多くの企業が課題としている業務効率化。 社長からのトップダウンによりプロジェクト化し、さまざまな施策に取り組む企業は多いと思います。 でもどこから手をつけたらよいのやら・・・。 業務効率化を非効率にやっていては本末転倒です。 業務効率化自体も効率的に行うことが大切。 最も非効率が生じている業務に狙いを定め、小さな労力で大きな成果が得られることを目指すべきです。
さて、業務効率化を目指すのはいいけれど、いったいどうなったら「やったぁ!業務効率化できたぁ!」と言えるのでしょうか。 せっかく取り組むのだから、定量的な目標設定を行い、その成果を「見える化」したいところです。 業務効率化とは簡単に言えば、インプットに対し、アウトプットの比率が大きくなること。 一番わかりやすいもので「労働生産性」という指標がありますよね。 労働生産性=付加価値/従業員数 分母の従業員数(インプット)に対し、分子の付加価値(アウトプット)の比率が高まれば、効率化したことになります。 簡単に言えば、分母が下がるか、分子が上がればよいということです。 とりあえずはザックリと、分母は従業員の人数や労働時間、工数などの投下労働量で、分子の付加価値は利益や売上、くらいに考えておきましょう。 というわけでまずは「生産性向上」、その中でも分子を短期で上げるのは大変なので、分母を下げることを目指します。
「業務効率化を図ろう!」という時に、最初の壁が「どこから手を付けよう」です。 「業務を全部洗い出すべき!」「従業員からアイデアを募ろう!」「いやいや、ITの導入でしょ!」などなど、方法はさまざま。 どれも間違いではないと思いますが、着眼すべきポイントは、 ・時間面⇒「わかりやすいくらい時間がかかっている業務」 ・人数面⇒「行っている人の数が多い業務」 ・改善活動の効率面⇒「なんとかなりそうなこと」 にメスを入れることです。
このような視点で考えた時、一つ注目すべきは、日々の文書の検索時間! 調べてみると、こんなデータがありました。 http://www.adobe.com/content/dam/Adobe/jp/products/acrobat/axi/pdfs/bridging-the-productivity-gap_japan.pdf
この調査結果によると、 ・文書を捜索している時間 1人あたり4時間/週 ・文書を探すが見つからない時間 1人あたり2.7時間/週 ・文書が見つからないために、文書を再作成する時間 1人あたり2.3時間/週 つまり文書がなかなか見つからないことによる損失が、なんと週に9時間。 週に40時間働いているとすると、これが原因で約22.5%を無駄にしていることになります。 これは「労働生産性」指標の分母の部分。 ここにメスを入れられれば、生産性を大幅に向上できると思いませんか?
企業の中では、様々な種類の文書が、様々な場所(オフィスや倉庫等)に保管されています。それに加えて紙も電子ファイルもある・・・。 そんな中どのようにして、文書の検索時間を短縮するのでしょう。 やることは大きく分けて4つ。
①不要な文書を捨てて、絶対量を減らす ②誰もが探せる分類(フォルダ体系や収納形態)を作る ③誰もが参照できる場所に共有する(アクセス権の付与された文書を除く) ④維持できるようにルール化する
これらの取り組みを短期決戦のプロジェクトで進めることです。 私のクライアントさんでは、この取り組みにより、以下のような成果が得られました。 プロジェクト実施前の平均検索時間:4分22秒 プロジェクト実施後の平均検索時間:0分39秒 ⇒改善した平均検索時間3分43秒 平均検索時間は、共有サーバを対象に、約10名の方が相互に、自分の領域と他者の領域を検索し、それに要した1回あたりの時間です。 つまり自分の文書も他者の文書も、平均して39秒で検索できるようになったということです。当初の目標は「30秒以内」でしたが、残りの9秒は、新たな分類に使い慣れれば短縮できる範囲だと考えられます。 それではプロジェクト実施前と実施後の生産性の比較を行ってみましょう。 この会社では1日あたり30回くらい文書の検索を行います。 従業員は約100名。 1週間あたりの付加価値額は2,000万円(ここでは年間粗利益/48週)で一定とします。
<プロジェクト実施前> 2,000万円/4,000時間(通常の投下労働量⇒8時間×5日×100名)=5,000円/人時
<プロジェクト実施後> 2,000万円/3,030時間(4,000時間―{3分43秒×30回×5日×100名}) =6,600円/人時
生産性は約32%改善したことになります。 この企業は、検索時間の短縮を通じて、新たな成長に向けた付加価値創出活動、つまり分子(粗利益)を高めることに人員を投下できるわけです
企業の中で大きな無駄を生み出している文書の検索時間。よほどの取り組みをしていない限り、どの企業も似たような状態だと思います。
業務効率化を図りたいのであれば、「小さなことからコツコツと」ではなく、「大きなことからガッツリと」です。その意味では、まずは「文書の検索時間の短縮」を図ることを、強くお奨めします。
コンサルティング事業部/鈴木
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