働き方改革と文書管理の関係

働き方改革は、一億総活躍社会を目指すというビジョンのもと、 現内閣の国策として取り組まれています。 今回は少しマクロな視点で働き方改革と文書管理の関係について考えてみます。

働き方改革とは?

働き方改革とは、ワーク・ライフ・バランスの充実化と生産性の向上を目的とした労働に関する改革です。 生産年齢人口の減少、正規・非正規社員の格差の増大、長時間労働の慢性化などを背景に、 多様な働き方を社会が受容し取り組むことで、みんなでHAPPYになろうとする国策です。

というわけで今後企業は、 働き手が減少する中、慢性的な人手不足とそれに伴うさらなる労働時間の増大を改善しながらも、収益の維持や増大を図っていかなくてはなりません。

労働生産性に注目してみる

働き方改革の目的でもある生産性の向上。 生産性は下記のような指標で求められますが、 日本の生産性は他国と比べても優れているとは言えません。

下の図は公益財団法人 日本労働生産性本部の「日本の労働生産性の動向2015年版」です。 これを見るとOECD加盟国中21位、G7加盟国でいえば最下位です。

さて、労働生産性の指標に戻ります。 この指標の分子にあたるGDPは世界3位なのに、 労働生産性はOECD加盟国中21位ということは、 分母の投下労働量が大きすぎるという事がいえます。

GDPは長年にわたり高水準を保ちながらも、 投下労働量(労働者数×労働時間)が大きすぎることが、 労働生産性の低さに大きく影響していることになります。

ということで、過去の高度成長期のような超過需要の時代ならともかく、 現在の日本のような成熟社会においては、 単に人手不足を人手(労働者数)で賄うのではなく、 「技術習得を通じた社員の能力の向上」と「投資を通じた業務改善」で賄っていかなくてはなりません。 分子の付加価値(利益)の向上が短期的には難しいのであれば、 この投下労働量(=分母)の改善が求められることになります。

労働分配率(利益に対する人件費比率)を一定に保ちながら、 業務改善や社員のスキル向上によって生産性を高めることで、 実質賃金の上昇と企業の投資拡大の可能性を高め、 儲かることでまた人手不足を生むという好循環をもたらすことが期待できます。

投下労働量を改善する文書管理

投下労働量が多いと言っても、 投下した労働(分母)がきちんと利益(分子)に結びついていれば、 これほど生産性は低下しません。 つまり長時間労働の中に多くの「ムダ」が含まれていることが考えられます。

この労働時間中の「ムダ」の要因として、 「文書の捜索時間」が大きく影響しているという米国IDCという企業の調査データがあります。

これによると、 「文書を捜索している時間」が1週間あたり4時間、 「文書を探すが見つからない時間」が1週間あたり2.6時間、 「見つからない文書を再作成する時間」が2.3時間ということで、 文書の検索に関することで1週間あたり9時間を占めていることがわかります。

これらをコストに換算すると年間184万円/人 生産性のロスは24.3%に及ぶという事です。

生産性のロスで24.3%というのはものすごい数字です。 逆に言えばここを改善すれば大幅な生産性の向上が期待できるということになります。

文書捜索時間短縮の事例

ここで当社が約半年間にわたる文書管理導入プロジェクトを支援したクライアント事例を1つご紹介します。 このクライアントでは、ファイルサーバにある文書の検索時間を、 文書管理導入プロジェクト実施前と実施後に測定しました。 実施前は平均4分22秒 実施後は39秒に短縮しました。

この値からこのクライアント企業の年間総労働時間と粗利益から、労働生産性が32%改善したという結果が得られました。

これはまさに働き方改革にある生産性の向上です。 「ムダ」を排除して生産性の向上を図ることで、 メリハリのある労働や効率性を高める仕組みが構築され、 ワーク・ライフ・バランスの実現も期待できます。

もう一つ、当社のクライアントではありませんが、 航空自衛隊岐阜基地における検索時間短縮の事例が、 「ポジティブ 2013 秋号」に掲載されていました。 QC活動の一環で取組んだ結果、 文書検索時間を13分25秒から、2分2秒に短縮したということです。

まとめ

働き方改革においては、 AIやロボットなどへの設備投資を通じた生産性向上がよく採り上げられますが、 潤沢な資金が無ければ難しいものです。 それに比べ文書管理の改善の費用は、当社のような企業に委託したとしても桁違いに安価に済みます。 明らかに非効率なところからメスを入れることで、 大幅な生産性の向上が期待できます。

文書管理を通じて自社の働き方改革を進めたいのに、 上司に費用対効果の説得がうまくできず悩んでいる方、 この記事を参考にしてみてください。

コンサルティング事業部/鈴木

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