文書の誤廃棄事故を防ぐには?

文書管理においては、まず必要文書以外を削減することからスタートします。一方で正しく選別を行い保存することも要求されます。この記事では、誤廃棄事故を起こすことなく、削減と保存の双方を適切な対応のポイントを説明します。

文書ライフサイクルと廃棄のタイミング

まずは、文書のライフサイクルのステップ毎に廃棄のタイミングを見ていきましょう。

文書のライフサイクル

■発生  通常業務の中で文書を減らします。
■伝達  伝達が完了したものなど取っておく必要のないものは廃棄します。
■保管  通常執務室内の文書の保管は、今年度分と昨年度分になり、毎年見直しを行います。
■保存  保存年限が過ぎた文書は廃棄とします。
■廃棄  保存期限が過ぎた文書は廃棄または歴史的価値のあるものは資料室や社史編纂室などに移管します。

ファイリングの基本は、「必要ない文書は捨てる」ことです。
そこで、正しく廃棄するためには、捨てるべきもの・保存すべきものを定義する必要があります。それでは、どんな文書が必要ないとされるのでしょうか。フェーズ毎にポイントを確認していきましょう

①「発生」「伝達」での文書廃棄のポイント
文書を作成したり、処理を行う際に、下書きを作成したりコピーを取ったりしてたくさんの文書が発生します。処理が完了したら必要なくなる文書が多く発生するフェーズです。

・参考として送付されてきた通知・報告
・作成部門以外の統計・一覧表・資料・社報・その他の社内刊行物
・重複保管文書

保存責任は原則作成部門となります。作成部門以外の所有は、通常、複製物となりますので、期限が切れた文書や閲覧の必要がない文書は廃棄の対象となります。

・浄書済みの原稿、訂正済みの変更通知、会議開催後の開催通知、用済みのFAX・いけ所・回覧文書、回答済み文書、版が古いマニュアル、カタログ
・一時的な記録・メモ・下書き
・社交文書(年賀状・招待状・案内状)

②「保管」「保存」での文書廃棄のポイントは
・この段階で保管・保存されてきた文書は共有文書として取り扱われています。つまり組織の文書になっている状態です。これらは、規程やマニュアルなどで示された保存期限に応じて対応します。

③法律上の保存期限に注意!
法律上で規程された保存期限の確認は最大優先事項となります。どの業務のどの文書に法律上保存期限が決められているのか、関連する部署に正確に伝えられるようにしましょう。
文書管理マニュアルなどで「保有期間設定基準」を示します。

保有期間設定基準で示されるべき項目

実際にあった誤廃棄の事例

次に、実際にあった誤廃棄の事例をあげて、その原因を確認していきましょう。

関連のある2種類の文書を一緒に廃棄


関連のある2種類の文書「A調査書」と「B報告書」を同じ文書箱で保存していましたが、「B報告書」のみが保存期限が短縮されました。廃棄の際に「A報告書」も同様に扱われ、保存期限が過ぎていないにも係わらず一緒に廃棄されました。

保存期限の管理表は正しく更新されていましたが、運用段階で勘違いが発生しました。運用者まで正しく伝えられていなかったことが原因です。

データベース入力した時点で原本を廃棄


調査に係わるデータベースを作成するために、原本として使用された調査票やレポートなどが入力完了時点で廃棄されました。しかし、これら原本は保存すると決まっていたものでした。

この調査票やレポートについて対象が不明確だったこと、保存することが現場に伝えられておらずデータ入力すれば不要と認識されてしまっていたそうです。

ライフサイクルの最後は廃棄、そして歴史的文書は保存

文書はその役割を終えると、廃棄のフェーズに遷移します。とはいっても、保存期限が過ぎたら全ての文書を廃棄にして実践している企業は少ないのでないでしょうか。
「廃棄」のフェーズに遷移した文書を廃棄選別基準を元に選別し、歴史的・学術的価値のある文書は、社内の別の部署(社史編纂室、資料室、アーカイブズなど)へ移管します。
こうすることによって、現用文書と管理方法の異なる歴史的文書を長期に安定的に保存し、またその利活用も推進されます。

次に歴史的なあるいその企業にとって有効であると判断して文書を保存している事例を見ていきましょう。

A企業さまの例:「契約書は全て永久保存にしている」


ソフトウェアエンジニアリング会社で、多数のプロジェクトを実行されてきました。プロジェクトの契約書はプロジェクト終了後、数十年経つものもあり、法定保有年数も過ぎているものも多数あります。ただし、受託した仕事の実績を表す基礎資料として位置づけられ、現在までの契約書を全て保存しています。

B企業さまの例:「創業時と創業者に係わる文書は保存する」


創業がほぼ明治維新と同時期であるこのお客さまは、社史を今までに数回発行されています。創業時の文書を貴重資料として位置づけ、どんな文書でも昭和初期までは保存するというルールがあり、それに基づいて保存を行っています。

まとめ

文書のライフサイクルの中で廃棄のタイミングが数カ所存在します。

①共有文書にするとき
作成文書を正式文書として登録します。

②置き換え、移し替えなどの整理のタイミング
文書管理規程やマニュアルに則って行います。ポイントは、
・文書管理規程に抜け穴がないこと
・文書管理マニュアルに手順が掲載されていること
・運用者が理解していること
です。

③ライフサイクルの最後
歴史的資料、学術的価値のある資料を選別して保存します。

文書を削減し、かつ、正しく残していく。全く逆の行為になりますが、適正な管理が求められます。

コンサルティング事業部/石川

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