ファイリングコツとポイント (1).紙文書

ファイリングとは何か知っていますか?
文書管理規程はあるのに、文書を取り扱う具体的なルールがない。そのため、管理の仕方が人によって異なり、統一された文書の選別もできていないし、並んでいる文書もばらばら。
なんてことはないでしょうか。

ファイリングの知識はそんな組織によく効きます。

第一回は、紙文書について、第二回は電子ファイルについてファイリングのコツとポイントを説明します。

ファイリングは意外に知られていない?

オフィスでは文書が作成され、処理され、しばらくは執務室内に利用のために保管されます。そして、保管の方法は、探しやすく利用しやすくなければなりません。ファイリングというのは、紙文書保管ではとても機能的な方法ですが、実はあまり知られていないようなのです。

オフィスでは誰もが文書を扱いますが、基本的な知識として社内での理解を深めることでスムーズな業務の遂行を助けることができます。

紙文書のファイリングの種類

紙文書のファイリング方法は大別すると簿冊型とバーチカルファイリングの2種類があります。

■簿冊型

穴開け式のバインダーに文書を綴じ込んで、キャビネットには背表紙を見えるようにして配架し整理する方法です。

 ・利点 文書がばらばらになりにくい。文書の順番が固定しやすい。

 ・欠点 リングやパイプなどのとじ具があるので、出し入れがしづらい。

     文書に穴を開ける必要があり、文書中の文字が欠ける場合がある。

     文書の量に関わらず背表紙の厚さで場所を取ってしまう。

     ファイルを廃棄する時に、留め具の素材が異なり、分別を必要とする。

 ・向いているもの 帳票、コンピュータのアウトプット用紙

■バーチカル

文書を立ててファイルに入れ、見出しをつけるバーチカルファイリングは、文書の管理方法として、大変優れています。1892年にアメリカで考案され、依頼欧米で採用されてきました。日本にも戦後、この方法が持ち込まれて来ています。

 ・利点 検索しやすい、後から発生した文書を途中に差し入れしやすい。

 ・欠点 文書の量に関わらずBOXの幅で場所を取ってしまう。

 ・向いているもの ほとんどの文書

文書用の什器であるキャビネットは、BOXを収納する前提の幅や奥行きのキャビネットが一般的です。
だから、A4のキングファイルを立てて入れると奥行きが深すぎたり、書籍であればずっと奥まってしまうこともあるのではないでしょうか。

※恥ずかしながら自分のこと

私が初めての会社に入社した当時は、ファイリングなど教えてくれる先輩がいませんでした。(ちょっとバンカラな技術系の会社でしたし)なので、先輩の紙の綴じ方をそのまま真似して行っていました。そのあとにベンチャー企業に転職しさらに文書の整理のルールを学ぶことからら遠ざかってしまい、ふと、「仕事のマナーってこれでいいの?」と疑問を持ち、秘書研修に行って初めてバーチカルファイリングを知りました。

 

BOX型ファイリングのファイル容器の使い方

バーチカルファイリングは書類を立てて整理しますが、BOX型ファイリングはそれを実現する最も簡単な方法です。什器を選ばずに簡単に導入できます。
そのためか、会社が揃えたBOX型ファイリングのファイリング容器を個人で自己流で整理されていることも見受けられます。そこで、簡単にこれらファイル容器の使い方について説明します。

まず、BOX型ファイリングは、個別フォルダーとそれを収納するファイルBOXで構成されています。

■個別フォルダーの使い方

・共通している、関係している文書をフォルダにまとめます。
縦長の文書は、文書の左の縁をフォルダーの折り目に合わせます。
横長の文書は、文書の上の縁をフォルダーの折り目に合わせます。
A3などの2つ折りの文書は、情報のある面を表にして収納します。(このことで何の文書であるかが紙を開くことなくわかります。)また、折り目はフォルダの外側にします。(他の文書をはさみ込むことはありません。)
・個別フォルダー内の文書は留めないのが原則です。必要がある場合は、クリアフォルダでまとめることをお勧めします。(後に文書を電子化する作業が発生した場合、ホチキスを外す作業を省略することができます。)
・1つの個別フォルダーには、必ず同じ年度でまとめましょう。(年度が混ざっていると、保存期間別に後から選別する必要が出てきてしまいます。)
・収納する紙の量は、一般的に70枚程度が限度と言われています。これ以上になるようであれば分冊化します。

■ファイルBOXの使い方

・個別フォルダーは、更にその上位の分類に応じてBOXにまとめます。
・一緒に使う文書は、同じBOXに入れ、使う時はBOX毎持ち出すようにします。
・BOXに入れる個別フォルダーはは10冊程度とし、それを越えるようであればBOXを分けるようにします。また、全体にBOXにたくさんの文書を詰め込むと探しづらい、文書が折れる、破けるなどの原因になりますので、個別フォルダーのところで説明したように1冊70枚くらいにとどめます。

※文書の分類について

紙文書の場合は、文書の分類を物理的な形状に対応させます。例えば、キャビネット→段→BOX→個別フォルダー の順に分類が詳細化していきます。

ラベリングについて

ラベルを各ルールを社内で統一しましょう。
ここを個人任せにしてしまうと、共有すべきそして管理に必要な大事な情報が抜け落ちてしまいます。
ここでは、一般的ばBOXのラベリングに必要な項目を紹介します。ぜひ、自分の組織に当てはめて考えてみてください。

■分類: 組織で決まっている分類記号や分類名を記載します。
■件名: BOXに何が入っているかを示します。
■所属部署: BOXを管理している部署名を記載します。
■所有名: BOXの責任者を記載します。
  誰が管理しているかを明確にしておかないと、
  その文書に誰も手をつけられなくなってしまいます。
  必ず、今、在職している人の名前を記載します。
  もし、オーナーが退職した場合は、
  引継ぎ先の人の名前に変更します。
■年度: 文書には保存期限があるため、年代を記載しておけば、そのBOXの文書について判断がしやすくなります。
■ロケーション番号: 当該BOXが設置されるべきキャビネットの番号を記載します。


必要な項目をシールで用意しておけば、誰でも忘れずに必要な項目を記入することができます。

ファイルの置き換えと移し替えで毎年見直し

ファイリングの状態は、常にいらないものを廃棄して整えておくのがよいですが、時期を決めて行わないと、忙しさに紛れて結局は手つかずそのままになってしまいます。
1年に1度、年度末などに見直しを行います。また、よく使う文書を取り出しやすい場所に配置換えを行います。

①現年度の文書
 執務室のキャビネットの一番使いやすい場所に保管します。(通常は上段)
②前年度の文書
 文書へのアクセス回数が減ることから、一番使いやすい場所から、
 執務室のキャビネットの少し使いにくくても我慢できる場所(通常は下段)に入れ替えます。
③前々年度以前の文書
 廃棄選別を行います。選別の結果、残った文書は、文書庫で保存します。
④例外
 年度によらず、常に参照されるような「常用文書」は、
 やはり執務室内のキャビネットの取り出しやすい場所に保管します。

これが一般的な紙文書のファイリング方法のポイントです。
みんながこのやり方を知っていれば、情報共有や業務効率化がもっと実践できるでしょう。

でも、現代はペーパーレスの時代、電子文書はどうしたらいいのでしょう。

次回は、電子文書のファイリングについて説明します。

コンサルティング事業部/石川

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