文書管理を成功させる方法!その2 ~従業員をやる気にさせる!~

その1では、文書管理の基礎固めの実践方法をご紹介しました。でも実践するために必要なのは、従業員のやる気です。管理部門はともかく、営業部門やライン部門からは、なかなか協力が得られないものです。ここでは従業員の意欲を高め、組織的に取り組む方法をご紹介します。

インセンティブを与える

従業員をやる気にさせるには、モニタリングを行い、成果に応じたインセンティブを与えることが必要です。インセンティブとは具体的には、成果を出した人材や部門などに対し、社内表彰を行ったり、人事考課に反映させるなどです。文書管理の取り組みを開始する際に、こうしたことを社員に公表し、スタートさせます。インセンティブの魅力が高ければ高いほど、意欲の向上が期待できます。 しかしインセンティブを与えるためには、公正な評価基準が必要です。評価基準が曖昧で不平等だと、従業員のやる気は削がれ、協力は得られません。以下に定量的な測定が可能な評価基準をご紹介します。

①文書削減効果  削減を積極的に行った部署や人材を評価します。

・紙の場合 ファイルメーター(書類を積み上げた時の高さ)を、削減活動実施前と実施後に測定し、その差分の大きさを評価基準とします。削減効果は、ファシリティコストに換算すると、より一層わかりやすいものになります。

・電子ファイルの場合 電子ファイル数やファイル容量を、削減活動実施前と実施後に測定し、その差分の大きさを評価基準とします。削減効果は、ストレージコストに換算すると、より一層わかりやすいものになります。

ただし、必要なものまで捨てられてはかなわないので、着手前に一定の廃棄基準を策定することが必要です。

②検索時間の短縮効果 文書管理の実施前と実施後とで、検索時間を測定し、その短縮効果を測定します。文書の検索時間の短縮は、業務効率化に直結するものです。文書管理を行うことにより、文書を探す時間がどのくらい短縮されたかを定量的に評価します。

③文書管理の習熟度・実施徹底度の測定 文書管理の習熟度や実施徹底度についての点検シートを作成します。点検シートには10~20項目くらいの点検項目を設け、各点検項目が実践されているかどうか、各従業員に記入してもらいます。全点検項目のうち、実践されている項目数を達成率として測定します。

上記①~③から出した定量的な測定結果を評価基準として、優秀な部門や人材への社内表彰、人事考課への反映など、従業員がやる気になるような制度設計を行うわけです。

文書管理を行う目的を共有する

これまで述べた通り、インセンティブを与えることで、やる気にさせることも大事ですが、文書管理を長期的に維持していくためには、実行主体である従業員の意識改革が重要です。 意識改革とはつまり、文書管理がなぜ必要なのか、どのような目的でやるのかを全員が理解し、共有することです。 具体的には、 ・文書管理に乗り出した理由=現在の環境において何が問題となっているのかを明確にする ・文書管理とそのメリットについて、全従業員が理解する ・文書管理は組織にとって、経営革新に位置づけられる重要事項であることを意識づける

このようなビジョンを打ち立てることから、従業員の意識改革を図ります。 ここで注意すべきは、文書管理の役割を、ただの業務改善や協業体制の構築など、限定的なものに位置づけないことです。文書管理は、従業員が頭の中やPCのローカルディスク、キャビネットの中で私物化している宝の山を、全従業員で共有・活用することで、収益の創出を通じ、企業価値の最大化を図るといった、壮大な取り組みであることを理解させるべきです。

社内セミナーを実施する

従業員をやる気にさせるには、従業員たち自身が一定の知識やスキルを身につけることが必要です。知識やスキルを身につけ、ゴールまでの手順が明確になれば、従業員は「なんか、できそうな気がする」となるわけです。文書管理スタート時には、全体の手順はもちろん、これまで述べたインセンティブの評価基準の話や、文書管理を行う目的、メリットなどをしっかりと伝えます。こうしたことを伝えることにより、文書管理の実践に向けた一体感が高まり、成功へとつながる第1歩となります。 社内セミナーは、ぜひ弊社の専門家に任せてください! http://alpaca.nichimy.co.jp/service/consul/002

権限・責任を明確にする

文書管理に取り組むにあたっては、円滑に進めるための体制構築とともに、各部門への人員配置を行わなければなりません。つまり各部門に文書管理の責任者を配置し、その責任者たちには一定の権限を与えることで、強制的に「やらされている感」ではなく、自力革新にむけた意欲の醸成を図ることができます。具体的に権限とは、上記のような評価基準に応じた目標管理や、実践内容の担当の割り振り、所属部門のメンバーへの指導、改善に向けたイベントの企画・提案などです。もちろん権限を得るからには、所属部門の進捗が悪かったり、取り組みが甘かった場合には文書管理責任者の責任が問われます。そのようなことが無いように、所属部門のメンバーたちは、与えられた担当業務をしっかり行うようになります。このように権限と責任を与え、責任者はもちろん、メンバー全員が文書管理にしっかりコミットすることで、好循環が生まれる組織設計を行うことが大切です。

コンサルティング事業部/鈴木

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