2015年9月末より、「税務関係書類のスキャナ保存」に関する規制が緩和されました。簡単に言うと、税務書類をスキャナで電子化し、保存することが簡単になったということです。ここではその条件のポイントなどを、簡単に整理してみたいと思います。
10年以上前の2005年、e文書法の施行に対応して電子帳簿保存法が改正され、書類のスキャナ保存が可能になりました。しかしそれはとても条件が厳しく、実行できたのは超大手のメガバンク等くらいのもので、ほとんど実行できた企業はありませんでした。そこでJIIMA(公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会:以下JIIMA)等が国に対して働きかけを行い、ようやく今回の規制緩和が実現したというわけです。
これまで大手企業しか対応困難だったスキャナ保存も、今回の規制緩和により、企業規模を問わず実行できる可能性が高まりました。ここでは緩和されたポイントを簡単に整理してみます。
①電子署名が不要になった ②契約書や領収書の金額が無制限になった(以前は3万円未満) ③スキャナ保存の際、グレースケールでの保存も可(以前はカラーのみ) ④申請時における、対象書類から付随して発生する関係帳簿の電子化の事前承認が不要 ⑤タイムスタンプは付与するが、24時間以内の付与が削除され、業務の実態に応じて内部規程で定めることに緩和
先に述べた通り、様々な規制が緩和されました。とはいえ税金に関わる大事な書類。守る べき条件もあります。適正事務処理要件という約束事がありますので、ここで整理してみます。
<適正事務処理要件> ①相互けん制 ミスや不正防止のため、スキャナ保存に係る事務は3人以上の体制で行うこと ②定期的な検査 書類の受領や支払金額など、各事務に係る処理内容を確認するため、定期または随時検査を行う体制・仕組みを構築すること ③再発防止策を講ずる体制構築 検査などを通じて問題が発覚した場合は速やかに報告書を作成し、社内幹部に報告し、再発防止策を講ずること
こうした要件を満たす電子化の社内体制が必要になります。 また、正事務処理要件の内容は、内部統制を担保するため、国税関係書類の受領・作成からスキャナ入力までの各業務について、適正な実施を確保する社内規程を作成し、そこに記さなければなりません。
ここまで簡単にポイントのみを記してきました。 もう少し詳しい内容は、下記のリンクを参考にしてみてください。 国への働きかけを積極的に行った団体だけあって、JIIMAの資料は参考になります。 社内でスキャナ保存を推進する際の企画書などにも使えると思います。
■国に働きかけを行った際の文書 「国税関係書類のスキャナ保存 要件緩和について」 http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg2/sogyo/131031/item2-2.pdf
■対応するための要件などがまとまった資料 「税務関係書類のスキャナ保存 大幅な規制緩和が実現」 http://www.jiima.or.jp/pdf/ebunnsho_nyumon_tuika.pdf
■スキャナ保存に関する基本的な社内ガイドラインの案 「国税関係書類等の電子化文書取扱ガイドライン(案)」 http://www.jiima.or.jp/pdf/kokuzeikankei_guideline.pdf
コンサルティング事業部/鈴木
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