしょうか。具体例として、総務部と営業部の例をあげてみます。
①総務部 総務部の仕事は多岐にわたりますので、会社の規模が大きくなればそれらの仕事が部門化しますが、ここでは部門化していない状況を想定してみます。
上の図のように細かい仕事がたくさんあります。 業務ごとに分類し、さらに再分類、年度などで階層化します。
②営業部 一方、営業部のようなお客樣中心で仕事が進む部門ははどうでしょうか。この場合は、大分類はお客様名やお客様の業種などとすることが多いです。
お客様ごとに分類した次の階層は、仕事の進め方から決定すると一般的に、案件、年度、営業プロセスと続きます。
■ツミアゲ 文書自体から分類を検討する方法です。実際の文書が主体となりますので、現場で仕事をしている人にとっては納得のいく方法です。また、ツミアゲで検討すると仕事の経年よる変化や問題点も浮き彫りにされます。
しかし、一つ一つの文書の確認が必要になりますので時間がかかり、この方法で全てを完成させることは通常業務の傍ら、作業を進めるという点では負荷がかかるという問題もあります。
通常は、ワリツケとツミアゲを組み合わせて分類を決定します。
社員の合意の取れた分類ができたとしても、それがわかりやすく表示されていなければ、どこを探していいか、どこに収納していいかもわかりません。また、不揃いであったり、雑に書かれて文字が5なのか6なのかわからないとかいう状況ではせっかくの分類も効果が出ません。 そこでラベリングのポイントを説明します。
■ラベリングのポイント ①手書きにしない。 ②揃える。 ③順番を使う。(数字の並び、アルファベッ順や50音順)
①手書きにしない 活字のように手書きできる人はあまりいません。癖があって時には読めなかったりすることもあるでしょう。「明快である」ということから大きく外れてしまいます。
②揃える あり合わせのシールを利用しているような時、時には白、時には黄色を使ったり大きさがまちまちであったり、その違いに意味があるのかなど利用者を混乱させる元になります。ラベリングは同じ層は同じイメージで揃えます。
③順番を使う 数字を使ったり、50音順にしたりすれば、利用者はとても探しやすくなります。
すべて、50音順になっていますが、一番左は漢字のみ、真ん中は読みの第一文字を頭につけたもの、右はそれにさらに数字を付けたものになっています。右に行けば行くほど並び順はわかりやすく乱れにくくなります。
文書探索の経路をナビゲーションでフォローします。 分類され、ラベリングされていれば利用者は文書を探すことができます。もし、事業があって別置しているものがあれば?参考として確認してもらいたいものが他のキャビネットにあれば、担当者はその都度質問されたり教えたりすることになるでしょう。
メールで予め伝えておくことも必要ですが、覚えている人も少ないので、利用者目線を考慮して、現場にガイドを作成しておきます。
①別置されている文書がある場合
別置されている文書がある場合には、別置されていることと場所を案内します。 「日本○○」は△△に別置されています。
②参考ガイド
利用者が混乱しやすいようなことや、よく聞かれるようなことを参考情報として示します。
文書を探しに席を立たなくても、利用者が探せるように工夫します。情報システム化にはデータ化の視点で2段階の対応があります。
文書の台帳情報のみを社内公開します。文書を探すまでは情報システムを利用して、その内容は、キャビネットまで行って現物を手にとって確認します。
一般的に行われている方法としては、 ①Excel等のスプレッドシートでの共有 ②社内DBに取り込み共有
があります。①は、担当者レベルで可能な方法で手軽ではありますが、管理面やデータ量が多い場合の対応などを考慮すると②の方が望ましいでしょう。
文書そのものをPDFなど閲覧に適した形式に変換して、共有します。利用者は文書の内容を遠方からでも確認できるようになります。もし、各事業所からの閲覧や自宅作業の推進をするのであれば、ここまでの対応が必要になります。
ただし、紙文書の場合は電子化の工程が必要となり、そのコストに見合うかどうかも検討します。 情報システムも「文書管理システム」などのコンテンツデータまで管理でき、メタデータとのリンク付けができる統合的なシステムの利用がお勧めです。
最後に紙と電子の文書整理についてのポイントです。 そのポイントとは、「紙文書と電子文書は同じ分類概念を使用する」ことです。そうすれば、電子文書も紙文書も隔たりなく使用可能になりますし、紙文書を計画的に電子化して最終的にペーパーレスにすることもスムーズになります。
社員から文書が探せないということをよく聞くという場合には、4つのポイントを見直してみることをお勧めします。
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