ペーパーレスのすすめ (3)電子化したら紙文書は捨てられるのか?

ペーパーレスを進めるにあたって、必要な文書を電子化したら、紙は廃棄していいのでしょうか。廃棄すれば、電子文書の原本性を担保しなくてはなりません。では、それにはどうすればいいのでしょうか。
ここではペーパーレスを進めるための電子化文書、電子文書の取扱いについて確認していきましょう。

電子文書と電子化文書との違い

紙文書の対極にあるものは、電子情報ですが、電子情報は、電子文書と電子化文書の2つに分けられます。この2つは取り扱いが異なりますので、ここでしっかりと押さえておきましょう。

■電子文書とは

ソフトウェアで作成し保存された文書です。生まれたときから電子だったもので、WordやExcelや業務システムなどで作成したデータとなります。

■電子化文書とは

電子文書とは異なり、紙の文書からデータ化したものです。契約書のように押印のあるものものや、取引先など外部の組織から受領した書類を、スキャナーなどの機器を使い電子データとして保存したものです。


ペーパーレスを進める際には、紙から電子に情報を移行させていくことをまずは考えられるのではないでしょうか。
次は、紙文書の電子化を進めるポイントを見ていきましょう。


紙文書の電子化を進めるポイント

ペーパーレスを進めるとなると、頭の中にはイメージとして「紙文書を全て電子化して完全ペーパーレスにする!」と、浮かびがちですが、まず電子化にはコストがかかります。「全部電子化スルゾ!」と思ってみたものの、実際に費用を聞いたら予算を遙かに超える価格が提示され、電子化自体が流れてしまったとは、本当によくある話です。
ここで必要なポイントは、電子化するものを選別し、余計なコストをかけないようにしっかり計画することです。
どんなものを電子化したらいいのでしょうか?一般的に電子化に向く文書とは以下のようなものです。

・共有化することによって活用する価値がある。
・直ぐに見つかる、どこからでも(あらゆる拠点)見つかることが求められる。
・電子化すると倉庫に保存できる。
・電子化すると捨てられる。
・電子化して原本性を確保することができる。

要は、電子化することによって、その価値を高められるということですね。
このようなポイントを押さえながら、標準的な選別ルールを決定して電子化するものを仕分けしていきます。
ここで、1番目から4番目までは、業務を理解している人が何とか決めることができそうですが、最後の「電子化して原本性を確保することができる」とは具体的にどういうことでしょうか。

電子化文書の原本性の要件

電子化した文書にその原本性が確保されなければ、その元になった紙文書を廃棄することはできません。つまりここをはっきりさせておかないと、削減は実行できない、紙は存在したまま、ペーパーレスの実行はおぼつかないということになります。
電子文書もそうですが、電子化文書は便利な反面以下のようなマイナスにもなる特性を持っています。

・閲覧するのにパソコンやタブレットなどの機器を必要とする。
・改ざんの痕跡が残らない。
・原本と全く同じコピーが簡単にできる。
・ファイルの作成日を変更することができる。
・長期保存については、互換性やマイグレーションなどの課題を抱えている。


このような問題の対応方法として、「電子署名」や「タイムスタンプ」などの技術や電子化文書の保存要件などが定められています。

■電子化文書の保存要件

例えば、経済産業省のガイドラインでは、以下のように定められています。
・見読性 必要に応じ表示または書面作成できる。
・完全性 滅失、毀損、改変、消去の確認及び抑止措置
・機密性 不正アクセスの抑止措置
・検索性 検索できるように体系化

■証明する技術の「電子署名」と「タイムスタンプ」

電子署名やタイムスタンプを電子化文書に付与することによって「存在証明」や「完全性証明」「作成者の認証」を行います。

・存在証明 その文書がタイムスタンプで示される時刻に存在していたことを証明します。
・完全性証明 タイムスタンプで示された時刻以降に文書が改ざんされていないことを証明します。
・作成者の認証 電子署名で示します。

このように
だれがなにを(電子署名)、いつ(タイムスタンプ)で電子化された文書の証拠能力を高めることができます。

文書の影響範囲によって異なる対応

このように文書の原本性を証明する方法として、「電子署名」や「タイムスタンプ」を案内しましたが、電子化する全ての文書に適用する必要はありません。
その文書の影響する範囲に応じて対応が異なります。
社内で利用される申し送り事項の書いたメモ、引き継ぎ書などは、社内だけに流通するもので、特に第3者に何かを証明する必要がありません。
しかし、外部の第3者に文書を示す必要のある場合は、その関連法規や相手の慣習も考慮して対応する必要があります。

■取引先の慣習や受け入れ体制に影響する

最近は、電子契約システムで契約をかわす会社も増えているとは思いますが、この場合、自社のシステムや制度が整えられているからといって、なかなか推進できません。
契約相手先の慣習や、電子での受け入れ体制がないといくら完全性や真正性を示すことのできるシステムを持っていたとしても成立しないことなります。

■e-文書法などで定められたものに影響する

業種によって国や自治体に書類を提出したり、する場合、その電子的対応が関連法規によって異なります。e-文書法によって、国は民間に保存が義務づけられている書類の電子保存を原則容認すべく法整備を進め、詳細は、各省庁管轄の法令によって示されています。従って、関連法規を確認する必要があります。
また、国税関係書類のスキャナ保存は、事務処理の効率化や領収証などの保管コストの削減などで注目されています。これについては、会社を担当している税理士さんなどによく相談をしていただき計画的に進めていくことをお勧めしています。

■■ まとめ ■■

電子化文書、電子文書の取扱いについては、ルールを定め、文書管理ガイドラインやマニュアルなどで社内に周知できるようにしておきましょう。


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